円相場が21日、約7か月ぶりに1ドル=140円台へ上昇し、GW前に海外旅行や輸入食品の値下げへの期待が広がった。スーパーではアメリカ産オレンジやバナナ、牛肉の価格が下がると予想する。専門家は関税拡大なら1ドル=120円台まで進む可能性を示し、ガソリンは26日からの連休中に約6円安くなると分析している。
10円近く円高進行…普段の買い物にも変化が
トランプ関税などの影響で、円高が急速に進んでいる。21日の円相場は約7カ月ぶりに一時、1ドル=140円台にまで値上がりした。

街で聞かれたのは、喜びの声だった。
記者:
旅行はどこへ行く?
40代:
韓国に美容をしに、会社の人と。(GW)休みの始めの部分くっつけて行こうかなと。今ちょっと(円が)高くなってるので楽しみ。
記者:
円高進んで、海外旅行は行きたい?
60代:
行きたいです。
26日から始まるゴールデンウィークに海外旅行を予定している人は、さらなる円高に期待を寄せていた。
3月後半は、1ドル=150円前後で推移していた為替相場。
しかし、トランプ関税による先行き不安の影響で、10円近く円高が進行した。これにより、普段の買い物にも変化が表れる可能性がある。

スーパーアキダイ関町本店・秋葉弘道社長:
私たちスーパーにとっても喜ばしいことではあります。どんどん安く出る場面が出てくると思うので。
この円高によって、どのような食料品がお得に買えるようになるのだろうか。
スーパーアキダイ関町本店・秋葉社長:
例えばこちら、アメリカ産のネーブル(オレンジ)。値段も100円くらい安くなったりする可能性もある。あと他にバナナですね。以前は5本くらいで売ってたのが、いま3本になっちゃってます。これが4本になって、もしかしたら5本になるかもという期待感があります。
この物価高の中、値下がりが期待できるのはフルーツなど、海外から輸入している生鮮食品だ。それだけではない。

スーパーアキダイ関町本店・秋葉社長:
一番影響あるのはこちらですね、ステーキ。2~3カ月後にアメリカンビーフが復活して、バーンと特売される機会は、色々なスーパーでも出てくる可能性はある。
今後、円高傾向はどう推移していくのか。専門家は、140円台からさらに円高が進むとみている。
円高の影響でガソリン価格の値下げに期待
青井実キャスター:
食材も安くなるんじゃないかということですが、いつ頃から安くなるのか。詳しく見ていきます。

宮司愛海キャスター:
まず円の推移ですが、3月後半150円前後だった円相場が円高になっていまして、21日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=140円台ということで、2024年9月以来の水準となりました。
では、この円高がどこまで進むのかに関して、第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣さんに聞きました。
2パターンありますが、まず1つ目です。アメリカが追加関税をどんどん上乗せして、将来的な金融危機などの可能性が出てきた場合は、120円くらいまで円高になる可能性があります。ただ、逆に関税などが撤廃となれば、150円くらいまで円安に進む可能性もあるということです。

青井キャスター:
なかなか読みは難しいと思いますが、円高の影響が価格に反映されるのはいつ頃なんでしょうか?
宮司キャスター:
例を挙げながら見ていきたいと思います。円高で安くなるもの、例えば、すぐに感じられるのが永濱さんによると「ガソリン」です。ゴールデンウィークに車でお出かけされる方も多いと思いますが、ゴールデンウィークにかけて値段が下がってくるということです。
4月14日現在のレギュラーガソリンの全国平均小売価格は、186円50銭ということで、2023年9月に記録した最高値に並びました。これがゴールデンウィーク頃になると、永濱さんによると、補助金なしで180円前半くらい、約6円値下がりになるのではということです。
青井キャスター:
ガソリン以外にも、アメリカから輸入している食料品が安くなるということでした。

宮司キャスター:
生鮮食品は、これから1カ月後くらいに値下げになる見込みです。例えばアメリカから輸入している牛肉や豚肉、鶏肉、それからトマトやカボチャといった野菜、オレンジ、レモン・バナナといった果物、それから、サケや銀ダラといった魚も値下がりになる見込みだということです。
ここに加えて、カリフォルニアワインなども値下がりするかもしれません。そして3カ月後、ガソリンだけでなく他のエネルギー、電気やガスなども値が下がるかもしれません。そして、アメリカから多く輸入している小麦などを使ったパンやパスタなど、加工食品も半年から1年くらいかけて値下がりする可能性があるということです。

青井キャスター:
ただ、ここまでは良い話にも聞こえますが、円高は良いことばかりではないわけです。
宮司キャスター:
永濱さんに聞くと、円高によって株価が下がって、短期的に損失が出るかもしれないですが、戻る可能性もあるので、慌てなくても大丈夫ということです。
そして、もう1つが賃金です。基本的に輸出関連企業で働く人は、2026年の春闘が心配です。賃金に影響が出る可能性があるということで、注意深く見る必要があるということです。
青井キャスター:
その辺りも含めてですが、25日に加藤財務相とベッセント財務長官の会談があるわけですが、この辺り、為替について話されますかね?
SPキャスター 岩田明子氏:
可能性はあると思いますね。トランプさんは、1期目の時に安倍元首相が為替に関して言及した時に、「為替についてはリーダーがやり取りしてはだめだ、当局に任せるべきなんだ」と言ったことがあったので、そういう経緯からすると、当局同士に任せようということもあり得るかなと思いますね。
まさに当局同士の話に、 為替の話が出てくるのか注目だ。
(「イット!」4月21日放送より)