名鉄(名古屋鉄道)は2025年3月24日、名古屋駅一帯の再開発事業について概要を明らかにしました。「名鉄百貨店」が2026年2月での閉店を発表するなど、名古屋駅は再開発をきっかけに大きく変わることになりますが、各施設のこれまでや、今後についてまとめました。
■開発費は約5400億円…名古屋駅再開発の概要判明
名鉄が発表した名古屋駅前一帯の再開発計画では、名鉄百貨店から日本生命笹島ビルまで敷地面積約32700平方メートルに、31階建てと29階建ての高層ビル2棟が建設される予定です。

オフィスや商業施設、ホテルが入るほか、名鉄名古屋駅は線路を倍の4本に増やし、セントレアを結ぶ空港アクセスホームを新設します。

開発費用およそ5400億円の巨額プロジェクトです。
再開発が行われる、名古屋駅南東側のエリアは、百貨店など大型店舗が並んでいます。JR名古屋駅の桜通口から南の笹島方面に向かうと「名鉄百貨店本館」「近鉄パッセ」「名鉄百貨店メンズ館」や「名鉄グランドホテル」に「名鉄バスセンター」、「ヤマダデンキ」があり、太閤通を超えると「名鉄レジャック」「日生笹島ビル」があります。

再開発では太閤通をまたぎ、約400mに渡って一続きになり、約170mの2つの超高層ビルが並ぶことになります。
今回の再開発で名鉄百貨店が2026年2月28日で閉店することを決めています。名鉄グランドホテルや近鉄パッセなども閉店することが決まりました。
■ナナちゃんは“名古屋のランドマーク”に…東海地方初のターミナルデパート「名鉄百貨店」
「名鉄百貨店」は、1954年、東海地方初の「ターミナルデパート=複数の路線が乗り入れるターミナル駅に隣接したデパート」として誕生しました。

1961年の年末の映像には、店内は超満員で、発送を待つ大量の商品に、日本酒の樽が映っていました。

1972年には、現在の「メンズ館」にあたる場所に、ファッションビル「セブン館」がオープン。
1999年のブランド品のバーゲンでは、女性客が商品を競い合うように手に取って、大盛況です。

セブン館の目の前には、シンボルとなるナナちゃん人形が作られ、待ち合わせ場所の定番スポットになりました。

「名古屋色」も満載です。ご長寿姉妹として人気を博した「きんさんぎんさん」を呼んでチャリティーイベントが行われたり、グッズの販売もありました。

落合博満さんがドラゴンズの監督になってセリーグを制覇した2004年には、その年のお歳暮商戦に、妻の落合信子さんが参戦。

スタッフを前に声を張り上げ、気合を入れる催しもありました。
■アクセス抜群の「名鉄グランドホテル」の過去
1967年に誕生した「名鉄グランドホテル」は、バスセンターも直結でアクセスも抜群のホテルです。

部屋も一般的な客室はもちろん、鉄道ファンに向けた「名鉄電車ルーム」もあります。部屋の中で運転シミュレーションゲームもでき、本格的です。

宴会場では、さまざまなイベントが行われました。例えば1968年、創業当時のパーティーの映像には、屋台が並び、芸者さんのような人の姿もありました。

1996年の映像には、女子大学生ばかりが集まっている記録がありました。

リクルートファッションやメイクアップのセミナーが開かれていました。
■流行の店舗をいち早く誘致…「近鉄パッセ」の過去
「名鉄百貨店」に隣接する「近鉄パッセ」も今回の再開発を機に、閉店を決めました。

1966年に「東海ストア名古屋店」として営業を始め、1998年に「近鉄パッセ」と名前を変えました。
若い女性向けの店舗が多いのが特徴で、過去には「バービーショップ」がオープンしたり…。

食品エリアにできた大行列の先には大きな「天使のチョコリング」。

東海地方でいち早く、人気の店舗を誘致してもいました。
2001年に行われていたのはプロ野球の「日本シリーズ進出記念セール」です。ただ、祝うのはドラゴンズではなく「近鉄バファローズ」でした。

名古屋ではここだけではないかと思われる、貴重な光景でした。
■2027年度から着工し全面開業は2040年代前半
新しいビルに名鉄百貨店が入るかは未定ですが、外商事業は継続することを決めていて、近くのビルに施設を作り、2025年5月にオープンします。
近鉄パッセは再出店の予定はなく、新しいビルでは貸しオフィス業などを予定しているということです。
そして名鉄グランドホテルは、ハイブランドの高級ホテルとしてオープンする予定で、名前を残すかどうかは未定としています。
ランドマークのナナちゃんは、保存する方向で調整されています。

ビルを建て始めるのは2027年度からで、8年後にはオフィスや一部の商業施設、ホテルが開業し、2040年代の前半にすべてが完成する予定です。
2025年3月28日放送
(東海テレビ)