庭でキノコの目撃情報が相次ぐ

秋の味覚として、忘れてならないのがキノコ。豊かな香りとうまみを持ち、料理に活用できる万能食材だ。そんな中、注意したい話題がTwitterに寄せられている。

自宅の庭にキノコが生えることが相次いでいて、毒キノコらしきものも見られるというのだ。

Twitterユーザーのまっく(@xxm4Q3xx)さんは、毒キノコとして有名な「カエンタケ」の画像を添付した投稿で、こう注意を呼び掛けている。

このキノコ  ニュースで東京にも生えてたらしい
触れるだけでも皮膚が剥がれる程の猛毒らしいよ。
毒キノコが大量発生してるらしいから気を付けよう

そして、実際に庭にキノコが生えたという人も。

庭に生えたキノコの行く末を見守ろうと思う。ちなみに毒キノコです。

タダノ(@pso2tadano)さんの庭に生えたのは、白と薄茶の色合いをしたキノコ。周囲の石などと比べると結構な大きさで、食用できるものと勘違いしてもおかしくないほどだ。

タダノさんの庭に生えたキノコ

庭にキノコ生えてる、毒キノコか、食べられるのか分からないからそっとしておこう…(^_^;)

キヨさん(@kiyotwitte)の庭に生えたのは、茶色を基調としたキノコ。傘の部分に白い線が入っていて、こちらは切り株の根元から生えているようだ。

キヨさんの庭に生えたキノコ

このほかにも、同じような投稿があり、気付いたときには既に生えていたことに困惑したり、どう対処すればいいのかに悩んでいる人が目立った。

投稿が相次いだのは何か理由があるのだろうか?そして、そのキノコが食べてもいいものかは素人には判断が難しい。自宅の庭だと幼児やペットが食べてしまう可能性もある。もしも、毒キノコだったら、どう処理すればいいのだろうか。

菌類の研究者である、三重大学大学院の生物資源学研究科の白水貴 助教に気になることを聞いてみた。

秋はキノコが発生しやすい時期

ーー庭に毒キノコが生えたという投稿を見るが、考えられる要因はある?

秋は季節的にキノコの発生が多くなる時期であることと、新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が増えているため、庭でキノコを目撃する機会が増えていることあたりが要因かと思いました

ただ、Twitterの投稿を見る限りでは、キノコを正確に同定(種類や名称を見極めること)できていないケースがほとんどであるため、そもそもそれが毒キノコなのかどうかも不確かだという点は強調しておきたいところです。

ーーまっくさんやタダノさん、キヨさんの投稿は毒キノコの可能性はある?

まっくさんの投稿はカエンタケだと思いますが、写真はスクリーンショットなので、直接発生を確認したものではない点には注意が必要です。

カエンタケは猛毒キノコで、食べた場合は胃腸系や神経系の中毒症状が出た後、臓器不全、脳障害などの症状が表れて、最悪の場合死に至ります。汁に触れただけでも皮膚障害が出ることもあるそうです。

カエンタケ以外のキノコで触れただけで症状が出るようなキノコは知られていません。森林病害として問題となっている、ナラ枯れが起こった後に発生しやすいともいわれています。

タダノさんとキヨさんの投稿は、写真だけではよくわかりません。タダノさんの写真は、カラカサタケや毒キノコであるオオシロカラカサタケの仲間のように見えますが、断定はできません。写真のみで種が同定できるキノコはほとんどありません。

タダノさんの庭ではこんなキノコも生えていた

ーー国内の気候は温暖、亜熱帯化が進んでいるがこの影響は?

オオシロカラカサタケは温暖化の影響で、その分布が日本列島を北上しているといわれています。それぞれのキノコには成長に最適な温度帯がありますので、気温が上昇することで成長が阻害される、あるいは促進されるキノコが生じる可能性はあります。

キノコが生えやすい庭の条件とは

ーーキノコが生える仕組みはどうなっている?

キノコは肉眼で見えるほど大きくなった菌類の子実体で、土や倒木の中にある菌糸体(菌類の本体)から生えます。キノコのひだなどでは胞子が形成され、これが空気中に拡散して子孫を増やします。菌類は従属栄養生物ですので、他の動植物の遺体を分解したり、植物の根と共生したりして養分を得ています。養分を得てある程度成長した菌糸体からキノコが生えてきます。

ーーキノコが生えやすい環境や時期などはある?

発生が多くみられるのは主に秋ですが、頻度を度外視すれば、ほぼ通年で何らかのキノコは発生しています。種類によって生えやすい条件は異なりますので、一概にはいえませんが、多くは降雨の後に発生しやすいということはいえます。多くのキノコの成長には水が必須だからです

秋はキノコ狩りのシーズンでもある(画像はイメージ)

ーーキノコはどれくらいの速度で、一般的な大きさに成長する?

キノコが形成できるくらい十分に成長した菌糸体があり、かつ、キノコの元となる構造がすでに形成されているという前提で解説します。成長速度は種類によりますが、キヌガサタケなどは半日くらいで一般的な大きさになります。その一方で、サルノコシカケの仲間など、成長に何年もかかるようなものもあります。

ーー庭にキノコが生えやすい条件は?

キノコにとっての栄養源があることと、菌糸体が十分に成長してキノコの形成にまで至れる好適な環境であるということかと思います。生えやすい条件としては、栄養源となるような倒木や刈り取った草などを放置している、共生相手となる植物が植えられている、適度に水分が供給されていることなどが考えられます。

刈り取った草などはキノコの栄養源となる(画像はイメージ)

ーー庭に生える可能性がある毒キノコはある?

ベニタケの仲間などでしょうか。この仲間は種類が多く同定が困難なため、特定の中毒症状についてはお答えできません。

誤食に注意すれば放置しても問題ない

ーー庭に毒キノコのようなものを見つけた場合、どうすればいい?

幼児やペットなどが誤って食べてしまう可能性を危惧するのなら、地上部に出ている子実体(キノコ)を除去すればいいと思います。地中や材中の菌糸体を完全に除去しない限り、また生えてくるかと思いますが、菌糸体の完全な除去は一般家庭では難しいかと思います。誤食の危険性がなければ、基本的には放置しても問題ないと思います。

ーー毒キノコにみられる特徴などはある?

残念ですがありません。「派手な色のきのこには毒がある」や「柄が縦に裂けるきのこは食べられる」などの俗説がありますが、どれも間違いです。毒キノコに共通してみられる特徴はわかっておりませんので、毒がないキノコと毒キノコを見分けるポイントはありません。

小さな子供やペットは誤食に注意を(画像はイメージ)

多発しているキノコの目撃情報だが、毒キノコに共通してみられる特徴はわかっていないという。庭で怪しいキノコを見つけた場合、小さなお子さんやペットがいるのなら、誤食しないように、手袋などをした上で除去してもいいかもしれない。
 

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