「孫休暇」という制度が広がりを見せており、都道府県庁で初めて宮崎県が導入した。
宮崎県職員は「孫休暇」導入によって、子育てへの意識がさらに高まったと話しており、現代の働き方に合わせた制度改革が進んでいる。
祖父母が取得できる「孫休暇」
16日、市長が羽田空港にやってきた宮崎・都城市も4月から導入した。

宮崎・都城市 池田宜永市長:
この4月から都城市においては、いわゆる「孫休暇」を導入しました。
――よくある育児休暇?
宮崎・都城市 池田宜永市長:
…の、おじいちゃん、おばあちゃん版みたいな感じですね。

都城市には男性職員が子どもの誕生に合わせて取得できる、いわゆる“育休”の制度がある。
「出産補助休暇」と「育児参加のための休暇」があり、合わせて7日間取得できるというもの。
それを4月から、祖父母も取得できる「孫休暇」へと拡充したのだ。
導入するきっかけとなったのが、現代の働き方だという。

宮崎・都城市 池田宜永市長:
お父さん、お母さんが働いている方が多くいらっしゃるんですが、そういったときにおじいちゃん、おばあちゃんがサポートしてくれるというのは、結果として子育てをしている皆さま方の力になる。
近くに私の妻の両親もいたので、やはりそこは近くに親がいてくれるというのは、助かった部分が大きいと思う。
娘の育児の手助けなど活用
「孫休暇」の導入から2週間ほどで、すでに3人が取得。

鬼塚さんは、3月生まれたばかりの初孫のために「孫休暇」を一日あたり数時間などに区切って細かく取りながら、娘の育児を手助けをしているという。

総務部フィロソフィ推進課 課長 鬼塚めぐみさん:
自分の有給休暇を使うことなく、特別休暇でいただけるっていうこともですけど、子育てって一人でできるものではないですし、出産直後っていうのは本当にいろんな人の手がいっぱい必要だと思うので、手助けできるというのはすごいありがたい制度だなと思います。

一方、田下さんは18日に孫休暇を初めて取得し、9カ月の孫娘の面倒を見る予定だという。

総務部資産税課 主幹 田下勝利さん:
今生まれた上の子の時はもう年休で休んで、いろいろしたりですね。
核家族とかでお母さんがどうしても休んでとか、小さい子は病気になりやすいし、そういったときにおじいちゃん、おばあちゃんがちょっとでもこうやって(手伝いを)してくれるとすごくありがたいと子どもたちは話しをする。

休む日数が短いことや仲間の協力もあり、「孫休暇」取得のハードルは低かったということだ。
「子育て支援は親だけで済む問題ではない」
広がる「孫休暇」だが、都道府県庁で初めて導入したのは宮城県。
2023年から始まり、取得第一号は議会事務局の局長だった。

県庁では子育て支援や職員の休暇に関わる仕事をしてきたというが、「孫休暇」によって、子育てへの意識がさらに高まったとその意義を感じていた。

県議会事務局 阿部正直 局長(当時):
子育て支援はやはり親だけで済む問題ではありませんので、多様な人々が支援する必要があると思います。そういったものを休暇中に意識したので、意識が高まったところがあります。

しかし全国の都道府県庁で初めての導入だったことから、「有給なので、給料が出た状態でそういう休暇を取るのはいかがなものか」「どこもやってないのに、導入自体がどうなのか」のような反対意見もあったという。
市長「全国に取り組みが広がれば」
一方で、実際に「孫休暇」を取得した職員からは、「日数が足りない」「もう少し取りたい」といった声が上がったということだ。
4月から導入した都城市では市民からの反対意見は届いていないというが、今後も理解を求めていく考えだ。

宮崎・都城市 池田宜永市長:
全国にこういった取り組みが広がっていけば、日本全体での子育て支援がより良いものになっていくんじゃないかなと。
少子化が進み、働き方も変わってきた今、子育てへの理解と協力がより必要となっている。
(「イット!」4月16日放送より)