全国で半数以上の企業が後継者不在となる中、今、後継ぎが新しいビジネスプランをプレゼンし競う大会が各地で行われています。そのうち、東京で行われた全国大会「アトツギ甲子園」などで優秀な成績を収めた後継ぎが4月15日、岡山市長を表敬訪問しました。
大森市長を訪問したのは岡山市で業務用の酒を販売する藤田酒店の3代目・藤田圭一郎さんと岡山市に事業所を持ちシートで空間をデザインする津山市の企業マクライフの2代目、牛垣希彩さんです。
2人はそれぞれ2025年2月と3月に行われた企業の後継者などが新規事業のアイディアを競う全国大会で特別賞などを受賞しました。藤田さんが出場したのは全国から189人がエントリーした中小企業庁が主催する「アトツギ甲子園」です。
(藤田酒店3代目・藤田圭一郎さん)
「藤田酒店は創業50年、繁華街の飲食店に酒を配達する酒の卸を営んでいます」
家業は約半世紀続く老舗の酒店。しかし、業務用の酒販売は利益率が低く父親は体を酷使しながら経営を続けていました。
(藤田酒店3代目・藤田圭一郎さん)
「365日父や叔父が働いていて恐ろしいと思った」
そこで大阪から岡山に帰った藤田さんが10年前に立ち上げたのが、酒のギフト用ラベル事業「スナップギフト」です。プレゼントしたい酒に自由に写真やメッセージが記載できるもので、注文を受けたその日の発送も可能です。
利益率は既存事業の4倍、ハイシーズンには1日約200件の注文が入るまでに成長しました。「小さな企業でも、アイディア次第で飛躍のチャンスがつかめる」藤田さんは大会で同じ中小企業の後継ぎに向け力強いメッセージを送りました。
(藤田酒店3代目・藤田圭一郎さん)
「私たち後継ぎは先代たちが必死に繋いできたものを未来に残す使命がある。スナップギフトを通じて同じように低利益で苦しむ地域の後継ぎの商売をもう一度輝かせることができると信じている」
(岡山市 大森雅夫市長)
「後継ぎというのは単なる事業承継じゃない。イノベーションというか事業の質を変えてマーケットを広げる。事業者不足もあるがそれをカバーする存在になると思う」
岡山市は今後もセミナーやイベントなどを通して後継ぎの挑戦を支援していきたいとしています。