白杖を使って歩く、視覚に障害のある男性。目的地へ向かっていると…。

視覚障害のある男性:
ここですね、ここでしょう。

スムーズに、道を左折しました。その秘密は、足に付いているこの黒い装置です。

千野歩さん:
道順であったり進む方向を靴の中を振動させることで、伝えることができます。

自動運転の技術を駆使した、歩行ナビゲーション「あしらせ」。

アプリに目的地を入力すると、「直進」「右折」など足からの振動で、道案内をしてくれるのです。

その「あしらせ」を開発したのは、千野歩さんです。

千野歩さん:
視覚障害者の方は安全に集中していたら、いつの間にか迷ってしまう、ホームから落ちてしまうとか、事故にあってしまったり。

目が不自由な方にとって、音は重要な情報源。
スマホを使い、音で道順を確認すると耳からの情報が遮られてしまいます。

そこを振動に変えることで、転落事故などを防ぐことにも繋がるそうです。

視覚障害のある男性:
左の振動が細かくなってきたので、左に曲がります。我々、目標物が見えませんから、耳以外の感覚で伝えてもらえるっていうのは凄くありがたいですね。

開発のきっかけになったのは、家族の転落事故です。
千野歩さん:
視力が落ちていた妻のおばあちゃんが、歩いていて川に落ちて亡くなるというのがあったのです。

その経験から、転落事故などを防ぎながら、“歩く事への安心感を与えたい”と開発を続けているのです。

千野歩さん:
世界中で同じような課題を持たれている方、非常に多いので、非言語の製品「振動」というもので、世界の視覚障害者の方まで届けていきたいです。
視覚障害者の方が、“安心して外出できる環境”をつくりたい。
その思いで千野さんの開発はあすも続きます。
(「イット!」 4月2日放送より)