人気イラストレーターの直筆サイン色紙がネットで高額転売され、作者がSNSで「ぼったくり」と非難した。色紙は3万3000円のシャンパンの注文特典として描かれた限定品で、約30万円で出品されていた。弁護士は「転売自体は違法ではない」と説明するが、作者やファンはモラルの欠如だと憤っている。
色紙高額転売に作者「二度と顔見せないで」
直筆サイン入りイラストの高額転売が、物議を醸している。

11日、「イット!」が取材したのは、世界的に大人気のイラストレーター・岸田メルさんだ。
岸田さんは、Xのフォロワー数45万人超えで、イラストレーターやキャラクターデザイナーとして幅広く活動している。
キャラクター原案に携わったアニメ「花咲くいろは」は、石川県の湯涌温泉が舞台となっている。「聖地巡礼」に訪れるファンが多くいるなど、町おこしにもつながっている。そんな岸田さんがSNSを見ていたところ、あるものを見つけた。

岸田メルさんの公式Xより:
これ描いた人覚えてますよ。色紙売るのは自由ですが、さすがにぼったくりすぎですよ。出禁です。二度と顔見せないでくださいね。
見つけたのは自身が描いたカラーイラストと、サイン入り色紙の高額転売だ。
イラストレーター・岸田メルさん:
僕がデザインしたキャラクターの色紙を、目の前でちょっと色つきで描きますよと。店が盛り上がるといいなと思って、やった感じです。つい最近描いたものなので、普通に驚きました。
「早いなー」と思って。こんなすぐオークションに出しちゃうんだ。

この色紙は3月、岸田さんがプロデュースしたコンセプトカフェのオープンイベントで、3万3000円のオリジナルシャンパンを注文した人に描いたものだ。
出品されていた色紙の1つが約30万円で、もう1つは約25万円ですでに落札済みだ。色紙に書かれた日付は、イベントのあったその日のものだ。
イラストレーター・岸田メルさん:
怪しいなって人がいて「代行で来ました」と。「友達で僕のファンがいて、なかなか来られないから代わりに来ました」と。そういう目的じゃない人が店に来ているのは、盛り下がる。怒りというよりは、ふざけるなよと。

過去には岸田さんの色紙がオークションサイトで、色紙4枚セットで約90万円の値が付き落札されたこともあるという。
人気の作品を高額転売することに、法律上問題はないのか専門家に聞いた。
そのままの形で転売は“合法”も…モラル欠如の声
橋下綜合法律事務所・溝上宏司弁護士:
サイン色紙等を書いてもらったりしたものを特に手を加えることなく、そのままの形で転売するのは、直ちに違法になるといった法律というものはないです。

買ったものをそのままの状態で転売した場合、取り締まる法律はなく、違法性がないという。
東京・秋葉原で話を聞くと街の人からは、こんな声が聞かれた。
街の声:
ずるい、良くないみたいなイメージがあり、自分は買わない。(買う人は)どうしても欲しいものだったら、仕方ないと思って買ってるところはある。
街の声:
正式な方法で得られた物じゃないものを、転売で買ったのも問題だと思います。
街の声:
私も作る側の人間で、最近作った物が転売されて何倍にもなっているのを買われて悔しかった。

岸田メルさんは、「今回こういうことがあったから転売対策、転売禁止と言わないといけないかな」と憤りを見せた。
(「イット!」4月11日放送より)