「トランプ関税」が、4月9日に発動した。
日本には24%の関税が課される。
北海道で暮らす私たちの生活に、どんな影響があるのだろうか?
「トランプ関税」発動で道民への影響は?
アメリカのトランプ大統領が、世界各国に打ち出した「相互関税」。
日本時間の9日午後1時すぎに発動され、日本からの輸出には24%が課されることとなった。
「アメリカで作れば関税はゼロだ。国外で製造し、国外の労働力を利用してわれわれのビジネスを傷つければ代償を払ってもらう」(アメリカ トランプ大統領)
株価の下落など影響が出ているが、前代未聞の状況に北海道民は?

「飲食に関わっているので、物価や食材の高騰がすごく不安」(札幌市民 20代)
「漠然とした不安がある。どうなるんだろうと」(札幌市民 30代)
「物価が上がりそう。給料が上がらないので大変」(札幌市民 50代)
「投資をしているので影響が大きい」(札幌市民 40代)

売り上げの8割がアメリカ― 自動車部品のメーカーに打撃
2024年の北海道からアメリカへの輸出額は894億6000万円で、最大の輸出相手国となっている。
最も多いのは自動車部品で、572億円6000万円と6割以上を占めている。
電気自動車の部品を製造する、千歳市のメーカー「FJコンポジット」。

アメリカの自動車製造大手「ゼネラルモーターズ」に年間1600万個を納品していて、売り上げの8割を占めるという。
「アメリカ国内で製造する考え方もあるが、1~2年でできるものではない。製造ラインを構築するのは非常に時間がかかる。アメリカでの販売が苦しくなれば、ヨーロッパやアジアなどを強化していかなくてはならない」(FJコンポジット 津島 栄樹 社長)

自動車部品にとどまらず― 多くの産業に影響
影響は自動車部品にとどまらない。
2024年の北海道内からアメリカへのホタテの輸出額は138億円。
5年前の12億円から大幅に増加している。
中国が禁輸を続ける中、紋別市の水産加工会社「丸ウロコ三和水産」では、2年ほど前からアメリカへの輸出を強化してきた。

今では売り上げの2割に及ぶ、200トンを出荷している。
「中国の禁輸以降はアメリカへの輸出量は多くなっている。今回の関税に関してどうなるか、わからない部分は多い。どの程度輸出量が減るのか不安」(丸ウロコ三和水産 山崎 和也 社長)

旭川市の酒造メーカー「高砂酒造」では、売り上げの1割を輸出が占めている。
2024年12月に「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録され、日本酒が世界から注目を浴びて追い風に感じていたが。
「アメリカへの出荷は当社としては少ないが、日本酒業界全体でいうと出荷1位は中国で2位はアメリカ。多くの日本酒が出荷されている中、今回の関税で出荷数量が減ってしまうという向かい風にならなければいい」(高砂酒造 広野 徹 取締役)

北海道民への影響は?
専門家は直接アメリカへ輸出している企業だけではなく、北海道で暮らす私たち全てに影響があるという。
「北海道にとって大きな打撃と言わざるを得ない。物が売れなくなって在庫がたまり、在庫管理のコストが上昇して生産にかげりが見えてくる。それにより労働者を一時的に解雇する可能性も出てくる。労働者にとっては所得を下げることになってしまう」(藤女子大学 渡辺 頼純 学長)

一方でメリットの可能性もあるという。
「円高への政策変更があると、食品・原材料・石油などの価格が下がる可能性もある」(渡辺学長)
「トランプ関税」が私たちの暮らしに及ぼす影響。先行きが見えない状況が続く。