消費税の時限的な引き下げや『年収の壁』の見直しなど、手取りを増やす政策を掲げ躍進する国民民主党。テレビ西日本の単独インタビューに応じた玉木雄一郎(55)代表が、国会後半戦、そして夏に控える参議院選挙に向けた党の戦略を語った。

「178万円」100点満点にはいかなかった

「期待を頂いたほどの成果を上げることができなかった。その点では力不足。率直にお詫びしなければいけない」と語る玉木代表。これまでの国会で党が掲げてきた『年収103万円の壁』の引き上げについて、国民民主が求める178万円は実現できず、与党案の『条件付き』160万円で可決されたことを「力不足だった」とした。

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「確かに160万円まで上がった人はいるんですけど、年収200万円以下の所得税を払ってる人のなかで言うと全体の5%未満なんです。確かに所得の低い方も物価高騰で困っているんですけど、物価高騰で困っているのは所得の低い方だけじゃなくて、幅広く中間所得層の方も含めて、物価高騰に大変、困ってらっしゃいますから、我々としては低所得者対策として引き上げるんじゃなくて、一律に引き上げて、全ての皆さんの手取りを増やせるような政策にすべきだと。なかなか、この178万円』、100点満点にはいかなかったというのが正直なところ。ただ諦めてません。また夏には参議院選挙がありますから」

玉木代表が考える後半国会。何が一番の大きな山になると考えているのか。「もちろん政治とカネの問題であるとか、選択的夫婦別姓とか、年金の問題とか、いろいろあると思うんですけど、やっぱり私はもう一回、物価高対策。昨年度の補正予算で積んだ1兆円とか、いろんなお金があるので。当面、予備費や使い残した繰越予算でも対応できますから、とにかく国民生活が困ってますよ。そこに寄り添うスピーディーな対応を求めていきたい」

時限的な措置として消費税減税を

『もっと!手取りを増やす』と銘打った新たな経済対策を明らかにした国民民主党。玉木代表はそのなかでも『年収の壁を178万円まで引き上げ』『ガソリンの暫定税率の廃止』『電気・ガス代の値下げ』『米の価格安定』の4つについて、予備費などを活用し早急に取り組むべきだと強調した。

国民民主党が掲げる主な4つの経済政策
国民民主党が掲げる主な4つの経済政策

「原点に立ち返って、この物価高に苦しむ国民生活をどうやって守れるのか。石破さんにも言いたいのは、もうあんまり難しいことをいっぱいやらなくてもいいから、この4つだけでも、と。できないのなら参議院選挙で、やっぱり勝負してね、もう一度やれる力を私たち国民民主党に与えて下さいということで戦いたい」

さらに予算審議の最終盤で野党が追及した消費税の『減税』も物価高騰対策として必要な政策だとした。「消費税を下げるというのは、物価の引き上げを抑える直接的な効果もありますし、私たちは下げるんだったら一律5%に下げればインボイスが要らなくなる。一律で引き下げた上で、インボイスをなくす。我々が消費税減税を取り下げるような『いい経済状況』には、まだ達していない」と語った。

玉木代表の言う『いい経済状況』とは『物価上昇率プラス2%の賃金上昇率が安定的に実現している状況』。それまでの時限的な措置として消費税を減税すべきとした。

では『いい経済』になったと判断できる数字にどれくらいで行けるのか。「いや、もうすぐなると思いますよ。下げると決めてアナウンスした瞬間に株価も上がるし、多分、消費も回復するし、経済は一気によくなると思いますね」

「特に今、トランプ大統領の相互関税がかかるってことになって世界中が混乱しているし、日経平均株価が33,500円(4月3日)を割り込むなんていうのは結構、危機的だと私は思っている。このトランプ関税で一気に不確実性が増していますから、やっぱり引き続き消費税の減税も訴えていかなきゃいけないような状況に再びなりつつあるなと。ちょっと心配しています」

内閣不信任案の扱いは厳しい対応で

そして、話題が後半国会を左右する内閣不信任案の扱いについて及ぶと「これは立憲民主党さんが、野党第一党としてどう判断するかということなんですが、私はやっぱりこの今の、少なくとも政権の物価対策は不十分だと思ってますからね。厳しく向き合っていきたいと思います」

「不信任案が出てきたときに考えたいと思っていますけども、我々としてはありとあらゆる手段を使って手取りを増やす政策を実現していきたいし、それに充分応えて頂けないのであれば、当然、厳しい対応で臨みたいと思います」

玉木代表がインタビューの中で示した4つの物価高対策はじめとした要求に政府・与党が応えた場合、不信任案への対応は「厳密には決めていない」とした上で「私たちが不信任するかどうかよりも、その4つをやらないと国民から不信任を突きつけられますよ。『石破政権、何やってんだ、何もやってないじゃないか』とそういう思いが国民の中に高まってくれば、当然、我々もそれを踏まえた対応をします」

「私たちが不信任を出すときは多分、石破政権が国民から不信任を突きつけられたときだと思います。そうすると野党は、じゃあ次の石破さんのあとの自民党総裁を総理大臣にしないのであれば、野党のなかで誰を総理大臣にするのかってことは、決めて臨まないとこれもまた無責任ということになりますからね。野党の対応も問われてくる。それを野党第一党である立憲民主党がまとめられるのか、まとめられないのか。前回は、まとめられませんでしたからね」

夏には参議院議員選挙を控え、不信任案が可決されれば内閣は『総辞職』か『衆議院解散』を選ばなければならない。商品券問題などで石破内閣の支持率が急落するなか、国民民主党はどんな選択をするのか。

「我々としては、あらゆることに対応できるようにしていきたいし、いずれにしても今の政権の物価高対策は不十分だと思いますから、178万円もかなり中途半端に終わってますから、そういう意味では我々としては厳しく今の政権の政策では国民の生活を救うことはできない」

「我々は誰と組むかじゃなくて、何を実現するかっていう政策本位で政策が、一致するところとは協力するし、しないところとはしないということなので、どことやるかっていうよりも何を実現するのかということに拘って、これからもやっていきたい」

激戦区 福岡選挙区は最重要点

「基本的に複数区は全部、候補者を立てるつもり。もちろん福岡もその1つだったので擁立をした。福岡県内でも、いろんな調査をしてますけど、やっぱり我が党の支持率も高くなってきているし、福岡は勝ちにいかなければならない選挙区だと思っていますし、大きな期待を頂いているのを、次第に支持が広がっているという確かな手応えも感じていますので、特に人口の多い福岡は九州のなかでも大事な地域だと思っていますので、最重点地域の1つとして私自身、現地に入って活動をしっかりやりたいと思っています」

夏の参院選に向けて党としての目標はズバリ「全国比例は800万から1000万くらいいきたい」と語った玉木代表。「なかなか厳しい目標ですけど、やっぱり目標をしっかり高く持たないと突破できないので、1000万という大台を目指して頑張りたいと思っている」

「あと議席数で言うと21議席。21議席を参議院で持つと予算に関連する法案を単独で出せるので、参議院において21議席の政党になりたいと思っています。改選組が4人なので16人、当選したきゃいけないので、その意味では4倍。衆議院も4倍だったんですけど、参議院でも4倍くらいしないと届かないので、簡単な目標ではないんですけども、やっぱり手取りを増やして欲しいという国民や県民の皆さんの期待に応えるためには、高い目標ですけど、21議席の政党を目指して頑張りたい」と語る。しかし現状、党の公認予定候補者は選挙区、比例あわせて20人。支持の受け皿になるべく候補者を擁立できるかが最大の課題だ。

「擁立が今、我が党にとっての唯一最大の戦略と言ってもいいかもしれません。去年の衆議院選挙では、せっかく票を入れて頂いたのに、特に比例で入れて頂いたのに、名簿が足りなくて3人、自民・公明・立憲民主党にそれぞれ1議席ずつお譲りするという形になって、これは本当に入れて頂いた方に申し訳ない、お詫びをしないといけないんですけど、二度とこういうことをしないように参議院では、しっかり候補者を全国比例、そして複数区、1人区とできる限り擁立して、全国で国民民主党の受け皿を作っていきたい」(2025/04/03 衆議院第一議員会館にて)

(テレビ西日本)

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