牛丼チェーン吉野家が10日から牛丼大盛などの商品を10〜70円値上げすると発表した。原材料や物流、人件費の高騰が背景にある。一方で「並盛」と「小盛」は値段を据え置くという。吉野家の価格戦略を探った。
値上げは大盛り以上だけ?吉野家の戦略
「うまい・安い・早い」のキャッチコピーで、学生やサラリーマンのランチの味方でもある大手牛丼チェーン・吉野家について8日、衝撃のニュースが飛び込んできた。

テーマは「値上げは大盛り以上。吉野家の戦略は?ソレってどうなの」だ。
吉野家は、10日の午後2時から牛丼大盛などの商品を10円から70円値上げすると発表した。
値上げまであと2日となる8日正午頃、東京・有楽町にある吉野家を取材した。
取材班:
お昼時ということもあると思いますが、次々と人が入っていきます。20人近く並んでいます。列が次々と伸びていきます。スーツを着ている男性の姿が目立ちます。
10日からは「牛丼・大盛」が696円から740円に、「牛丼・特盛」は872円から938円にと1000円の大台が見えるところまで引き上げられる。(※店内飲食・税込み)
お客さんに、10日からの値上げを知っているか聞いてみると…
客(30代):
そうなんですか?知らなかった。ちょっとびっくり。行く頻度が変わるかもしれない。(値上げ前に)明日も行こうかなという気持ちになる。
客(60代):
上げ幅は知らないが、そういう話は聞いている。苦しいが、かといってよそにいけばもっと高い。そう思うと、何を注文するかで調整。例えば大盛を並にする、というような形で調整するしかない。今そんな気持ちでいます。
客:
仕方ないが、出来れば今の価格で、少し質を落としてでも量も落とした形で何とか現行価格と、現状のボリュームと同じように(して欲しい)。
値上げの理由は、コメや原材料の高騰や、さらに物流費や人件費の上昇が長期化していることが影響しているという。
農水省によるとコメの価格は、3月24日からの週にスーパーで販売されたコメ5kgあたりの平均価格は4206円で、前の週と比べて10円値上がりし、13週連続で過去最高値を更新している。

吉野家の牛丼・並盛の価格は、2013年には280円だった。今から考えると夢のような金額だが、その後、徐々に値上げされてきた。

2021年に400円を突破。そして2024年には500円が目前に迫る498円になった。過去13年間で200円以上アップしたことになる。
小盛と並盛は据え置き…ワンコイン守る
イット!のスタジオでは…
青井実キャスター:
山口さん、どうですか?

SPキャスター山口真由さん:
「デフレの象徴」と言われた牛丼ですけど、人手不足やコメの高騰など様々な時代の流れの影響をやっぱり避けられないですね。
青井キャスター:
お客さんは、大盛を並盛に変えるとかそういう調整をされるようですね?
SPキャスター山口真由さん:
でも、ボリュームを維持したいという気持ちもありそうでした。
一方で今回吉野家は、価格を据え置く商品も残している。それが、牛丼や豚丼の「並盛」と「小盛」だ。
なぜ変えなかったのか、吉野家に理由を尋ねると…
吉野家:
多くのお客様からご注文を多く頂いている牛丼・豚丼の並盛・小盛には、これまでと変わらない価格で商品を提供できるように努めました。

経済の専門家・永濱利廣さんに、並盛の価格を据え置いた吉野家の狙いを聞いた。
第一生命経済研究所・永濱利廣首席エコノミスト:
並盛を値上げすると、500円を超えてくることになる。消費者心理としては、ワンコインで食べられるか、そうじゃないかで、かなり消費者心理が変わる。出来るだけワンコインで食べられるメニューは値上げしない形。ワンコイン以上の値段のメニューは値上げをすることで、値上げをしながらも客数を減らさない戦略です。
物価の象徴でもある牛丼。止まらない物価高の中、いつまでもランチの味方であり続けてくれることを期待する。
(「イット!」4月8日放送より)