デビューからまもなく12年。圧倒的な歌唱力と繊細な表現力を持つシンガーのクリス・ハートさん。数々のオリジナル曲と名曲のカバーを通して、常にリスナーの心に寄り添ってきた。

彼が歌う理由は、年月とともに変化してきたという。名曲「糸」への想い、これから挑戦したい新たな表現の形を語ってもらった。

クリス・ハートさん 写真提供 嘉茂雅之
クリス・ハートさん 写真提供 嘉茂雅之
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カバーとオリジナル、それぞれに込める表現の違いとは?

――デビューからまもなく12年。数々のオリジナル曲や名曲カバーを歌ってきましたが、オリジナル曲とカバー曲では、歌い手として感じる違いはありますか?

「アーティストにはよくある話ですが、自分の曲しか歌えない人が結構多いんです。理由は、アーティストは自分のオリジナル曲で自分の世界観を表現しますが、カバーを歌っている時は、原曲のイメージと自分らしいサウンド、経験などを全部持って歌わなくてはならないという点で全然違う。

どっちが難しいとは言えませんが、カバーする時は気をつけなくてはいけないところもあります。リスナーがこのバージョンを聞きたいのか、聞きたくないのか、必要か必要ないのか、バランスが難しいです」

写真提供 Kyo Aihiro 
写真提供 Kyo Aihiro 

ライブとリリースで異なる「2つのルール」

――名曲のカバーを歌う際に、大切にしていることは?

「いろいろな意見はあると思いますが、僕の中には2つルールがあります。1つ目は、ライブの場合には原曲に近い感じで歌うということ。

理由は、僕のバージョンで急に大きく変わったりすると、お客さんが違和感を覚えるはずで、聞きながら「いいな」と思っていても、どこかで違和感があると楽しめない部分があります。

一方、収録してリリースするカバー曲の場合は、逆に原曲と全然違う方向にしています。すでに原曲というものがあるから、自分にしかできないバージョンを作る必要がある、という2つのルールです」

キャリアの節目に支えてくれた「糸」

――歌うたびに新たな発見がある曲、思い入れがある曲はありますか?

「思い入れのある曲ばかりですが、その中でも中島みゆきさんの『糸』ですね。
僕のキャリアの中でも、いろいろな出会いがあって、支えてもらったので、感謝の気持ちを込めて歌う機会が多いです。

また、この曲のおかげで、2回目の紅白歌合戦にも出場できて、その後様々なステージに立つきっかけにもなりました。

あの曲は本当に、原曲にリスペクトしながら、僕にしかないアレンジもできたので、原曲と違う『糸』になっています。このバージョンもいろいろな人に知っていただいて、大切にしてくれたことに、すごく感謝しています。もう11年間ぐらい、ほぼ毎回ライブで歌う曲になりました」

ライブでの様子 写真提供 WINメディテーションジャパン
ライブでの様子 写真提供 WINメディテーションジャパン

「アーティスト」と「シンガー」、2つの大切な役割

――アーティストとして、歌うことでどんなメッセージを届けたいと考えていますか?

「12年間で、歌う理由も変わりつつあります。最初はカバーアルバムから始まりました。自己紹介として、僕の思い出の曲を歌っていたのですが、その後はオリジナル曲も作って、ツアーでもいろんな人と出会って、人の悩みとか力になれる曲を作りたいという気持ちになりました。

活動休止から再活動を経て、今はもっと前向きなポジティブな世界を作りたいというか、自分の音楽を通して、自分の見ている世界を表現できたらと思っています。

人には悩みや寂しさがあったり、このデジタル世界の中で結構困っている人たちも多いと思っていて、そういう人たちの力になれる曲を作りたい。

日本人が『I Love You』をストレートに表現するのは少し恥ずかしいと思う部分もあるので、なかなか言葉にできないものを自分の歌として表現して、誰かの力になれればという気持ちは持っています。」

――どんな表現や挑戦をしたいと考えていますか?

「アーティストを超えた表現をしていきたいです。カバー曲でもオリジナル曲でも、楽しいライブを続けていくというイメージもありますが、これからはメディアとかSNSとかラジオとかテレビとか、そういうところもチャレンジしたいと思っています。

――次にシンガーとして一番大切にしていることは何ですか?

「アーティストとしては世界を作る。シンガーとしては人を喜ばせる、楽しませる。
最近のディナーショーやイベントでもカバー曲のリクエストを受けて、皆さんの聞きたい曲を楽しんでもらっています。

ライブに行っても聞きたい曲が聞けないということがないように、皆さんが名曲を楽しめる時間を作るという気持ちは、シンガーとして大切にしていることです」

人の力になりたい、人の悩みを知りたい。話し合い、絆を作りたいという気持ちなので、ラジオ、SNS、ポッドキャストなどで、直接いろんな人と話して、もっと人の気持ちを理解して、アーティストとしてもシンガーとしても様々なことにチャレンジしながら作曲して歌っていける活動になればと思います」

インタビューを受けるクリス・ハートさん 写真提供 WINメディテーションジャパン
インタビューを受けるクリス・ハートさん 写真提供 WINメディテーションジャパン

2025年北海道で活動の場を広げていきたい

――北海道で予定している活動について教えてください。

「4月からはラジオ番組をやらせてもらいます。また8月に札幌でのディナーショーも予定しています。

僕は昔から北海道とは繋がりがあって、本当に家族のように付き合っている友達が札幌に住んでいて、昔からもうほぼ毎年行っていた時期もあったりするので、やっぱりまた札幌に行きたい、ライブをしてみんなに会いたいという気持ちはあります。これからもっとライブやディナーショー、ラジオ、テレビにも挑戦したいと思っています」

――2025年のライブに向けて、新たに歌ってみたいカバー曲はありますか?

「今すぐカバーしようとしている曲では『安全地帯』の曲をいろいろ入れたいと思っています。『恋の予感』など結構あります。

『ワインレッドの心』も歌っていますが、玉置浩二さんの声が素晴らしくて、曲もいいし、メロディーもいいし、すごく楽しい。だから自分だったらどうやってそれをアプローチできるか、自分らしくできるか。いいチャレンジだなと思います」

――北海道の好きな場所やエピソードがあれば教えてください。

「札幌でゆっくりと過ごすのがすごく好きです。ビアガーデンに行ったり、雪まつりに行ったり、いろんな場所でみんなとふれあえるところ。

何でも美味しくて、何でも綺麗で、空気がいいし、花粉症もない。どこに行っても幸せだなっていう気持ちになります。

逆にまだ行ったことない場所も多いので、北海道の中でこれから探しに行きたいというのもありますし、キャンプとか挑戦したいことは結構多いです」

――最後に、北海道そして全国のファンの皆さんへメッセージをお願いします。

「ありがたいことにデビュー当時から札幌でライブをやらせてもらっていることもあり、12年間ずっとアットホームな感じで、優しく応援してくださった方が多くいて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

でも最近なかなか(北海道に)行けなくて、寂しい気持ちでいますので、今後もいろんな活動で繋がって、楽しい時間を過ごしたい。これから皆さんにもお会いできたらと思います」


<北海道での今後の予定>
「クリス・ハートスペシャルディナーショー Hart&Soul~心に響く日本のソウルミュージックの世界~」
2025年8月3日(日)札幌パークホテル パークホール

北海道文化放送
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