大規模な災害が発生した際、様々なスキルをもったプロが入浴や食事など日常生活で必要な支援にスピーディーにあたろうという取り組みが、愛媛県松山市で始まりました。地域に密着した業界だからこそできる支援とは。
毎年のように全国で発生する大規模な自然災害。県内でも将来南海トラフ地震が発生すると長期間、広範囲で避難生活が続くおそれがあります。
3月17日松山市は地元の県生活衛生同業組合連合会と、災害が発生した際の支援協定を結びました。連合会に加盟するのは公衆浴場や飲食店、理髪店など私たちの日々の暮らしに関わる13の業種。いざという時、市の要請を受け、飲食のプロが炊き出しなどのボランティアを行うほか、被災者に施設を開放するなどの支援も期待されます。
県生活衛生同業組合連合会・松山地区・河野治広代表:
「協定がないと、自主的なボランティアでやりましょうということになっても、一体どこどこでどんなことが起こってるのか、というのがすぐにはわかりませんので、(今後は)要請を受けるとすぐに対応が直接でできると思います。」
災害発生時、もう一つ大きな課題となるのが、お湯が流れているところ、お風呂の問題です。自宅が倒壊したり水道、ガス、電気が止まったりすることで入浴できなくなるんです。
内木敦也キャスター:
「昔ながらの雰囲気が残っていて、実際に入ってみると湯加減も良くて気持ちがいい銭湯です。この施設も災害時無料で入浴できるようになるということです。」
創業70年、奥道後温泉の源泉を引く老舗の銭湯「寿温泉」も、今後は被災者にお風呂を無料開放することにしています。寿温泉のある松山市緑町は2024年7月、松山城城山の土砂崩れにより大きな被害を受けました。
西岡誉明代表は当時被災者を十分に支援できず、もどかしい思いを抱いたと言います。
寿温泉・西岡誉明代表取締役(県公衆浴場業生活衛生同業組合松山地区支部長):
「どのような支援をしたらいいのか、行政も情報発信する術がなかったから十分な支援ができなかったという思いがありました。十分な受け入れ体制が取れるんじゃないかと思っています。」
銭湯には疲れを癒そうと、多くの入浴客が訪れていました。常連客も多く、生活には欠かせない場所です。
入浴客:
「毎日お風呂に入れないと、人間のメンタルが落ちるんじゃないかなと思いますね。」
入浴客:
「ここのお風呂は最高じゃ。寿さんのとこ行きよったら、よそのとこは行きにくいわい。」
「(Q災害の協定について)災害があったりしたら、助け合わんといかんけん、そういうのはええことや思うよ。」
ただ避難者の受け入れでかかる費用は、一部の場合を除き事業者の負担となります。風呂を沸かすためのガス代が例年の2倍に上がるなか、一般公衆浴場の入浴料は上限が決められているため、値上げもできません。それでも被災者を受け入れるのは、困っている地域の人を助けたいという思いです。
寿温泉・西岡誉明代表取締役:
「やっぱり地域に根差している銭湯なので、そういった(災害)時に地域の皆さんに恩返ししたいという思いもありますので、それは『心意気』でやっていこうかなと思っています。」
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