天皇皇后両陛下と秋篠宮ご夫妻は4月12日、大阪市で開催中の「大阪・関西万博」開会式に出席された。今回の万博は秋篠宮さまが名誉総裁を務められているが、今から20年前、愛知県で開催された「愛・地球博」では、当時・皇太子だった天皇陛下が名誉総裁を務められた。平成17(2005)年4月3日に放送された「皇室ご一家」(第1317回 両陛下 皇太子さま 愛知万博へ)を通じて、貴重な画像満載で振り返る。

なお、本記事は当時のナレーションをそのまま記載。現在の天皇陛下は当時の「皇太子さま」、上皇ご夫妻は「天皇皇后両陛下」と記載する。

「2005年日本国際博覧会 愛・地球博」が開幕

「2005年日本国際博覧会 愛・地球博」が3月25日に開幕しました。「自然の叡智(えいち)」をメインテーマに、国内では大阪万博以来35年ぶりの開催です。

名古屋市の東、長久手町と瀬戸市に造られた2つの会場には、日本を始め世界121カ国のパビリオンが建ち並び「自然との共存」を呼びかけます。

2005年4月 開幕した「2005年日本国際博覧会 愛・地球博」
2005年4月 開幕した「2005年日本国際博覧会 愛・地球博」
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愛知万博の名誉総裁を務められる皇太子さまは、開会式ご出席の為、3月22日から4日間、愛知県を訪問されました。

皇太子さま 瀬戸日本館へ

3月23日。瀬戸会場の瀬戸日本館へ。
瀬戸日本館は、「自然と生きる日本人の知恵・技・こころ」をテーマとしています。

瀬戸日本館を視察される皇太子さま
瀬戸日本館を視察される皇太子さま

皇太子さまは、屋上に設けられた、建物全体の換気を行なう「風の塔」、ソーラーチムニーをご覧になりました。

建物全体の換気を行なう『風の塔』ソーラーチムニー
建物全体の換気を行なう『風の塔』ソーラーチムニー

自然の風を利用したこれらのシステムに、大変感心されたご様子でした。

皇太子さま リニモで長久手会場へ

続いて万博八草駅から、磁気浮上式リニアモーターカー「リニモ」に乗車され、長久手の万博会場へ。

磁気浮上式リニアモーターカー「リニモ」
磁気浮上式リニアモーターカー「リニモ」

およそ2キロの行程を楽しまれた皇太子さま。この後、両陛下をお迎えするため、迎賓館に向かわれました。

「万博会場駅」で降車される皇太子さま
「万博会場駅」で降車される皇太子さま

天皇皇后両陛下は、愛知万博開会式ご出席のため、この日の午後、万博会場に到着されました。

長久手会場に到着された天皇皇后両陛下
長久手会場に到着された天皇皇后両陛下

両陛下が皇太子さまとお揃いで地方を訪問されるのは、広島アジア大会以来10年ぶりです。

両陛下・皇太子さま グローバル・ハウスへ

さっそく、両陛下と皇太子さまは「グローバル・ハウス」へ。
ここでは「私たちの地球物語」をテーマに、展示や映像を通して地球と人類の歴史と未来にふれることが出来ます。

愛・地球博のテーマ館「グローバル・ハウス」
愛・地球博のテーマ館「グローバル・ハウス」

両陛下と皇太子さまは、原寸大のマンモスの模型や発掘の模様などを興味深げにご覧になりました。

原寸大のマンモスの模型をご覧になる両陛下と皇太子さま
原寸大のマンモスの模型をご覧になる両陛下と皇太子さま

そして、今回の万博で最も注目されている「冷凍マンモス」の展示コーナーへ。

3年前、シベリアの永久凍土から冷凍のまま発掘されたおよそ1万8000年前のユカギルマンモスの頭部と左前足です。

冷凍マンモスの頭部
冷凍マンモスの頭部

「まつげもあります」との説明に、「本当に」と驚かれた様子の両陛下。「いいものが見つかりましたね」などと話されていました。

冷凍マンモスの左前足
冷凍マンモスの左前足

また皇太子さまも「絶滅した理由は?」「ユカギルの他にも発見されているのですか?」などと熱心に質問されていました。

両陛下・皇太子さま 長久手日本館へ

両陛下と皇太子さまは、続いて「長久手日本館」へ。
マユ形の建物を編んだ竹で包み、まるで「竹カゴのまゆ」を思わせます。

長久手日本館
長久手日本館

「つなぎ直そう、人と自然」をテーマに竹や間伐材で造られたこの会場は、光と水音、香り、映像による癒しの森林空間を造り出しています。

光・音・映像を駆使して作られた「森林空間」をご覧になる両陛下と皇太子さま
光・音・映像を駆使して作られた「森林空間」をご覧になる両陛下と皇太子さま

両陛下と皇太子さまは、この森のイメージにたいへん関心を示されたご様子でした。

両陛下と皇太子さま 「愛知万博開会式」ご出席

翌3月24日。両陛下と皇太子さまは、エキスポドームで行なわれた「2005年日本国際博覧会 愛・地球博」の開会式に出席されました。

「2005年日本国際博覧会 愛・地球博」開会式
「2005年日本国際博覧会 愛・地球博」開会式

この万博には史上最も多い121カ国と4つの国際機関が参加しています。
会場には、各国の関係者や招待客など2400人が集まりました。

《天皇陛下おことば》
「愛・地球博が、世界各地から会場を訪れる人々に、人類と自然のかかわりについての理解を一層深めさせ、世界の人々が手を携えて地球の環境を良好に保つよう努力する契機となるならば誠に喜ばしいことであります。ここに、世界の多くの人々の協力の下に開催される2005年日本国際博覧会の開会を祝し、その成功を祈ります」

開会式でおことばを述べる天皇陛下
開会式でおことばを述べる天皇陛下

そして名誉総裁の皇太子さまが、開幕を告げる地球型のオルゴールを鳴らされ、185日間の愛知万博がスタートしました。

ガラス製の地球儀型オルゴールを鳴らされる皇太子さま
ガラス製の地球儀型オルゴールを鳴らされる皇太子さま

このあと、未来から来たという設定の子供が「環境を壊さないで」と呼びかけると、両陛下をはじめ、会場の人々が指で「約束のポーズ」をつくり、これに応えました。

ステージと客席が一体となり指で「約束のポーズ」を作る
ステージと客席が一体となり指で「約束のポーズ」を作る

フィナーレは、母なる大地『マザーアース』の大合唱となりました。

皇太子さま・開会式レセプションご出席

この夜、皇太子さまは、名古屋市内のホテルで行なわれた開会式レセプションに出席されました。

「2005年日本国際博覧会 愛・地球博」開会式レセプション
「2005年日本国際博覧会 愛・地球博」開会式レセプション

《皇太子さまおことば》
「この博覧会の準備に携わってこられた地元・愛知県をはじめとする、国内外の皆さんの熱意と努力に対して心からの敬意を表するとともに、愛・地球博が、人類と自然とが共存していける社会を実現する契機となり、いつまでも皆さんの思い出に残る実り多いものとなることを願い、挨拶といたします」

おことばを述べられる皇太子さま
おことばを述べられる皇太子さま

万博の名誉総裁として、各国の関係者と親しく歓談された皇太子さま。
愛知万博の成功を心から願われていました。
(「皇室ご一家」第1317回 平成17年4月3日放送)

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