急上昇ニュースのコーナーです。3月26日に発表されたサッカー・ファジアーノ岡山のJ1昇格に伴う経済波及効果について担当の篠原記者がお伝えします。

(篠原聖記者)
「年間で54億円。日本政策投資銀行が岡山県の産業データをもとに試算したJ1のファジアーノが県内にもたらす経済波及効果です。J2だった時の数字も出されていて、2024年は30億7000万円。つまりJ1昇格によって、23億3000万円の効果があるということになります。

詳しく見ていきますと、スタジアムの内外での飲食やグッズ購入、アウェーサポーターの移動や宿泊、チケットの購入といった「観客消費」が27億2000万円。選手・監督らの人件費やイベント経費など「クラブ運営」が26億8000万円となっています。

また雇用創出にも効果があるということです。カテゴリーが上がったことでクラブの事業が拡大し関連する企業を含め、2024年より約180人増える想定です」

・・・ファジアーノのJ1昇格がまちに大きなにぎわいをもたらしているということになりますね。

(篠原聖記者)
「はい、今の盛り上がりが数字で示されたわけですが、日本政策投資銀行はこの数字には表れていない部分でも大きな効果を生み出すと分析しています」

(リーセントカルチャーホテル 古閑三絵さん)
「スタジアムがここからよく見える」

ファジアーノのホームスタジアム、「JFE晴れの国スタジアム」の目の前にある「リーセントカルチャーホテル」です。

(リーセントカルチャーホテル 古閑三絵さん)
「対戦相手のチームの人からの予約が急に増えた。関東方面からが今までいなかった客」

2月15日の開幕戦以降、ホームゲームがある週末はほぼ満室、J1昇格がもたらす経済波及効果を強く感じていました。

(リーセントカルチャーホテル 古閑三絵さん)
「岡山の良い所を見てもらえることと、熱を感じてもらえることでファジアーノのJ1効果を感じる」

年間54億円にまで効果を押し上げる最大の要因が「観客数の増加」です。2025シーズンのこれまでのホームゲーム4試合の平均観客動員数は1万3790人と、2024シーズンの1.5倍。試算では、2025シーズン平均1万4000人が訪れると想定していて、「観客消費」の項目では24年の2.1倍に膨れ上がっています。

日本政策投資銀行はこうした盛り上がりが、数字では表せない社会的価値を生み出すと分析しています。

(日本政策投資銀行岡山事務所 長澤健一所長)
「チームを応援することでの満足感、地元が一体感を持つこと。さらには青少年の健全なスポーツ文化の振興といった経済的価値では測れない社会的価値が大きい」

観客の中でもより地元経済に貢献しているのがアウェーサポーターです。
J1開幕後初めて関東のチームを迎え入れた川崎フロンターレ戦では、約2500人が来場。試合だけでなく岡山のグルメや観光を楽しんだという声が多く聞かれました。

(川崎フロンターレサポーター)
「大阪、鳥取から来た。もともと全員川崎に住んでいたがバラバラになっていて、岡山で集合した」
「スタジアムグルメたくさん買いました。ご飯がおいしいので」
(親子)
「前日から岡山に入って倉敷に行って、きょうは岡山城と後楽園を見てから来ました」
「(Q:岡山にこれまで来たことは?)ないです!これまでは通過したことしかなかった」

(日本政策投資銀行岡山事務所 長澤健一所長)
「今回、経済波及効果に入っていないものとして「ついでの観光」がある。ホームサポーターと比べると1人あたりの県内消費が大きい。間接的なところを含めると、この数字よりも波及効果は大きい」

・・・試合観戦だけじゃなく観光も楽しみたい

(篠原聖記者)
「J1の平均観客動員数は約2万人。岡山でもこの平均並みとなれば経済波及効果はさらに7億円増えるとされています」

・・観客数をどれだけ伸ばせるかが経済波及効果をより大きくさせるためのカギを握っていると言えそうですね。

(篠原聖記者)
「そうなんですが、一方で2025シーズン、ホームゲームの観戦チケットは即完売し、スタジアムは満席。観客数を大幅に増やすことは難しいのが現状です。そうした中、規模を大きくした新しいスタジアムの建設について議論が進んでいます」

3月11日、ファジアーノ岡山の森井悠社長はチームを応援する岡山県議会の議員団の前で規模が不足しているスタジアムの現状を訴えました。

(ファジアーノ岡山 森井悠社長)
「岡山に住んでいる人が見たくても見られない状況が続いている。加えて県外からの来場者も、おそらくこの売れ行きであれば4000人から5000人の来場がありそうなところをスタジアムの収容人数の課題から2000人に絞らざるを得ない状況」

スタジアムの新設には行政からの支援が必要不可欠。現在のスタジアムを運営する岡山県の伊原木知事は県民の盛り上がりを注視し判断するというスタンスをとっています。

(岡山県 伊原木隆太知事)
「実際にはいろいろなハードルがあるが、これだけ盛り上がっているのでどういうことをすればクリアできるのかみんなで考えていきたい」

(日本政策投資銀行岡山事務所 長澤健一所長)
「現在ホームゲームがほとんど満席ということを考えると経済の観点からは(にぎわい創出の)機会を逸していると言える。今、新スタジアムの議論があるが、仮に新スタジアムができれば経済波及効果やクラブの収益基盤の観点からも効果は大きいと言える」

(篠原聖記者)
「ファジアーノがJ2に昇格した2009年の経済波及効果は約11億円でした。そこから15年で約5倍に伸びていてサッカーを岡山の文化として根付かせるためにクラブは100年先を見据えながら成長を遂げてきました。スタジアムの新設についても地域のニーズをしっかりと把握しながらクラブの今後の成長や未来を見据えて議論を重ねていく必要があります」

岡山放送
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