高知・四万十市のトンボ自然公園にある「四万十川学遊館あきついお」で、生成人工知能(AI)を活用した「AIトンボ先生」の実証実験が行われている。トンボ研究の第一人者の姿と声を再現したアバターが、来館者の質問に答える画期的な取り組みだ。
100冊の著作物から誕生!トンボ研究の第一人者をAIで完全再現
「AIトンボ先生」のモデルとなったのは、トンボと自然を考える会の常任理事である杉村光俊さんだ。

トンボの研究と保護活動を続ける第一人者として知られる杉村さんの知識をAIに学習させ、その姿と声を再現したアバターを作成した。

この画期的なプロジェクトは、地元の情報通信会社STNet(エスティーネット)と韓国のITベンチャーの共同研究によって実現。四万十川学遊館の魅力向上を目指し、杉村さんが関わった100冊以上の著作物をAIに学習させ、質疑応答システムを開発した。
「どっから取ってきたんだろうね」 AIの回答精度には課題も…
実証実験では、来館者がAIトンボ先生に質問を投げかける様子が見られた。ある来館者が「高知県には何種類のトンボが住んでいるんですか」と尋ねると、AIトンボ先生は8秒ほど考え込んだ後、「高知県には50種類以上のトンボが住んでいます」と回答した。

しかし、この回答に対し、実際の杉村さんは「どっから取ってきたんだろうね、この数字…。一応我々は94種類ということにしています」と指摘した。

AIの回答精度にはまだ課題があり、杉村さんは「入力されているデータが少ないので正確には出てこないのかな」と分析している。
「新たな疑問をここで解決」 AIトンボ先生が切り開く博物館の未来像
精度の問題はあるものの、杉村さんはAIトンボ先生の実用化に期待を寄せている。「入館者が少ないですけども、ネイチャーの事よりも、今からはAIとか機械の好きな方が多いので、そういうところから入ってもらって、新たな疑問をここで解決してもらうような流れができればいいかな」と語った。

AIトンボ先生の実証実験は3月30日まで行われる。その後、実用可能かどうかの研究が進められる予定だ。