世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つ「原城跡」がある長崎県南島原市。自然豊かで、歴史ある南島原市で地元の花々や海岸に流れ着いた流木を使ったハンドメイド作品の店を開いたアーティストがいる。
青い看板が目印「ATELIER SH」
青い黒板が目印のアトリエ・南島原市有家町の「ATELIER SH(アトリエ エスエイチ)」。島原半島を中心としたハンドメイド作家のアクセサリーやキャンドルなどを販売している。

店内を華やかに彩るのはドライフラワー。南島原出身で店主の吉田志穂さん(42)が手がけたものだ。

作業場に案内してもらうとたくさんの種類の花が置かれていて、吉田さんはそこから客の雰囲気や贈られる人の好きな色みを聞いてドライフラワーを作っている。

吉田さんが大切にしているコンセプトやテーマは「イングリッシュガーデン」。ヨーロッパのような、あまりない雰囲気の花を作るように心がけているという。
島原で育まれた花々を使いたい思い
吉田さんが花に魅せられたのは24年前。地元の花屋でのアルバイトや花農家で働いた経験がドライフラワーの作品作りに生かされた。

吉田志穂さん:かわいい花を作っている農家が地元にたくさんいる。島原半島のきれいな土地で採れた花を使いたい(という思いがあった)。生花ってすぐ枯れる、破棄される花が多いがドライフラワーになるような花がずっとかわいいままで残ってくれるので、みんながずっと飾ってくれるようなドライフラワーを心がけている

花の生産も盛んな南島原市。吉田さんの作品には地元産の花々も使われている。
春をイメージしたリース「若草物語」
この日は「春」をイメージしたリースをその場で作ってくれた。

吉田さんは作品から湧き上がるイメージから名前をつけている。スターチスという植物を使って作られたリースは「若草物語」と名付けた。

実家だった場所を人をつなぐ場所に
アーティストとして、充実した日々を送る吉田さんだが、その活動のきっかけは海だった。
吉田志穂さん:友人と海に行ったら流木とシーグラスが落ちていた。流木で何か仕事ができるかもと思って流木雑貨を作ったのが最初。このままくすぶる感じが嫌でやってみようと飛び出したのがこの仕事の始まり。

作品の制作により力を入れたいと思った4年前、吉田さんは父親を亡くした。
空き家となった実家をリノベーションして、再生。もともと窓だった場所にはアトリエの目印となるよう看板を設置した。この場所での店のオープンは地元の人とのつながりを生んだ。
吉田志穂さん:ATELIER SHがあるこの通りは(神社の)参道になっているが昔はいろんな人が行ったり来たりだったが人足が少なくなってきた。絵を描いたりしていたら小学生や中学生が黒板にメッセージをくれる。

吉田さんは地元の活性化のためにイベント「アオノコクバン」も始めた。吉田さんの流木雑貨、ドライフラワー作品のほか地元産の魚や、野菜、それに古着なども販売されている。(次回開催日時などはインスタグラム「アオノコクバン」で確認)

好きなことを仕事にしたいと大きな決断をして進んだ流木・ドライフラワーアーティストの道。
吉田さんの作品は南島原で、きょうも生み出されている。
(テレビ長崎)