「白馬長野有料道路」と「志賀中野有料道路」の2つの有料道路が相次いで「無料化」された。いずれも長野オリンピックを前に整備され1995年に開通した道路で、30年の料金徴収期間が終わった。待望の「無料化」で、沿線では効果に期待が高まり、地域住民や観光客からは歓迎の声が上がっている。
白馬と長野結ぶ有料道路
1995年2月16日に開通した白馬長野有料道路。通称、オリンピック道路。1998年の長野オリンピックでの選手や観客の迅速な輸送を目指して整備され、橋とトンネル部分を含む長野市信更町安庭から中条までの約2キロが有料だった。

料金は車両区分によって150円から580円。オリンピック以降も産業や観光を支える幹線道路として利用されてきた。
2004年に信更町安庭で地滑りが発生した際には、国道19号の迂回路として一時、無料開放も。

2024年11月までに利用した車両は3814万台に上り64億円ほどの収入があったという。
無料化で続々と車が通行
開通から30年―。
徴収期間が終わった2025年2月16日の午前0時から完全無料化となり、続々と車が通行していった。

白馬村からの利用者は「ちょっと高いなと思っていたので無料になってよかったです。結構、長野は行くんですけど、より行きやすくなるかなと思います」と喜びの声を寄せた。
県道路建設課の担当者は「物流とか、観光の振興にも期待されますし、さらに地域間の交流促進、こういうものにも期待しています」と話した。
沿線の長野市中条、小川村の事業所などは交通量の増加で集客や活性化が見込めると期待している。

道の駅 中条・横畑輝 駅長は「中条は長野市と白馬村をつなぐちょうど真ん中にある道の駅だったりもするので、無料化でもっとたくさんの人に来ていただけると、とてもうれしいなと思います」と話した。やきもち家(宿泊施設)・小松英樹支配人は「(道路の)流れが良くなれば、中条の方の地域活性化になれば、どんどんお客さんが来てくれて、活性化になるとすごくいいなと思い、期待しています」と歓迎した。
ホテル白馬・柴田謙二代表は「(白馬村に来る)観光のお客さまに関しては、もともと有料道路を支払って来られていると思うので(無料化で)使いやすくはなると思いますけど、直接的に観光に寄与するかというと、そこはあまりそうではないのかなと」と話した。

これまで料金のために通行を控えていた住民も多かっただけに暮らしにも恩恵がある。中条地区の住民は「病院が信州新町にあるんだけど、峠を越えないでトンネルを通れば近いし、安全」と話した。
県道路建設課の担当者は「これまで有料道路を迂回していた車両による騒音や振動、(迂回ルートの)沿道の環境も改善されると考えています」と住民の生活環境改善への期待を寄せた。
志賀高原へとつながる道路も無料に
もう一つ、3月16日から無料化されたのが「志賀中野有料道路」。信州中野インターから全長720メートルの中野トンネルを通り、志賀高原方面へとつながる。

こちらも開通から30年。地域住民や観光客にとっても待望の無料化だ。
開通したのは長野オリンピックを3年後に控えた1995年。当初、普通車の通行料金は300円だったが、2004年に100円に値下げされた。
志賀高原へ向かう観光客などが多く利用し、30年間で、約54億5000万円を徴収した。
迎えた3月16日。無料化を受け、続々と車が通行していった。
大阪から長年スキーに通う観光客は「100円の値打ちはあるなと思ってたけど、無料になって大変助かっています。大阪を代表して言います(笑)」とうれしそうに語った。
迂回して中野市街地を通ることが多かった地域住民も、時間の短縮につながると歓迎している。
実家が中野市の女性(長野市在住)は「(これまでは)時間があるときには通らない。これからは頻繁に使います。(実家に行った)帰りはどうしても帰宅ラッシュに巻き込まれてしまったので、100円ならって使ってたけど、100円も『チリツモ』で長かったですね、やっとです。(今後は)もう毎週のように帰ります」と話した。
周辺の店舗も地域活性化に期待
周辺の店舗も無料化に期待を寄せている。地域の15の店舗が連携して4月6日までキャンペーンを行っていて、直売所ではリンゴジュースを割引している。
農産物産館オランチェ・町田学館長は「地域の活性化、売り上げアップに期待するところです。これから特産のアスパラや果物も出てきますので、たくさん取りそろえてお迎えしたい」と話した。

インター近くのラーメン店もキャンペーンに参加し、ギョーザを100円引きで提供している。
長野市から来た客は「おいしいですね、シソが効いていてあっさりしてておいしいです。(道路が)もっと使い勝手よくなって、実家が飯山なので飯山に来てくれる人も多くなるとうれしい」と話した。

有料道路を通勤に利用していたという客(中野市在住)は「街の活性化にもつながるかもしれないし、中野市の魅力発信にもつながるんじゃないかと思っています。ギョーザもおいしいです」と期待を寄せた。
そうげんラーメン・稲田美穂店長は「この通りもにぎやかになれば、店に来てくれる客もたくさんいるのかなと楽しみです」と話した。
沿線の期待が大きい無料化。
白馬長野有料道路と志賀中野有料道路に続いて県道路公社が管理する道路では五輪大橋有料道路も、2026年12月に無料化される予定だ。
(長野放送)