札幌市に無許可で設置された動物園「ノースサファリサッポロ」が10日、2025年9月末で閉園すると発表した。飼育されている約500匹もの動物の行き先は未定だ。

運営会社は、静岡・富士宮市のテーマパークの経営権を取得し、一部の動物の移送を検討していると明らかにした。市は、3月中に詳細な移送計画を出すよう求めている。
突然の閉園発表…動物たちの行き先は“未定”
10日、“日本一危険な動物園”として人気だった札幌市南区にある「ノースサファリサッポロ」が突如、2025年9月末で閉園すると発表した。
閉園発表後、初めての日曜日となった3月16日には、園内で来場者が犬ぞりやペンギンと写真を撮るなどして楽しんでいた。

ノースサファリサッポロでは、ライオンやカピバラ、アザラシ、カメなど約150種類、500匹以上の動物が飼育されている。しかし、閉園後の動物たちの行き先について、札幌市の秋元克広市長は…
札幌市・秋元市長:
動物の移動について、いつ、どこへ、どのようにという内容は知らされておりません。

具体的な内容を伝えられていないことを明らかにした。
FNNの情報公開請求により開示された554ページ、6cmもの厚さになる札幌市の内部資料に掲載されていたのは、獣舎などの写真、違法建築物の数々だ。
「ノースサファリサッポロ」は、開発が制限される市街化調整区域に無許可で飼育小屋など156棟を建て、20年に渡って営業を続けてきた。市は撤去命令を準備していたが、動物園側はそうした中、突然閉園を決めた。

残される動物たちの行き先はどうなるのだろうか?
札幌市には、市が管理運営している円山動物園がある。ライオンのオスとメス、合わせて2頭を冬は屋内の2つの部屋で飼育している。「ノースサファリサッポロ」のライオンを引き取ることはできないのか聞いてみると…

円山動物園 前野良史飼育展示・診察担当課長:
我々の施設は、これが限界だと思っています。他の個体を入れると闘争を起こしてしまう危険性がありますので、受け入れは難しいと答えざるを得ないと思います。
ライオンは群れを作る動物で、ひとつの群れにオスは原則1頭だけだ。同じ空間でオス2頭を飼育すると、傷つけ合ってしまう恐れがあるという。さらに肉食動物のライオンの餌代は、1頭あたり年間約35万円かかる。数を増やせば、飼育員の増員も必要になるという。
では、ライオン以外の動物なら引き取ることはできるのだろうか?

関根弘貴記者:
かわいく泳ぐアザラシたちですが、水に住む動物ならではの課題があるということです。
円山動物園では、現在4頭のアザラシを飼育している。ところが1頭増やすだけでも、簡単なことではない。

円山動物園・前野良史飼育展示・診察担当課長:
(水が)汚れやすくなるので病気や皮膚炎を起こす可能性が出てくる。水を綺麗にする『ろ過装置』は今の飼育頭数で限界だと思います。受け入れられないということになってしまう。
移送先候補に浮上した富士宮市は困惑
他の施設が動物を引き取るには、高いハードルがありそうだ。
その一方、「ノースサファリサッポロ」を運営する会社が、静岡・富士宮市のテーマパーク「富士花鳥園」の経営権を取得し、一部の動物の移送を検討していることが明らかになった。
「富士花鳥園」は、色とりどりの花や、さまざまな種類の鳥と触れ合える観光施設だ。30年以上営業を続けてきたが、2025年1月から休園している。先週の市議会で質問を受けた富士宮市の須藤市長は…

富士宮市・須藤秀忠市長:
困ったことでありまして、お引き受けするような代物ではないと。札幌で法律違反をやって、また富士宮に来てそんなことをされても困ります。
須藤市長は困惑を隠せない様子だった。また、富士宮市の担当者は、運営会社から相談があったことを明らかにした。
富士宮市・湯沢智都市整備部長:
2月にこの事業者から漠然とした相談があり、その際には開設時の事業内容と異なる事業が認められないものであることなどを伝えました。

日本一危険な動物園と謳っていた「ノースサファリサッポロ」の閉園まで、あと半年あまりだ。
札幌市は、すべての動物の受け入れ先や移動のスケジュールなどを、3月中に報告するよう求めている。
(「イット!」3月21日放送より)