2025年1月の全国大会=春の高校バレーにも出場した鎮西学院高校バレーボール部。共に戦ってきた友人や支えてくれた家族への感謝の気持ちを胸に、卒業の日を迎えた。個性豊かな選手たちの旅立ちに迫った。

「今までやってきたことが光った」春高の舞台

卒業する部活動の先輩をにぎやかに送り出す、鎮西学院の卒業式当日の伝統「歓送(かんそう)」。この日、男子バレー部の3年生17人が卒業した。

鎮西学院 園田柊弥選手
鎮西学院 園田柊弥選手
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鎮西学院 園田柊弥選手:3年間の思い出が残っていてめっちゃ楽しかった3年間だった

鎮西学院 吉武龍央選手
鎮西学院 吉武龍央選手

鎮西学院 吉武龍央選手:いま振り返ってみたら楽しかったし、ほんとうきつい練習とかいま寂しいなと感じます

春高バレー1回戦 北海道科学大高戦
春高バレー1回戦 北海道科学大高戦

鎮西学院は2025年度のインターハイ、春高と2つの全国大会に3年ぶりに出場。春高(選手権)では初勝利をあげた。(春高バレー2回戦 東亜学園戦)

吉武選手は鎮西学院の元気印だ。鎮西学院は全国ベスト4を目標に掲げ、吉武選手はチームを鼓舞し続けたものの2回戦で悔しい逆転負けを喫した。

鎮西学院 吉武龍央選手:あそこを勝ちきれなかったのは自分たちの最後の甘さだったと思うけど春高の舞台に立てて勝利(1勝)することができたのは自分たちが今までやってきたものが光った

毎朝4時の朝食づくりに送迎…選手たちの支え

吉武選手は島原市の出身だ。

提供:吉武選手 島原第三中時代)
提供:吉武選手 島原第三中時代)

中学の時にバレーで結果を残せず“不完全燃焼”だったことから県内の強豪、鎮西学院に進学した。

祖母の郁子さん
祖母の郁子さん

朝ごはんの支度をする祖母の郁子さん(※取材当時78歳)。プレー上達のため練習時間を少しでも長く確保しようと1年の途中からは学校に近い祖母の家で下宿をしていた。

「孫の方が、目玉焼き作るのが上手。おばあちゃん下手」と明るく笑う郁子さんだが、毎朝午前4時に起きて朝食の準備、その後は車で送り迎え、そして夜8時にまた迎えに行き、帰宅後も洗濯と、孫を支えてきた。

10代の多感な時期でもあり、そこまで会話は多くなかったようだが、この日祖母への「感謝」の気持ちを口にした。

鎮西学院 吉武龍央選手:おばあちゃんには約2年間くらい住まわせてもらって感謝しかないし、2年間受けてきた恩をプレーでも返せたと思うけど、全国でもベスト4に行けなかった悔しさがあるので。ここからの人生でおばあちゃんに何らかのサポートをできたらと思います。いつもありがとう

孫からの思いがけない嬉しい言葉に郁子さんも「ありがとう。(普段は)なんも言わないけどね。思ってたんですね。龍央くん、ありがとう」と笑顔を見せた。

吉武選手は系列校の鎮西学院大学に進学して競技を続ける。

吉武選手は「大学に行って車の免許を取り、車を運転してどこか連れて行ってあげられたら」と大学生らしい恩返しも考えているようだ。

“最高の相棒”と勝ち取った日本一 

鎮西学院バレー部の特徴は練習に「ビーチバレー」も取り入れていることだ。

長崎県諫早市・結の浜 ビーチバレー 

吉武選手と同じ、鎮西学院大に進学する園田選手はチームのエースだった。

鎮西学院 園田柊弥 選手:(ビーチバレーの魅力は)インドアにもつながるし自分はビーチをずっとしていてジャンプ力も上がったのでそれも魅力だと思う

佐賀国スポ/2024年
佐賀国スポ/2024年

園田選手は、チームメイトの梶山剛大選手とペアを組み全日本ジュニアと国スポ、2つの全国大会で日本一に輝いた。園田選手と“最高の相棒”だった梶山選手は県外の大学へ進学するため日本一ペアは解消となる。

梶山剛大選手:国体と全日本で 柊弥と組んで、正直、柊弥のおかげで日本一になれたので自分はただ柊弥の要求に応えてやっただけなので、ありがとうございました

鎮西学院 園田柊弥 選手:要求に応える(表現)止めて!俺が自己中みたいやん(笑)

サプライズで両親への感謝も そして将来へ

卒業式当日。吉武選手は卒業生320人を代表し答辞を任された。

在校生や保護者が見守る中、吉武選手は「1番感謝の気持ちを伝えたい人は18年間私を育ててくれた父と母です。そして2年間私の面倒を見てくれたおばあちゃん、おばあちゃんのサポートがないとここまでバレーに取り組めていませんでした。本当にお世話になりました。ぜひ3年生のみんなはこの卒業式が終わった後に 一緒に過ごした仲間や指導してくださった先生、そして自分の両親にありがとうと感謝の気持ちを伝えてください」と改めて感謝の思いを伝えた。

吉武選手の母・忍さん
吉武選手の母・忍さん

息子が何を話すのか知らされていなかった母・忍さんは、「ねぇ、泣きましたよ。当日楽しみにしとってと言われて。本当に幸せな3年間でした鎮西に来て良かったです本当に戸田先生に拾ってもらって育ててもらった。育て上げてもらった。感謝しかない」と、笑顔で3年間を振り返った。

鎮西学院 卒業式
鎮西学院 卒業式

2人は、全国大会にも出場した部活動生活を通して将来につながるヒントも見つけた。

園田柊弥選手:いろんな大会に出て優勝もしたいし3月16日から神奈川で(ビーチバレー)日本代表の第三次選考会があるので、日本代表になれるよう頑張りたい

吉武龍央選手:ムードメーカーみたいな役割を高校を通じて身に着けたので大学に行ってもその役割を果たして大学バレーの雰囲気をよくするよう頑張りたいと思う。全国(大会)に行って外国人選手とかいて、英語で話していて、自分も英語に関わる仕事に就けたらなと思っています

個性豊かな部員を生み出す鎮西学院バレー部の歴史はこれからも続く。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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