秋篠宮家の長男・悠仁さまは3月18日筑波大学附属高校を卒業された。
高校入学から卒業までの3年間の生活について、宮内庁が文書を発表した。
全文は以下の通り。
悠仁親王殿下は、幼稚園から中学校までお茶の水女子大学の附属学校園に通われた後、筑波大学附属高等学校に入学されました。
「自主・自律・自由」をモットーとする校風のもと、新しい環境で新たなご友人たちとの出会いがあり、学びを深められながら、学校行事や部活動など様々な経験をされて、のびやかに充実した高校生活を送られました。3年間、心身ともにご立派に成長されました。
高等学校の各教科の学習とともに、3年生の初夏まではバドミントン部の活動を楽しみながら、試合に出場されたり、ご友人の応援をされたりしました。
学校行事では、文化祭(桐陰祭)、スポーツ大会、沖縄県への修学旅行などに参加され、良い思い出になったそうです。
昨年9月の桐陰祭では、クラスの仲間と協力して耐熱煉瓦を組み上げた石窯を作成し、その中で焼いたピザの販売を行われました。窯の中の温度を上げるために煉瓦の組み方を変えたり、空気の送り込み方を工夫したりと試行錯誤の連続だったそうですが、上手くピザが焼けた時にはクラスの仲間とともに達成感を味わわれたようです。
スポーツ大会では、3年生の時もバレーボールに出場されました。チームの仲間と休み時間を使って練習し、ともに喜び、声を掛け合いながら、プレーをなさっていたそうです。また、クラス全員が参加するクラス対抗戦では、実行委員が発案した「棒奪い」という競技に出場されました。
悠仁親王殿下は、大学ご進学を見据えて学習を続けてこられた中で、筑波大学がご自身の学びたい環境であるとお考えになり、同大学の受験を目指されました。
そして、ご自身の筑波大学附属高等学校における評定が、筑波大学生命環境学群生物学類の推薦要件を満たしていることを確認されて、学校推薦型選抜の入試を受けられることを考えられました。
志願理由書(志望の動機)などの出願書類の作成や面接の練習は、自己理解を深められる機会となったようです。11月下旬の本番の試験は緊張されたそうですが、準備したことを発揮されることができたようで、12月11日に合格されたことについては、喜びはもちろんのこと、それよりも安堵のお気持ちが大きかったとお聞きしております。
学校以外の時間には、3年生になられると屋外のご活動の頻度は少なくなりましたが、学習時間の合間を見て、野菜、稲の栽培やトンボ類をはじめとする生き物の生息環境の観察もされました。
悠仁親王殿下は、幼稚園の時からトマトやナス、キュウリなどの野菜を、小学校4年生からは、米の収穫もでき、生き物が集まる環境にもなることから、稲の栽培をなさってこられ、農作物へのご関心を深めてこられました。中学生の時の個人研究のテーマとして始められた稲の交配実験は、高校時代にもその経過観察を継続されました。
小学生の頃からご関心をお持ちだったトンボ類については、赤坂御用地や皇居における種や生息環境の調査を続けられました。また、トンボの生息する池や川で見られる水草に興味を持たれ、宮邸のお庭の池に水草を植栽されて、トンボとともに観察されました。
高等学校ご在学中の3年間、ご両親殿下とともに公的なご活動に携わる機会もおありでした。
毎年夏には全国高等学校総合文化祭の総合開会式に出席され(1年生は東京都、2年生は鹿児島県、3年生は岐阜県)、いくつかの部門をご覧になりました。
同年代の高校生が主体となって企画運営するこの行事を大切にされ、準備を重ねられてきた高校生たちとの交流を楽しまれましたことは、お姉様の内親王殿下方と同様です。その折には、訪問された地方ならではの施設等も併せてご訪問になっています。
他にも、1年生の1月にはJICA横浜 海外移住資料館をお訪ねになり、2年生の2月には全国学校・園庭ビオトープコンクール発表大会にご臨席になりました。
また、1年生の10月にはブータンのソナム・デチェン・ワンチュク王女殿下(国王陛下の妹君)並びに同王女殿下のお子様方と、12月にはベルギーのアストリッド王女殿下(国王陛下の妹君)と、3年生の6月にはルクセンブルクのギヨーム皇太子殿下とお会いになりました。
2年生の7月には、日本から大勢の移民が海を渡ったパラグアイとブラジルから来日中の日系人を含む同年代の方たちと交流されました。
能登半島地震発生後には、ボーイスカウト日本連盟に加盟するローバースカウト(18歳以上25歳以下の青年を対象)から、被災地で行った支援活動の状況についての説明をお聴きになりました。被災された方々や支援に当たっている方々にお心をお寄せになっています。
悠仁親王殿下は、こうした行事にご両親殿下とご一緒される機会や、ご家族が日頃から一つ一つの行事に心を込めて大切に取り組まれているお姿に接しながら、公的ご活動に臨まれる際の大切なことを学んでこられました。
昨年の12月上旬、最後の学年末試験を終えられると、高等学校の授業に出席する必要のない期間となりました。
2月上旬には、舞鶴引揚記念館をご訪問になりました。悠仁親王殿下はこれまでも、沖縄県、広島県、長崎県などでの、慰霊碑、戦跡、記念館のご訪問や戦争を経験された方のお話をお聴きになる機会などを通じて、平和の大切さを学ばれてきましたが、今また平和への思いを新たにされたようです。
2月中旬には、書陵部の所蔵する貴重な古典籍類やその修補の作業をご覧になりました。
お小さい頃から、ご両親殿下が、宮内庁の幅広い仕事を知り、それを支える職員と会って話を聞くことを悠仁親王殿下にお勧めになられ、庭園課でお正月用の春飾りや園遊会に使う懸崖菊の作業をご覧になったり、車馬課主馬班で馬匹や馬車を見学されたりしてこられました。今回初めて書陵部を訪ねられて、幅広い仕事に感銘を受け、多くの貴重な資料をご覧になる機会を得られたことを、とてもありがたくお思いでいらっしゃいました。
3月上旬に行われたご成年を迎えられての記者会見に高校ご在学中の18歳というご年齢で臨まれ、懸命に準備を重ねられて、緊張感をお持ちになりながらもご自身のお考えを述べられました。ご成年を機に、自らのお立場を改めて認識され、お考えをまとめられる貴重な機会になったものと拝察しております。
4月には筑波大学生命環境学群生物学類に入学され、9月6日には成年式が行われる予定です。大学ご在学中は学業を優先されることとなりますが、成年式を終えられますと宮中行事へのご出席を始め、公的なご活動の機会が増えることと思われます。