「女性活躍推進」が叫ばれて久しいが、男か女という理由だけで働き方や生き方が決められてしまうことはいまだに続いていないだろうか。元日経xwoman編集長は、性別の理由だけで働き方が決められてしまうことを、おもちゃの「ガチャ」になぞらえ“性別ガチャ”と定義。どうしたら女性活躍が進むか、“性別ガチャ”の克服法を伝授する講演会が長崎市で行われた。

“性別ガチャ”が組織を阻む?

「女性は営業が不向きだろう」「男性なんだから接待には付き合うのが当たり前」。本当にそうだろうか。性別だけの理由で勝手に生き方が決まってしまうことを、おもちゃ売り場やスマートフォンなどのソーシャルゲームの「ガチャ」になぞらえて“性別ガチャ”と定義した本が話題だ。

“性別ガチャ”=性別の理由だけで本人の個性や希望に関わらず、生き方や働き方が決められてしまうこと

性別だけで働き方が決められてしまう“性別ガチャ”が女性の活躍を阻み、変化の激しい時代に求められる「多様性」を受け入れる組織体制が進まない原因になっているのではないかと問題提起している。

元日経xwoman編集長 羽生祥子さんが新刊で講演会を開いた
元日経xwoman編集長 羽生祥子さんが新刊で講演会を開いた
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著者は、日経xwomanを創刊した元編集長の羽生祥子さんだ。羽生さんは内閣府少子化対策大綱検討会、厚生労働省イクメンプロジェクトなどのメンバーでもあり、働く女性の声を発信している。2人の子供を育てるワーママで、長らく契約社員で働いた「モヤモヤ期」を経験している。

2月 羽生さんの講演会(長崎市)
2月 羽生さんの講演会(長崎市)

「女性は活躍しないといけないのか」「どうして女性だけ?」「女性女性って・・・」そんな声は少なからず聞かれる。“性別ガチャ”克服法と女性活躍について、羽生さんは2月に長崎市で講演した。

社会に出ると突如やってくる“性別ガチャ”

日本では高等教育を受ける人口比率は高く、男女差はさほどない。しかし社会に出ると一転し、家庭を持つタイミングで突如として“性別ガチャ”がやってくる。

男性は正社員で働き続けるのを当然とされるのに、女性はパートタイムやアルバイトなどの勤務に変わることが多い。子供を持つと、責任ある仕事を任せるのを躊躇されることもある。

“性別ガチャ”を感じる瞬間はないだろうか
“性別ガチャ”を感じる瞬間はないだろうか

羽生さんも経験したと話す。羽生さんの夫は「学生」だった時代があった。その時の保育園の送迎は夫だったが、周りから“痛い視線”を浴びたという。「“妻はフルタイム、夫はパートタイムで働く”という選択肢があっていいのではないか」と指摘する。

男性も“性別ガチャ”の犠牲者だと感じている人はいるだろう。「男だから」と必然的に背負わされている物があることを、考える必要もある。しかし女性は社会に出ると、“女性”というだけで同じスタートラインにさえ立てないケースが多いのだ。

「男だから」「女だから」。この考え方を羽生さんは「時代ごとに変遷してきた『男性像」『女性像」があるからだ」と指摘する。各時代の政治や経済背景と法改正を調べると、性別役割分担の根源といえる“性別ガチャ”の正体が見えてくる。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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