ヤマト運輸の「宅急便」の不在票を模倣した広告がSNSに投稿され、物議を醸している。実は歯の矯正サービスを提供する企業のチラシで、ヤマト運輸とは全く無関係のもの。SNS投稿で把握したという同社は「配布元の企業に配布の中止を申し入れました」とし、一方の当該企業は、取材を申し込んだが6日夕方時点で返答はなかった。専門家は、この行為について、商標権侵害や不正競争防止法の可能性を指摘する。

「再配達の依頼をかけようと思って手に取ったら…」

SNSに投稿されて物議を醸した写真。

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一見いつもの不在票のように見える。

しかし、よく見ると、お届け先の欄には「過去に歯科矯正をほんの少しでも検討したことがあるみな様」と手書き風の文字があった。

実は、歯の矯正サービスを提供する企業のものとみられる広告のチラシだったのだ。

SNSに写真を投稿した男性は、3月2日の夜に帰宅した際、この広告がポストに投函されていたという。

チラシを投函された投稿者:
それはもうヤマトさんの不在票だと思って。ちょうどふるさと納税の荷物を受け取る予定だったので、再配達の依頼をかけようと思って手に取ったところ、よく見たら全然違うじゃないと。

ヤマト運輸のホームページに載っている不在連絡票と比べてみると、黄色と白2色のデザインはそっくりだ。配達員がチェックする項目のレイアウトやフォントもほぼ同じとなっている。

さらに、荷物の種別の項目にはヤマトホールディングスが商標登録している「宅急便」の文字もあった。

明らかにまねをしたとみられる広告に、SNSでは「誰が見てもヤマト。これ許可とっているの?」「アイデアとしておもしろいけど迷惑極まりない」などと批判の声が相次いだ。

写真を投稿した男性も「非常に紛らわしいからやめてほしいのが一番だが、広告主は受け取った方がどう感じるかまで考えてくれなかったのかな」と話す。

ヤマト運輸「配布元の企業に配布の中止を申し入れました」

今回、模倣されたヤマト運輸は「SNSの投稿で把握し、配布元の企業に配布の中止を申し入れました。弊社のご不在連絡票と誤認させる内容であり、弊社の登録商標や知的財産の無断利用は一切認めておりません」とコメントしている。

不在票を模倣した紛らわしすぎる広告について、橋下綜合法律事務所・松隈貴史弁護士は「宅急便」という言葉を使ったことによる商標権の侵害を指摘する。

さらに、「『不正競争防止法』というのがある。ヤマトさんがやっているかのごとく受容者を誤認させてしまうことも罰則の対象になってくる。それにも該当する可能性はある」した。

広告を配ったとみられる企業にも取材を申し込んでいるが、6日夕方時点で返答は来ていない。
(「イット!」 3月6日放送)

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