米軍普天間基地の移設工事が進む名護市辺野古(なごしへのこ)。
「辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票(以下、県民投票)」の発起人の一人である元山仁士郎さんは、2025年2月24日、沖縄県沖縄市で平和を発信する音楽イベントを開催した。
県民投票から6年、いまも続ける音楽を通じた活動への思いを聞いた。
県民投票忘れない

元山仁士郎さん:
県民投票のとき投票率52.48%で、60万人余りの人に足を運んでもらったわけですから、この2月24日という日に思い出す機会を提供できればと思っています

2019年に実施された県民投票。当時学生だった元山さんらが発起人となった県民投票の会に寄せられた署名は10万人分にも上った。

投票結果は埋め立ての反対がおよそ7割、賛成が2割だった。

しかし投票から6年、辺野古移設の埋め立て工事は続けられている。
元山さんは発起人の一人として2月24日に合わせて毎年イベントを開催し、県民投票を思い返す機会を設けている。

めざすのは連帯
今回は音楽ライブやトークショーを催し、沖縄から音楽を通して日本・アジア地域で考える平和への思いを発信した。

アジアから台湾・北京・香港のアーティストも出演し、奏でられる音楽をともにし国や地域を超えた交流となった。

元山仁士郎さん:
異なる言語を話す相手とのコミュニケーションは簡単ではないが、音楽には『こんな音色なんだ』と共感できる瞬間があります。言葉を超えて少しずつわかり合えるポイントが生まれ、そこからつながっていける可能性を感じています
2019年当時、県民投票の活動で元山さんは多くの人を取り込み、対話や交流の場を生み出す「音楽の力」を目の当たりにした。
有志らとともに県民投票の直前には那覇市の広場でフリーライブを開催した。

元山仁士郎さん(2019年当時):
さまざまな意見や立場の人が参加していましたが音楽があれば皆で一緒に踊り、体を揺らして楽しめます。こうした場を通じて沖縄をより良くするために互いに知恵を出し合いながら、共に考え前に進んでいけたらと思います
投票率52.48%となった辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票。
県民はそれぞれの思いから一票を投じた。
投票が実現したことと共に元山さんが描く対話や発信のあり方として音楽祭の開催も、強く記憶に残されている。
元山仁士郎さん:
アーティストが基地問題や県民投票について『難しい問題だけど、私たちも考えているよ』『みんなで投票に行こう』と呼びかけたことに、若い世代が強く心を動かされたと思います

元山仁士郎さん:
この光景を目の当たりにして、こうした場をこれからも続けていきたいと思いました。問題に簡単な答えは見つからないかもしれませんが、考え続けることやさまざまな人と対話する機会を作り続けることが大切だと感じています

嘉手納基地の目の前にある通りに面した場所にステージを構え、戦後80年の節目を迎える2025年の2月24日、元山さんら有志は平和を発信した。
元山仁士郎さん:
多くの方々の協力を得ながら活動を続けることで、沖縄から戦争や平和について考えることには特別な説得力があると思います。文化や音楽を通じてつながれるという実感を大切に日本の基地のあり方や沖縄、アジアの平和について共に考えていける場にしていきたいです

「辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票」から6年の歳月が流れた。
元山さんは音楽という言葉を超えた共通言語を通じて、さまざまな立場の人々が対話できる場を創り等身大の平和への思いを共有する。
(沖縄テレビ)