日本時間1日未明に行われたウクライナのゼレンスキー大統領とアメリカのトランプ大統領との首脳会談は、両首脳がカメラの前で激しく口論する発展となり決裂した。

プーチン大統領めぐる立場の違いが“衝突”産んだか

青井実キャスター:
ーーこういうのを私は初めて見たんですけど。

スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン):
滅多にないものなんですけど、今回なんで失敗に終わったかといいますと、合意に至る前にテレビカメラを入れてしまったことだと思いますよ。最後にトランプ大統領も「これいいテレビになりますね。エンターテイメントとして最高」と言ってましたけど、外交としては“最悪”ですね。密室であれば、ゼレンスキー大統領がずっとトランプ大統領のご機嫌を伺いながら交渉を進められるんですけど、自国民が見てると思ったら、反論しなきゃいけなかったと思いますよ。お互いに“タフ”になってしまったから、演出のミスで平和が遠のいたかもしれません。

青井キャスター:
テレビ入る前にやればよかったのかもしれませんけど。立石さんに聞いていきます。
ーー立石さん、なんでこんなことになってしまったんですか?

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フジテレビ・立石修解説委員室長:
実は、一見和やかに見えたこの前の最初の40分間の会見の間も、双方の立場が明確だったんですね。トランプ大統領はとにかく早く停戦をしたいと、まずは停戦して、そのあとにほかのことを話し合えばいいではないかと。
一方で、ゼレンスキー大統領は、まずは安全の保障が大事。領土問題が第一で、その後に停戦がくると、そういう立場だった。そして、トランプ大統領のプーチン大統領への配慮の発言も目立ったんですね。

フジテレビ・立石解説委員室長:
トランプ大統領は、「プーチン大統領は平和を望んでいる」などと発言。一方で、ゼレンスキー大統領は、プーチン大統領について、「殺人者」としていて「殺人者と自分は妥協はできない」と、こういった違いが明確になっていき、最後の10分間のこの衝突を生んだものと考えられます。

青井キャスター:
ーーどうでしょう。この会談は失敗ですか?

フジテレビ・立石解説委員室長:
はい、これ一見、最悪の結末とも受け取れるんですけれども、今回の会談の失敗は双方にとって「想定の範囲内」と、ウクライナ情勢にくわしい大和総研主席研究員の菅野泰夫さんは見ているといいます。トランプ大統領は主張を変えないんですけれども、一方で、ゼレンスキー大統領も、数多くの犠牲者を出してきたウクライナ市民の気持ちを考えれば、トランプ大統領にカメラの前ですべて従順に従うわけにはいかない。やはり自分の立場を明確に主張する必要があったということです。

“関係修復”のカギ ヨーロッパ各国が担えるか

青井キャスター:
ーーただ、この雰囲気を見て、この2人がまたこのテーブルにつくとは到底思えないんですけれども。

フジテレビ・立石解説委員室長:
そういうふうに見えますが、ゼレンスキー大統領は先ほど、訪問先のロンドンでアメリカと建設的な対話を行う用意があるというふうに話をまだしているんですね。
そしてヨーロッパ、特にイギリスやフランスから、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の仲介役に乗り出していこうという動きが出てきているんです。

木村拓也キャスター:
実際、ヨーロッパの動きというのは、会談の決裂直後からかなり出てきていまして、例えば、フランスの有力紙「フィガロ」によりますと、マクロン大統領が、イギリスとフランスが1カ月の部分停戦案をウクライナに提示すると報じていますし、イギリス・スターマー首相もロンドンで緊急のヨーロッパ首脳会合を開き、ヨーロッパによる支援、平和維持部隊について、アメリカに後方支援などを求めるように、トランプ大統領を説得する外交努力を本格化するということです。アメリカ・ウクライナの双方の関係修復を目指すということです。

宮司愛海キャスター:
ーーヨーロッパの仲介の努力は、功を奏するのか、うまくいくのかどうかはどう見ますか?

フジテレビ・立石解説委員室長:
難しいところなんですが、もし、戦争が継続すればこれは泥沼化していくと。それはゼレンスキー大統領もやはり避けたいと思うんですよね。ですので、ヨーロッパとの協議を通じて何らかの妥協点を探る可能性はあるとは思います。
一方で、トランプ大統領も停戦というのは選挙公約であるし、やはり何か手柄がやはり欲しい。ディールが欲しい。ですが問題はプーチン大統領で、ウクライナへの根強い不信感を持っています。トランプ大統領ですとかヨーロッパ各国にどのように圧力をかけてくるかは見通せない部分がありますよね。

青井キャスター:
ーーただパックン、ヨーロッパがうまく仲介できるようなイメージじゃないんですけど…。

スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン):
そうなんですね。トランプ大統領の関税制度を見てもわかりますけど、中国に対して20%。しかし、ヨーロッパに対しても20%の関税かけようとしてるんですよ。ヨーロッパと仲良くしてるように見えないですね。さらには、個人的にトランプ大統領と気が合うヨーロッパのリーダーもいなくて、影響力を持っている人はそんなにいないです。

周りは誰が影響力を持ってるかっていうと、副大統領のJ.D.バンスさんなんですけど、ご覧になった通り、ウクライナの味方ではない。イーロン・マスク氏もウクライナの味方ではないです。この先、見通しがよくわかんないですね。

青井キャスター:
しかも4日から、また関税の対処なども始まるわけですから、そのあたりも注目です。
(「イット!」3月3日放送より)

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