宮崎県宮崎市のリゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」は、2024年アメリカの投資会社に経営が移った。ホテル再生のプロ・山本俊祐氏が新たな社長に就任し、再生に挑んでいる。鍵は「稼げる床」と「宿泊客の多様化」にあり。山本社長が見据える、未来のシーガイアの姿とは…

シーガイアの新社長・山本俊祐氏

フェニックスリゾート株式会社 山本俊祐社長:
ホテル内の一等地であればあるほど、そこの「床」はどういう風に活用されているのかな。この場所を何に使うかというのは、、、これ、今言わないほうが楽しいですね…。

フェニックスリゾート株式会社(フェニックス・シーガイア・リゾート)の経営は、2024年6月、アメリカの投資会社フォートレス・インベストメント・グループに移った。フォートレスは日本国内に約180のホテルを所有していて、その運営をする会社がマイステイズ・ホテル・マネジメントだ。

マイステイズ・ホテル・マネジメントの会長でもある山本さんは、これまで多くのホテルの再生に携わってきた。
無理に変えずにホテルを再生

熱海にある「ホテルニューアカオ」 山本さんは、「とてつもない立地条件」だという。

このホテルをフォートレスが買い取り、山本さんに託された。「無理に変えずに」再生したホテルのひとつだ。
フェニックスリゾート株式会社 山本俊祐社長:
昭和の昔の日本人が憧れたヨーロッパのようなこのテイストを損なわないで、逆にレトロチックな意匠でいろいろ改装したというところがヒットの要因かな、というふうに考えている。

ホテルニューアカオが押し出したのは、昭和の時代に開業したホテルのレトロ感。これが若い世代に受け注目を集めている。
山本社長 仕事への向き合い方は

Q.山本社長がホテルを復活させる時の哲学・公式は?
フェニックスリゾート株式会社 山本俊祐社長:
やはり地域・風土、歴史に基づいて、ホテルがどうやって育っていきたいのか、というのを見極めて、助けてあげるというのがホテル再生の仕事と考えている。
山本社長はこれまでどのように仕事に向き合い、ホテルの再生を成し遂げてきたのか。仕事の様子を見せてもらった。

イタリアンレストランでの試食会。このレストランで、ランチとディナーに加えて朝食も出せないか検討する。真鯛を使ったアクアパッツァを食べ終えて一言…

フェニックスリゾート株式会社 山本俊祐社長:
イタリアの朝食から離れて、イタリアンを朝食から出すというコンセプトにしているわけですよね。ちょっと朝食にはアクアパッツァ食べづらい。重くない?これ美味しい料理でしょ?時間帯がずれてる気がする。

マイステイズ・ホテル・マネジメント料飲担当 岩崎浩憲さん:
指摘されているとは捉えていない。アイデアをいただいていると思っていて、どちらも目線はお客さんにどう満足してもらうかの話なので。

マイステイズ・ホテル・マネジメント料飲担当 德永慶さん:
山本社長はめちゃくちゃストイックな方だと思う。文化・言語にも精通されているので、私たちとは違った視点からコメントがくるので、非常に勉強になる。
仕事への徹底した姿勢を垣間見ることができたのは他にも…フロントレセプション横のビジネススペースに立ち寄った時だった。

フェニックスリゾート株式会社 山本俊祐社長:
お客様が本来の用途で使っているのを見たことないんですよ、ノートパソコン開いて資料作っているとか。フロントデスクの隣に、このほとんど使われない空間があるので、自動チェックイン機を増設するとか、フロントカウンターを延ばすという改装を計画している。
ポイントは「稼げる床」

フェニックスリゾート株式会社 山本俊祐社長:
ホテル内の一等地であればあるほど、そこの「床」がどういう風に活用されているのかなっていう観点で見ている。どれだけ「稼げる床」か?という事は重視している。
不動産であるホテルは、「床」すなわちスペースに対し、どれだけの収益を上げているかが重要と話す。

まず、734部屋ある客室が人手不足により生かし切れていないことに着目し、グループのネットワークで人手不足に対応。客室稼働率を向上させた。さらにある客層へのアプローチを強化することにしている。
ファミリー層もターゲットに

フェニックスリゾート株式会社 山本俊祐社長:
スポーツ団体、会議宴会のためのいわゆるMICEという方々ですとか、あとゴルフを楽しむ方大人のリゾートホテルみたいな使われ方が主な利用用途だったと思うんですけど、少し弱いなと感じたのがファミリー向けのコンテンツ。

ファミリー層をターゲットにするため、山本さんが収益を上げられると注目したスペース。
フェニックスリゾート株式会社 山本俊祐社長:
このスペースは過去にイタリアンレストランがあって、今は体験コーナーとして使われている。ここをキッズ向けのプレイパーク、アスレチックやボールプールなどがある空間にしたい。

また、ツインルームには出し入れできるベッドを導入し、家族でも泊まれるようにする。

改装では、2人で特別な時間を過ごす人とファミリーの動線が交わらないよう工夫し、ビジネス客もアスリートも幅広い層が利用できる改装で収益の増加を見込んでいる。
山本社長のやりがいの源

グループ会社が石垣島で運営するフサキビーチリゾートホテル。

アトラクションを備えたプールをシーガイアにも増設予定だ。

山本さんは、石垣島のプールサイドで目にした光景がやりがいにつながっているそう。
フェニックスリゾート株式会社 山本俊祐社長:
お父さんがご家族を連れてきてプールサイドで写真を撮っていて、子どもたちが「こんな素敵なリゾートに連れてきてくれてありがとう」とお父さんに言う場面を見てしまった。もうジーンときた。
Q.宮崎県民にとってシーガイアというのは、ずっとある大型リゾートホテルで、できたときすごくわくわくして、宿泊したことがない県民もどこか誇りに思っているが?

フェニックスリゾート株式会社 山本俊祐社長:
これからも当然そうあり続けてほしいし、もっと気軽に使っていただきたいと考えており、より多くの方が使っていただかないと本当にこれだけのものを築き上げた先輩たちに申し訳ないと思うので、もう本当に多くの方に使っていただきたいと思う。
(テレビ宮崎)