長野県松本市の乗鞍高原にある「Mt.乗鞍スノーリゾート」が、一度は営業継続を断念したものの、地元住民の支援により今シーズンの営業を実現した。スキー場存続に向けて、18歳以下のリフト券無料化などの思い切った集客策を実施。その結果、来場者数は前年比150%超を記録し、にぎわいを取り戻しつつある。地域経済への影響が大きいスキー場の存続に向けて、地元の熱意と支援が実を結びつつある様子を取材した。

18歳以下リフト無料で集客

Mt.乗鞍スノーリゾートは、1961年のオープン以来、多い時には年間15万人前後が訪れる人気スキー場だった。しかし、スキー人気の陰りや暖冬による雪不足、さらにはコロナ禍の影響で利用者が減少。昨シーズンは4万人弱まで落ち込み、運営していた都内の企業が営業継続を断念した。

地域経済への影響を懸念した地元の観光関係者は「有志の会」を立ち上げ、住民やファンから3500万円の支援を募った。これを元手に「協議会」を設立し、スタッフの雇用を継続してスキー場の運営を引き継いだ。

18歳以下のリフト券を無料に
18歳以下のリフト券を無料に
この記事の画像(6枚)

さらに思い切った集客策として、県内外を問わず18歳以下のリフト券を無料にすることを決定。スキー場運営協議会の山口謙代表は「話題性でぜひ、ファミリーの方に来てもらいたい」と期待を寄せた。

来場者150%増の好調

2024年12月21日の営業開始から約1か月後、来場者数は前年比150%を超える好調ぶりを見せている。

「Mt.乗鞍スノーリゾート」
「Mt.乗鞍スノーリゾート」

山口代表は「前年比150%を超える形で、本当にありがとうございますという感じです」と喜びを語った。

18歳以下のリフト無料策が功を奏し、家族連れの来場が増加。

来場者は前年比150%を超える(1月18日)
来場者は前年比150%を超える(1月18日)

静岡県から訪れた利用者は「子どもが多いのですごく助かります。20年くらい通っているというか毎年来ているので、とても好きなスキー場なので絶対つぶれてほしくないなと思いながら来ました」と話した。

市も支援、CF2100万円超

松本市も支援に乗り出し、1月18日から市内の小中学生の同伴保護者のリフト券を無料にする補助金を出した。

臥雲義尚市長は「大勢の市民の皆さんに無料のリフト券を利用していただいて、今シーズンは雪も豊富にあるようで(スキー場の)支えをしていただければ」と期待を寄せている。

小中学生の同伴保護者(松本市民)のリフト券を無料に
小中学生の同伴保護者(松本市民)のリフト券を無料に

さらに、運転資金不足を補うためのクラウドファンディングでは、目標の1800万円を上回る2100万円余りが集まった。

山口代表は「本当にご協力ありがとうございます。それだけに期待があるなと責任をすごく感じている」と語った。

スキー場存続へ期待

「有志の会」の目標はスキー場の存続だ。今シーズンの実績を基に、新たな運営業者の誘致につなげたい考えだ。

山口代表は「(支援してくれた)皆さんの期待に応えられるようにしていきたい。地域と一緒に協働してくださるような団体や企業とタッグを組んでやっていけたら」と今後の展望を語った。

スキー場運営協議会・山口謙代表
スキー場運営協議会・山口謙代表

地域の熱意と支援に支えられ、Mt.乗鞍スノーリゾートは存続に向けて大きな一歩を踏み出した。今後の展開が注目される。

(長野放送)

長野放送
長野放送

長野の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。