半年余り休園していた「松坂屋名古屋店」の「屋上遊園」のリニューアル工事が終わり、2025年2月27日、報道陣に公開されました。コンセプトは「家族の学びと成長」です。
■「懐かしさ」感じる遊具に「運動」もできる “融合”目指した屋上遊園
3月2日のオープンを前に、松坂屋の「屋上遊園」が27日、一足早く報道陣に公開されました。新たな屋上遊園は、松坂屋名古屋店の100年の歴史と、新しい時代に合わせた遊具の融合が感じられるスペースとなっています。
キャラクターや乗り物の形をした、どこか懐かしさを感じるレトロなコイン遊具に…。

「50メートル走」「反復横跳び」「体前屈」など、身体測定をモチーフにした新しい遊具もあります。

かつて、多くの子供たちで賑わっていた松坂屋の屋上遊園は、戦前は「コドモノクニ」と呼ばれ、昭和20年代には空襲で焼けてしまった名古屋城の模型を展示していました。

昭和30年代には「象さんの回転飛行塔」や、ホロホロチョウなどもこの場所で見ることができました。
■「学び」を育む工夫も…担当者「新しく次の世代につなげる場所に」
リニューアルした屋上遊園は「家族の学びと成長」がコンセプトとなっています。

万里の長城をモチーフにしている遊具「BANRI」は、あえて遊び方を限定しないことで、子供の想像力を育てるようになっています。

松坂屋名古屋店の担当者:
傾斜が高い方と低い方になっていて、登ったり、中に入って遊んだり。複数のお子さまが入ると衝突を回避したりするので、コミュニケーションが自然と生まれる。譲ったり譲ってあげたりとかも含めて、アート性もあるし学びも入っているという遊具になります。
また、遊具の対象年齢は1歳から6歳で、就学前の子供が安心して遊べるように工夫が施されています。

松坂屋名古屋店の担当者:
ゴムチップ床の施工を工夫しておりまして、遊具の一番高い位置から落下した時でも安全性第一の設計で、厚みやクッション性も設計されています。ここで小さい頃に遊んでいたお客さまとかの思い出が詰まった場所になるので、それをうまく継承しながら、新しく次の世代につなげる場所にしたいなという思い。
■屋上遊園を35年見続けた男性の姿も…
27日の内覧会では、2024年の一時休園までおよそ35年間、松坂屋の屋上遊園で勤めていた田中国彦さん(70)も姿を見せていました。

田中国彦さん:
パッと見た時、「うわ〜きれいにしてある」と思って。
屋上遊園に来た頃から子供たちを楽しませているというアンパンマンの汽車が、田中さんのお気に入りです。

田中国彦さん:
これがやっぱりいっぱい来てたからね、お客さんが。来たら、おちびさんらがどんどんこれに乗っていたから。(列が)常に20mくらい、20人以上は親子で乗っていましたね。
■カタチを変える百貨店の屋上…知恵を絞る各社の取り組み
中区にある「名古屋栄三越」では、2023年から「屋上養蜂」にチャレンジしています。2024年はおよそ3万匹のミツバチを育て、採れたハチミツは実際に販売しています。

中村区の「名鉄百貨店」の屋上では、夏はビアガーデン、冬はカキ小屋を実施しています。

百貨店の屋上はかつて、遊具で遊んだりファッションショーが開かれたりして、「デパートでもっとも混んでいるのは屋上」と言われるくらい賑わっていました。

しかしその後、娯楽の多様化などで、屋上遊園地は徐々にその役割を終えていきました。
「オリエンタル中村」時代から設置されている名古屋栄三越の観覧車も、20年前に老朽化のため営業を終了し、今は展示されているだけとなっています。

かつてと比べ、さびしくなっている百貨店の屋上ですが、各社は知恵をしぼってそのスペースを有効に活用し始めています。
作家の寺坂直毅さん:
広島の「福屋百貨店」は、屋根のない公民館みたいな感じにして、屋上でヨガをしたりとか、地域の人が集まる場として提供する試みを始めて。熊本の『鶴屋百貨店』は何年か前に、屋上に遊園地を再びつくることになって、地元の大学の学生さんと一緒に遊具を考えて、安全に子供も楽しめる遊具を新たにつくった。買うだけの時代は終わったという感じで、人が集まる、その建物に行ってみようと思わせる何かが必要なんです。

松坂屋名古屋店の屋上遊園は、3月2日オープンです。
(東海テレビ)