兵庫・斎藤元彦知事を巡る内部告発問題。23日、兵庫県の維新の会の県議3人が会見を開き、NHK党の立花孝志党首に公開前の音声データや真偽不明の文書を提供したことを謝罪した。
一方で、新聞やテレビといった、いわゆるオールドメディアへの批判を繰り返す場面もあった。
繰り返された“オールドメディア批判”
23日、神戸市で会見に出席したのは新聞やテレビに加え、ネットメディアやフリーのジャーナリストなど50人以上。そこに姿を現したのは、兵庫県の斎藤知事のパワハラ疑惑を調査する百条委員会のメンバーだった維新の増山誠兵庫県議と岸口実兵庫県議、同じ維新の白井孝明兵庫県議の3人だ。

維新の会・増山誠兵庫県議:
ルール違反ですので、この場を借りて謝罪をさせていただきたいと思います。
維新の会・岸口実兵庫県議:
軽率だったとしか言いようがない。
維新の会・白井孝明兵庫県議:
申し訳ございませんでした。

5時間半に及んだ会見で3人の県議は謝罪したが、そこで繰り返されたのはオールドメディア批判だった。
維新の会・白井孝明兵庫県議:
いわゆるオールドメディアといわれているところの情報が全てだった。その情報が「正しい」とされた部分がありましたが、しかし私が今回の兵庫県政の闇の中で感じたのは「間違っている部分が報道されている」この事実ではないかと思っております。
維新の会・増山誠兵庫県議:
マスコミに同じような情報を提供したとしても、発表されないという危惧がございました。
また、増山県議は立花氏に音声データを渡したことについてこう語った。

維新の会・増山誠兵庫県議:
(音声データは)公益に資する情報ではないかということで「情報を県民が知らないまま選挙に突入してしまう」という危機感があって、情報提供を行いました。立花氏は発信力という点において、非常に発信力のある方ですので、この方に伝えることで「県民が知ることができるのではないか」と考えたことから立花氏に提供させていただいた。
私としては「立花氏が多くのデマを言っている」という意見には賛同しかねます。

「マスメディアではなく、立花氏へ情報提供したこと」は理解できる行為なのか。
理解できる(30代):
私はどちらかというと(理解)できる側です。立花さんの人となりなどは詳しくないが、利害関係がない立花さんの方が、(会見した)お三方にとっては公にスムーズにできると思い、立花さんに伝えたのかなと思います。
理解できる(30代):
ありだと思います。メディアを一回通すとそこで「これは流していい」「流しちゃダメ」ときっぱり止められてしまうことがあると思うので。
理解できない(60代):
全然(理解)できない。立花さんに信頼…こんなこと言っていいかわからないが、ずっと見てても立花さんは分からない人じゃないですか。「あの人に言ったら世間に広まって…」というふうに狙って、自分たちは陰に隠れている。なんかずるいなと思います。
お答えいただいた50人のうち、県議の主張を「理解できる」と答えたのは22人、「理解できない」と答えたのは25人だった。
兵庫県知事選では、立花氏は提供された情報をSNSで拡散し、斎藤知事の再選を後押しする形となった。
地方自治の制度自体を揺るがしかねない
青井実キャスター:
さまざまな意見がありましたが、どう思いますか?
SPキャスター パトリック・ハーランさん:
マスメディアに対する不信感が高まっているのは間違いないと思います。ただ、今回の情報提供先がメディアより発信に責任を持っているかというと、それも疑問です。公益のために何かリークする場合は、1人とか1か所ではなくて、複数の報道機関に提供すべきかなと思います。
選挙分析が専門の法政大学大学院の白鳥浩教授は、今回の県議の対応について…。

法政大学大学院・白鳥浩教授:
県民の信頼、県議会の信頼を裏切る大きな問題のある行動だと思います。日本の民主主義、ひいては地方自治の制度自体を揺るがしかねない。そういう大きな問題といっていいと思います。

また、県議が立花氏に情報を提供した理由として、既存メディアへの不信をあげている。一連の斎藤知事を巡る報道から、県議がそう受け止めざるを得ない状況をメディアが作り出してしまった可能性はあるのか。
法政大学大学院・白鳥浩教授:
放送法で「報道の公平性」ということが言われています。その中でテレビ・新聞といった、いわゆるオールドメディアといわれるものが「県民が必要とされるような情報を提起できていない」という批判も一部あることは事実です。
ところが、その情報が個人情報を含むものを軽々に流す、あるいは議員として、百条委員会として知り得た情報を漏えいすることは認められていないにもかかわらず、それを積極的に特定の候補に流し、一定の意図を持って流していくといったことは決して認められるものではない。
兵庫維新の会は24日午後、党紀委員会を開いた。情報提供に関わった増山県議ら2人から聞き取りをして25日夜に役員会を開き、処分を決定する方針だ。
(「イット!」2月24日放送より)