半導体関連企業をはじめ、熊本県内企業の魅力に触れる『くまもと産業復興エキスポ』が2月20日から2日間の日程で開かれた。会場には273の企業がブースを設け初日から多くの高校生などが来場した。また、2日目には半導体産業の集積を目指し、新たな協議会が発足し、半導体に関して日本や台湾をけん引するトップたちによるシンポジウムも開かれた。

JASMやソニー、東京エレクトロンなど

くまもと産業復興エキスポの会場に入ると、まず目につくのがTSMCの子会社JASM、隣はソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、そして東京エレクトロン九州。半導体分野を代表する企業が広いスペースを設け技術力をPRしていた。

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会場には半導体関連企業や製造業、行政・教育関係など、日本や台湾などから計273の企業や団体が参加し、自社製品や独自の技術などをPRしていた。

JASMのブースでは環境への取り組みを紹介。使用する熊本の地下水を100パーセント以上涵養するとともに、使用した水を循環させる独自のシステムをアピールしている。

来場した高校生は「JASMはとても大きく世界で活躍している会社なので、半導体関連も興味があるので将来的にはそういう職種に就けるといい」と話した。

多くの高校生が来場し先端技術を体験

また製造業のエリアでは先端技術を活用し、食品などの箱詰め作業の自動化などに取り組む熊本県内企業のマイスティアが出展。2台のロボットを使い、5種類の商品を箱詰めするデモンストレーションが行われていた。

来場した高校生は「想像ができない…どこの企業もいいから(就職先に)決めづらい」と話し、「体験できるところもけっこう多かったので、楽しみながら、どういうことをしているのかが分かりやすくて、印象に残った」と、将来を考えるきっかけにもなったようだ。

また会場では講演会やセミナーも行われていて、20日は熊本大学の青柳昌宏卓越教授が講演。年間140人の半導体関連分野への人材輩出を目指し、産学官一体で人材育成に取り組んでいることなどを紹介した。

日本や台湾の業界のトップが意見交換

また、21日にコンベンションホールで開かれたシンポジウムには、日本の半導体研究の第一人者で熊本県立大学の黒田忠広理事長をはじめ、熊本に拠点を構えるソニーや東京エレクトロン、JASMのトップが参加。

また、台湾からも陽明交通大学や工業技術研究院などから半導体に関するトップが登壇し、企業間の連携や人材育成について意見を交わした。

台湾側が台湾のサイエンスパークを例に、「半導体産業の革新には企業だけでなく、研究機関や大学などとの連携が重要」と説明。

日本側も、人材育成は喫緊の課題として、大学などとの連携や、企業による実践的な教育が必要であるとの認識が示された。

産学官金が連携した業界団体が発足

シンポジウム終了後、熊本県内の産学官金が連携し、半導体産業の集積を目指す新たな業界団体『くまもと半導体グリーンイノベーション協議会』が発足。

協議会の会長にソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの山口宜洋社長が就任し、「熊本の豊かな自然を守り、熊本で育った若者が地元熊本で働きたいと思う魅力的な産業を目指す」と述べた。

協議会には、JASMや東京エレクトロン九州、マイスティアなど、半導体関連企業だけでなく、肥後銀行や熊本大学なども参画。持続可能な産業の発展や人材育成、地域との共生を目指すという。

(テレビ熊本)

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