宮川さんのもとには、腎臓病になった猫を診てもらおうと飼い主たちが訪れる。その際、猫の食生活について聞くと、約9割が“ドライフードと水のみ”の食事だという。
「猫にとって、脱水は最大の敵です。また対処が遅れるほど回復もしにくくなります」と宮川さん。食欲が落ちた、元気がない、などの異変を感じ取ったら要注意。すぐにでも動物病院へ連れて行ってほしいとしている。
命の危険もある「尿毒症」
猫の異変に気付かず放置していると、さらに「尿毒症」を発症してしまうことも。
尿毒症とは腎臓の機能が著しく低下し、捨てられなくなった老廃物が体内に蓄積された状態で、腎臓病の「末期症状」とも言われる。発症すると骨、呼吸器、胃腸、神経、血液など、体のさまざまな場所に悪影響が出てくる。

特に多くみられるのは胃腸への障害で、胃や口腔内の粘膜が炎症を起こして食べられなくなる、出血するなどの症状が出てくる。数日で悪化することもあり、最悪、心臓などにも障害が出て、息を引き取るケースもあるという。
口や全身の“におい”がサイン
そんな尿毒症のサインのひとつが、においだ。発症すると血液中に大量の老廃物が混ざるため、口や全身から強いにおいが出るそうだ。

尿毒症を発症した段階では、慢性腎臓病は末期に至っていることも多いそう。症状が悪化すれば対症療法や人工透析での延命など、できることは限られてしまうという。
「猫も不安になっていると思いますので、そばにいて優しい言葉をかけてあげたりして、不安を和らげることが必要ですが、最終的には見守ってあげることしかできなくなってしまいます」