プロ野球は2025年のキャンプが始まり、開幕へ向けて動き出しました。キャンプを前に、中日ドラゴンズの新入団選手たちは、「昇竜館」に入寮し、心新たにプロ野球選手としての生活を始めましたが、これまでのドラゴンズの主力選手たちの、初々しい入寮初日を振り返りました。
■主力選手が入寮時に持参したものは…小笠原選手の部屋には当時からMLB球団の帽子
今シーズンからメジャーリーグのナショナルズへの移籍が決まった、ドラゴンズの小笠原慎之介選手が昇竜館に入寮したのは2016年、当時18歳でした。

寮のベランダで、ドラフト2位指名の佐藤優選手(引退)と肩を組んでカメラ撮影に応じる姿も。

部屋で見せてくれたグローブには、「挑戦」という文字が刺繍されていました。

小笠原慎之介選手:
ゼロからのスタートなので、挑戦するしかないなという気持ち。ずっと野球漬けという気持ちが切れないので、いいかなと思います。
そして、棚にはメジャーリーグの、ロサンゼルスドジャースとセントルイス・カージナルスの帽子が飾られていました。

新人選手が入寮する際の取材では、持参したもののなかで、「特別なもの」をみせてもらうことがあります。
2010年ドラフト1位の大野雄大(ゆうだい 当時22)選手が見せてくれたのは、オランダで行われた国際大会で、キューバ戦に出場した時のウイニングボールです。

大野選手は「大学4年間の中で、嬉しかった勝利の試合だったので持ってきました」と話していました。

まだ記憶に新しいのが、2018年のドラフト1位、根尾昂(あきら 当時18)選手です。

持ってきていたのは、体幹を鍛えるバランスボールに、両親に買ってもらった空気清浄機。

部屋の中でも鍛えつつ、体調管理もしっかり。選手によって様々な形でプロの戦いに備えていました。
■寮長は「父」…他の選手とは事情が違う堂上兄弟
2003年に入団した堂上剛裕(どのうえ・たけひろ 当時18)選手(引退)は「きょうからよろしくお願いします」と仰々しく寮長に挨拶しましたが、当時のこの昇竜館の寮長、堂上照(てらし 当時52)さんは、剛裕選手の父親です。

照さんは、現役時代をドラゴンズ一筋で過ごし、通算35勝をあげたピッチャーでした。その父に憧れて、剛裕選手もドラゴンズに。

堂上剛裕選手:
寮長と父親とのメリハリをしっかりつけて、礼儀正しくいきたいです。
そしてその3年後、今度は剛裕選手の弟、堂上直倫(なおみち)選手(引退)が入団しました。

堂上直倫選手:
お父さんでありながら寮長というのも思いながら、自分もけじめとかつけて…。
■門限破れば罰金10万円…映像に残されていた昇竜館のルール
この年の取材映像には、寮長の照さんが、寮の門限やルールについてまとめた紙を選手に配布しているシーンが残っていました。
書かれていた内容を見ると、読み取れる内容だけでも厳しいルールがあったことがわかります。

【昇竜館門限】
平日 10時30分 休日前夜 11時00分 休日 10時30分 夜間練習日 11時00分
門限を破った選手は10万円の罰金/朝食・夕食は必ず食べる事。食べなかった場合、選手は5万円の罰金。館長・副館長の許可があれば良しとする/体調管理は各自、責任を持って行う事/各自部屋の整理・整頓を日頃行うこと/遠征先から予想外の寮帰りがあった場合館長に連絡する事/安全運転に心がける事。
■山崎さん「ボッロボロだった」中村区の中日ドラゴンズ寮
現在の昇竜館が完成したのは2003年ですが、それより以前の寮について、球団OBで1986年にドラフト2位で指名されて入団した山崎武司さん(56)に聞きました。

ドラゴンズOBの山崎武司さん:
今のナゴヤ球場の寮の前は名古屋市西区に室内練習場と寮があって、(さらに)その前に中村区にまあ言っちゃ悪いですが、ボロッボロの寮があったんですよ。
山崎さんが「ボロボロ」と言った中村区の寮について、1977年に撮影した映像が残っていました。「中日ドラゴンズ寮」と書かれていたのは、昔ながらの木で書かれた看板です。

部屋は畳でトイレは共用、決して綺麗とは言い難かったようですが、山崎さんは「ご飯が美味しかった」と振り返ります。
当時の食堂の映像を見ると、多くの選手が一緒に食事をとっていました。

ドラゴンズOBの山崎武司さん:
全国から来るでしょ、選手が。 名古屋っていったら味噌は赤味噌。赤味噌を受けられない選手がたくさんいるんですよ。朝ごはんに関しては赤味噌と白味噌が2つ置いてあって、好きなやつどうぞって。

共用スペースもありました。ゆったりテレビを見ている人の中には、田尾安志さんの姿もありました。
■西区の寮では泥棒に逃げられたことも
そして寮は1988年、西区に新設され、和室から洋室になりました。

ドラゴンズOBの山崎武司さん:
ベッドになってね、ちゃんとテレビ置き台みたいなのもあって、机も横にあって、めちゃめちゃ大きいわけじゃないですけども、1人で住む分には十分の環境にしてくれたかな。

ドラゴンズOBの山崎武司さん:
お風呂がすごく大きかったのを覚えていますね。スカウトの方も(きれいな施設は)アピールポイントにもなると思います。
寮に入って練習に明け暮れていた山崎さんでしたが、あるとき「事件」が起こりました。
ドラゴンズOBの山崎武司さん:
泥棒が入ったんですよ。12時過ぎぐらいだったんですよ、夜中の。で、「泥棒だ」ってみんながワーってなった時に、隣の自動車屋さんの車のところに隠れていたんですよ。
しかし、起こったのは思わぬ事態でした。
ドラゴンズOBの山崎武司さん:
門限を破ったやつが、ノコノコと帰ってきたんですよ。そいつのことを「泥棒だ」って言って追いかけていって、みんなが。向こうも気づいて「やべえ門限(破りが)見つかる」って逃げるじゃないですか。みんながそっちに行ったところで泥棒が、反対方向に逃げていっちゃった。

被害こそなかったものの、門限を破った選手のせいで、泥棒を逃がしてしまったということです。
2025年1月31日放送
(東海テレビ)