自民・公明と維新は、高校無償化の協議を進めているが、私立の助成額や所得制限撤廃の範囲を巡り協議は難航している。一部報道は、39万6000円を上限に助成する案が示されたとしたが、与党はこれを否定した。予算案成立へ時間が限られる中、財源確保も焦点となっている。
与党、維新の協議が山場に…私立支援額巡る対立構図
高校教育の無償化を巡る自民、公明両党と日本維新の会の協議が山場を前に難航している。維新の前原共同代表は13日午前11時半頃、高校の授業料について、私立も含め所得制限なしでの無償化を求める姿勢を強調した。

日本維新の会・前原共同代表:
(高校授業料は)所得制限を外して無償化をする。現状においては、我々の要求は変わっていない。
こうした中、一部で与党が維新に対し、私立高校について、2026年度から所得に関係なく年39万6000円を上限に助成する案を示したと報じられたが、自民党はこれを否定した。

ーー39万6000円というところを、所得関係なく(助成する案を)維新側に示したというような報道もあります。
自民党・小野寺政調会長:
今の報道は少し違うかもしれません。
今議論をしている最中ということだと思っています。
13日正午、小野寺政調会長は会見を行い、「来週が一つの大きな山場と思っている」と述べた。
「年39万6000円報道」政府与党関係者が否定
ここからは、政治部の高田圭太デスクが解説する。
青井実キャスター:
この高校無償化について、今お伝えしたようにバタバタしている印象です。
政治部・高田圭太デスク:
高校授業料、私立の無償化をいくらまで助成するかというところで揉めている状況です。
青井キャスター:
どこで揉めているのか、焦点はどこなのか見ていきます。

木村拓也キャスター:
前提をおさらいしていきます。
年収910万円未満の世帯は、年11万円8800円が支給されています。この支援金は私立高校、公立高校に関わらずに受け取ることができます。そして、年収590万円未満の世帯で、学費の高い私立高校に行く場合は、年39万6000円までもらえる、これが2階建ての仕組みです。
そして今回、維新側と与党は何を話しているのかについてです。
維新は、予算案に賛成する条件として、私立高校の授業料を、大阪で既に実施している、所得を関係なくした上で支給額を63万円まで広げるように要求しています。
これに対し与党は、2025年の4月以降、私立・公立共通の支援金11万8800円について、所得制限を撤廃し、世帯年収が910万円を超える層にも支給されるようにする。その上で、私立高校の部分についても2026年度から所得制限をなくすのは許容するとして、金額をどうするかが最大の焦点になっています。

青井キャスター:
そうした中で、私立高校についての39万6000円という一部報道が出て、それを自民党・小野寺政調会長が否定しているという状況なんですね。
政治部・高田圭太デスク:
それが先走ると困るということのようで、維新は39万6000円の支給について、支給額も拡大して、所得制限も撤廃したい考えです。維新の支給額の要求は、大阪と同じ最大で年63万円で、そこに年39万6000円という報道が出たので維新はこれでは飲まないだろうということで、政府与党関係者は「こんな数字は聞いていない」「ガセネタだ」などと否定する事態となりました。
青井キャスター:
何故、そんな報道が出てしまったんでしょうか?
政治部・高田圭太デスク:
この協議は予算案の成立に関わるので、実務者だけでなく政調会長や幹事長、国対も含めた複雑な構図になっていて、それが影響して色んな数字が出るようになっているみたいです。

そうした中、動きがありました。
13日午後0時半頃、国会近くの目立たない場所で、自民党の森山幹事長と維新の前原共同代表が極秘に会談していました。ここでも教育無償化の話は出ていて、様々な駆け引きや思惑の中で数字も一人歩きすることがあると思います。
年度内成立には3月2日までに衆院通過が必要
宮司愛海キャスター:
私立への助成金は、実際いくらくらいになりそうですか?

政治部・高田圭太デスク:
政府与党関係者は39万6000円よりは、上積みしないと維新は納得しないんじゃないかと。間に東京都独自の48万4000円という数字も参考にしながら、39万6000円からどこまで増やすかという交渉になると思います。
青井キャスター:
この高校無償化、課題や懸念もありますよね。そちらはどうですか?
政治部・高田圭太デスク:
私立に通う人を支援するので、公立高校の空洞化が心配ですし、自民党は財源も気にしています。103万円の壁が178万円に引き上げられた場合、7〜8兆円の税収が減り、さらに高校無償化の予算は約6000億円に上ります。2025年分は基金の余分な予算を振り替えて対応し、その後の財源は行財政改革で捻出すると言いますが保証もないため、そういった懸念にどうやって応えていくかが課題となっています。
青井キャスター:
時間的な問題もあると思うのですが、いつに向けて決まっていくんですか?
政治部・高田圭太デスク:
17日の週には、予算案の賛否を決めたいと前原さんは言っているので、教育無償化と103万円の壁の協議が山場を迎えると思います。予算案の修正作業、そして予算案の年度内の成立の為には3月2日までに衆院通過が必要なので、17日の週が大詰めでしょう。

青井キャスター:
パックン、協議の山場ということです。
SPキャスターパックン:
僕はあまりケチらない方が良いと思います。平等な教育の機会を与えるのは、将来的に日本の皆さんに還ってくるものだと思います。しかし、落とし穴もあることに気を付けて頂きたいですね。アメリカでは、学費の支援をいくつか重ねてきたんですけど、それを公金から出す分だけ教育機関が学費を上げてしまいました。
便乗値上げをどう防げばいいのか、これも審議していく必要がありそうだ。
(「イット!」2月13日放送より)