コメの価格が記録的に高くなっていることを受け、政府は2025年2月14日、備蓄米の放出についての概要を公表します。コメの販売店などからは、価格の下落につながることを期待する声も上がっています。
■美味しさ損なわない工夫も…政府の備蓄庫は
農水省によると、コメの5kgの平均店頭価格は、2024年に2018円だったのが、2025年2月は3688円と1.5倍以上になっています。

この状況から政府は、これまで深刻な不作や災害時に限っていましたが、コメの高騰が続く中、初めて流通の円滑化を目的に備蓄米の放出を行うため動き出しています。

政府が管理する備蓄米の倉庫では、美味しさを損なわないよう、コメ自体の温度が15度以下に保たれています。
入口には、ねずみが入ってこないようにねずみ返しも並べて対策していました。

政府が14日、入札で売り渡す備蓄米の数量などを明らかにし、その後に放出されると、スーパーの店頭などに並べられます。
■値上がりだけじゃない…入荷しない品種も多く対応に苦慮する店
名古屋市昭和区の「お米の服部」は、家庭向けだけでなく、飲食店にも販売するコメの専門店です。

13日に取材すると、コメの値上がりに対する悲鳴が聞こえてきました。
客A:
家計は苦しいですね。一番大事なことですもんね、食べることは。
客B:
高いですね。厳しいです。
この店では、2024年6月に5kg2000円だったコメが、今は5kg4000円ほどになるなど、値上がりが止まりません。

お米の服部の服部純さん:
結構お米の種類を扱っているんですけど、入荷しない品種が多く見られるので、なかなか好みに応じた対応がしにくくなっちゃっているかな。
値上がりに加えて、コメの流通の鈍さが影響していて、備蓄米放出で状況の変化を期待しています。
お米の服部の服部純さん:
価格が安定することが大事なんじゃないかなと。消費される方々が不安に感じることは避けなければいけないことじゃないかなと思うので、安定して購入できること、値段も安定していることを望みたい。
■資材も人件費も上昇…生産者「適正価格だと思ってほしい」
愛知県弥富市でコメを生産している「鍋八農産(なべはちのうさん)」では13日、袋詰めしたコメを、契約するスーパーなどに出荷する準備が行われていました。
袋を見ると全て5kgで、コメ不足の影響で現在、10kgでの販売は取りやめているといいます。

鍋八農産の八木輝治社長:
今年は元々収量も少なくてお米がないということで、6月ぐらいにはなくなってしまう感じです。
そんな中行われる備蓄米の放出により、価格の変動が起きることについては…。
鍋八農産の八木輝治社長:
価格が高騰している中で、資材や人件費も高騰していて、ある程度のところは適正価格だと思っていました。ただ、コメがないとか、備蓄米が出て値段が動くというのは、正直僕らは関与できないところであって。なかなか、どうなるのかは難しいところです。
しかし、期待もあるといいます。
鍋八農産の八木輝治社長:
民間で輸入している方が出てきてしまって、国内のお米を当てにしなくなっている。海外に頼らずにバランスを取れるなら、備蓄米を放出してでもバランスを取ってほしいなと思っています。
(東海テレビ)