神奈川・川崎市の幼稚園で、送迎バスのドライバー派遣が、突然打ち切られる事態が起きた。業界大手「みつばモビリティ」は、人材不足を理由に契約解除を通知し、一部の園では4月以降の運行にめどが立たない状況だ。背景には、「2024年問題」に伴う運転手不足が指摘されている。
急なバスの契約解除に「ちょっと憤りを感じました」
毎朝、子どもたちを安全に送り迎えする幼稚園の送迎バスに異変が起きた。川崎市で新年度を前に、突然ドライバーの派遣が打ち切られることになった。他の業界にも広がる可能性も出てきている。

7日午前8時すぎ、バスが向かう先には子どもたちの元気な姿があった。約1週間前、幼稚園に突然の通知が届いた。内容は、4月からバスのドライバーの派遣を打ち切るというものだ。
保護者:
バス使わなきゃいけないお母さんもいると思う。
保護者:
4月以降、下の子が入園するので、その時にも利用を考えているので、ちょっと不安になりました。

通知を出したのは、東京都内の業界大手「みつばモビリティ」だ。川崎市の約10カ所の幼稚園に、契約解除の通知を出したという。幼稚園は、25年以上にわたって契約してきた。
浅田幼稚園・三輪哲也園長:
やっぱりびっくり。同時に「うそだろう」と思ったし、その後にちょっと憤りを感じました。そんな一方的な解約の仕方があるのかな。

突然の契約解除について、ドライバーに話を聞いた。
ドライバー:
「定年が73歳です」と言われ、丸2年ここで働けると思っていました。そこで突然「契約を打ち切る」と。青天の霹靂というか…。
次のドライバーが決まっていない幼稚園も
イット!の取材に対し、みつばモビリティは急な契約解除について、次のように説明した。

みつばモビリティ:
配送業などと人材の取り合いが起きていて、人件費の高騰や高齢化や定年に伴う退職もあり、ドライバーの人材不足で、2025年度の運行が難しくなってしまった。1年を通してドライバーの採用に注力してきたが、なかなか採用できなかった。
普段は運転業務を担当していない社員も代行で運転業務にあたるなどして、なんとかやりくりしてきたのが実情だという。浅田幼稚園では、同じドライバーが他の派遣会社に移ってもらうよう調整し、4月以降も送迎バスを続けることができる見込みだという。

しかし、契約を解除された幼稚園の中には、次のドライバーが決まっていないところもある。
浅田幼稚園・三輪哲也園長:
定年して働く余裕のある方がいたら、ぜひ応募していただければありがたいなと。
残業規制に伴う運転手の人手不足、いわゆる「2024年問題」で、人材の奪い合いは激しさを増している。
(「イット!」2月7日放送より)