『令和の米騒動』とも言われ、コメの品薄や価格高騰が続いた2024年。新米の出荷で解消されると見られていたが、コメの価格高騰は今も続いている。一体なぜ、コメの価格高騰が続いているのか、その背景を取材した。

新米出荷で解消のはずが…コメの価格高騰続く

2023年の猛暑により、コメの収量が減少したことなどが原因で2024年、深刻化したコメ不足。市場からコメが消え、『令和の米騒動』とも言われた。

スーパーからコメが消える…(2024年)
スーパーからコメが消える…(2024年)
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コメの品薄・価格高騰は新米の出荷で落ち着くと予想されていたが、コメの価格上昇は続いているという。

新潟県三条市のスーパー・マルセンの太田雅悠専務は「我々も当初は今少ないからとか、みんな欲しがっているから高いのかなと思っていたが、どうやらそういうわけでもなく、依然として市場にコメは必要数に足りてない状況」と話す。

厳しい残暑などの影響でコメの収量の減少に加え、国産米の需要が増加していることもあり、コメの価格高騰は続いていて、客からは不安の声も聞かれるという。

「これは“1月末でこの売価は終了だよ”ということで斜め線を引いた。2月から価格が1袋500円上がる。1月末までにたくさん仕入れをして、少しずつコメを貯めておいて、今はまだ1月の仕入価格で入荷できているので、価格は継続中」

2月から1袋500円↑
2月から1袋500円↑

急激な値上げは消費者の負担になってしまうため、店側も工夫しているが、太田専務は「棚を見てみると、少なくなっているのは、同一量で一番価格の安いもの。売り場からすぐなくなっていく」と現状について話す。

弁当も値上がり…398円⇒450円に

さらに、その影響は“お弁当コーナー”にも。マルセンの幕の内弁当は、2024年まで398円で販売していたが、450円に値上げした。

弁当を値上げ
弁当を値上げ

「コメの量を減らすことも考えたが、昼食を食べるときに物足りないとなると、もう一品・二品買わなくてはいけなくなる。少し価格を上げることで、何とかカバーできないかなと」

弁当を手に取った客は「コメの価格が上がるのは家計にくる。でも、農家さんも頑張っているので、値上げはしょうがないかなと」と話した。

生産コストも上昇「農家さんのこと考えると…」

昨今の物価高騰でコメの生産にかかるコストが上昇しているのも現状だ。

太田専務は「我々としても、何とかコメが買いやすい値段に戻ってくれることを少しは祈っているが、農家さんのことを考えると、そういうわけにも一概にいかないのかなと。その狭間で揺れている」と悩みを口にした。

店側は、必要な人にコメが届くよう「心配して無理に買いすぎないでほしい」と買い占めへの注意を呼びかけている。

JA“激しい競争”で「集荷量が大幅に低下」

一方、コメの供給・価格の安定を目指してきたJAグループ新潟は、2月4日に集会を開き、「現在は激しい集荷競争になっている形で、JAの集荷量が大幅に低下している状況。2024年度については、今のところ供給が厳しい状況」と、コメの集荷にかかる現状や今後の見通しなどを生産者や職員に共有した。

JAグループ新潟が生産者などに現状を説明
JAグループ新潟が生産者などに現状を説明

新潟県内のJAグループにおける2023年産の主食用米の集荷率が52%だったのに対し、2024年産米では45%まで落ち込んでいる現状を説明。

生産量増で価格の大幅下落を懸念する声も

こうした状況を受け、2025年は全国で生産量が増加し、需給バランスが崩れてコメの価格の大幅な下落を懸念する声も上がっている。

JA新潟中央会の担当者は「主食用米などの需給バランスの乱れも心配されているので、2025年産以降の価格が維持・安定するよう主食用米・非主食用米ともに需要に応じた生産・集荷を徹底して参りたい」と話した。

コメ作りの担い手を確保するためにも農家の所得向上が重要視される中、私たちの生活を直撃するコメの価格高騰を抑えるべく関係者の調整が続く。

(NST新潟総合テレビ)

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