バスケットボールB1リーグからわずか2年でB3リーグへと降格した新潟アルビレックスBB。クラブを立て直すべく4季ぶりにチームに復帰したのが、五十嵐圭だ。チーム最年長となる44歳は自身の再起も誓って立ち上がったが、再生への道は険しく…その苦悩を追った。
「新しい大きな挑戦」クラブ立て直しへ4季ぶりに復帰
2024年夏…一人の選手が新潟に帰ってきた。
「再びこのアルビレックスBBに入団することになりました、五十嵐圭です。このクラブを立て直していくという強い気持ちを持って、今回、新潟に帰ってくることを決めました」
バスケットボール新潟アルビレックスBBの五十嵐圭だ。
上越市出身の五十嵐は、Bリーグが発足した2016年にアルビBBに入団し、5季にわたりチームの中心選手として活躍。
2018ー19年シーズンには、チーム初の中地区優勝にも貢献した。
その後は群馬クレインサンダーズに移籍するも、その間にアルビBBの成績は低迷。2季連続で降格し、戦う舞台はB1からB3へ変わっていた。
五十嵐は入団会見で語気を強めて語った。
「落ちるところまで落ちたなと、そう感じている。それを自分自身が選手でありながら立て直すという、新しい大きな挑戦にもなると思う」
シーズン開幕戦 脱臼しながらも16得点挙げる活躍
自身、そして古巣の再起を誓った大きな決断。その覚悟は、すぐにシーズン開幕戦で現れる。
埼玉県所沢市で行われたB3開幕戦。五十嵐にとっても、チームにとっても初めてのB3での試合だ。
試合は、五十嵐がこの日、1本目の3ポイントシュートを決めると、五十嵐と同じく今季から新潟に復帰した上江田勇樹なども3ポイントシュートを決め、リードを広げる。
試合はそのまま逃げ切り、88―76で開幕戦を勝利で飾った。
この日、27分出場し、16得点を挙げる活躍を見せた五十嵐は「自分自身、まずはコートの中で見せていく、引っ張っていくという部分では、きょうも劣勢の部分でアグレッシブに行けた部分もある」と試合後に話した。
群馬時代にプレータイムが減っていた五十嵐選手だが、この試合で選手としての存在感を改めて示した。
その一方で、開幕節後の練習で、試合開始直後に右手中指を脱臼していたと明かした。それでも第2Q途中で再びコートに戻り、プレーを続けた。
「開幕戦だったのもあるし、できないようなケガではないので、多少無理してでも、というところはあった」
五十嵐とともに新潟に復帰した鵜澤潤ヘッドコーチはその存在の大きさについてこう話した。
「感情を表に出すタイプではないが、内に秘めているものというものは、相当強いものがあると思う。なんかこう、背中で語る。すごく若い選手の良い見本になるのではないかと」
チーム立て直しへの苦悩「思っていたものとは程遠い…」
気持ちを見せてプレーする五十嵐の思いとは裏腹に、チームの立て直しは思うように進んでいなかった。
「率直に自分が思っていたものとは程遠いなというのが正直なところ。もうはっきり言って、カテゴリーはもうこの下がない。じゃあ、いま自分たちがどのレベルでやっているんだというところに危機感がみんなないなと。危機感がやっぱり薄いなとは思う」
葛藤を抱きながら迎えた2024年の最終戦。3000人を超えるブースターが集まる中、前半で17点のリードを奪ったアルビBB。
しかし、第3Q、6本の3ポイントシュートを決められ、形勢が逆転。2024年を勝利で締めくくることはできなかった。
「こういう試合を落としていくと、最終的には、プレーオフに進出できるかどうかに響いてくるので、一つの試合をしっかり40分間やりきるというところをもう一度、次の試合に向けてやっていかなければと思っている」
続く五十嵐の挑戦「まずは自分たちのバスケを」
1月3日…年末年始の休みが明けると、新たに選手も加入し、チーム内の競争は激化。
こうした中で迎えた2025年は3連勝スタートを切った。
五十嵐はクラブ立て直しの難しさを感じながらも一歩一歩、歩みを進めている。
「個人的にも、チームとしても、自分たちのバスケットを確立していくという部分では、完成度はまだまだ10％か20％ぐらい。相手どうこうよりも、まずは自分たちのバスケを40分間やり切ることを目標にやっていきたい」
1月25日現在でプレーオフ圏内となるリーグ6位（16勝13敗）につけているアルビBB。
クラブを立て直し、再びトップリーグに戻ることができるか…五十嵐の挑戦は続く。
（NST新潟総合テレビ）
