アメリカのトランプ大統領が20日、就任し、不法移民について「非常事態」を宣言して「数百万人の犯罪者を強制送還する」と演説しました。

これまで移民に寛容だったイリノイ州シカゴは、トランプ政権の主要ターゲットの一つになっていて、緊張と恐怖感に包まれた町を取材しました。

リポート:
不法移民に対する一斉摘発が近くシカゴで行われるとの見方が広がっていることから、普段は50人以上の客でにぎわうというこちらのお店も、ご覧の通りです。

シカゴ市の「リトル・ビレッジ」地区ではトランプ政権が発足し、強硬な不法移民対策でICE=移民・関税執行局がすぐに取り締まりに乗り出すのではと市民の間に緊張が走っています。

1973年から営業しているメキシコ料理タコスを提供するレストランも、前日から客足が鈍く、従業員の出社にも影響が出ています。

レストランの人は「16歳~18歳の従業員が『(不法移民の)両親がどうなるかわからず、自宅で一緒にいてあげる必要があるため、仕事にいけない』と」「みんな怖がっている」と話します。

リポート:
ここは小さな店が並ぶモールの中なんですが、聞こえてくるのはスペイン語です。メキシコからの移民が多い地域です。

26年前にアメリカに不法入国し、こちらの洋服店を営む女性。

4歳の長女はアメリカで生まれ、アメリカ国籍を持っています。

しかし母親だけが強制送還されるシナリオを恐れています。

洋服店を営む女性は「こわい。夜も寝られない。娘や家族、みんなことが心配だ」「この子はどうなるの?わからない」「多くの人はあす仕事にこないと言っている」と話しました。

また、近くのアイスクリーム店店員の女性は27年前、11歳だった時に両親に連れられ、不法入国したといいます。

オバマ政権時代の「DACA」と呼ばれる移民政策で、親に連れてこられた子供たちに対する強制退去処分は延期され、今も2年ごとの更新で、就労許可も与えられています。

アイスクリーム店店員女性は「娘がいるが、彼女はアメリカ国民だ。私はDACAの恩恵があるが、トランプ大統領がそれをどう判断するのか。『娘は誰が面倒みてくれるの?』という心配がある」と述べました。

現地では、移民の人権団体などがビラを配り、ICEの係官が摘発のために自宅を訪れた場合は「ドアを開けない」など対応策や、「黙秘権」など権利について知らせる内容になっていて、「一斉強制送還」に対抗する動きも活発になっています。

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