愛知県は、カスタマーハラスメント=カスハラを防止する条例を制定するため、1月20日に具体的な検討を始めました。今後、条例の骨子案をネット上で公開し、意見を求める予定です。
■市バスの運転手に「お前降りろ…」カスハラの実態
客から迷惑行為や理不尽な要求を受ける「カスハラ」は、東海地方でも深刻な問題となっています。
名古屋市営バスでは2024年10月、運転手に言いがかりをつけ、「降りろ」などと怒鳴る男性の姿がドライブレコーダーに残されていました。

乗客:
お前さあ、「駆け込み乗車するな」っていつも言ってるのお前だろ。
運転手:
言っていません。お客さん、時間遅れているんですよ。
乗客:
お前降りろ。
運転手はバスを降り、乗客は他のバスへの乗り換えを余儀なくされました。
■「カスハラは禁止」条例に明記も “罰則は設けず”
愛知県は20日、カスハラを防止する条例の制定を目指し、経営者団体や労働組合の関係者とともに検討会を開きました。

大村愛知県知事:
県として「カスタマーハラスメントを許さない」と強いメッセージを発信するとともに、条例を制定する。
示された条例の骨子では、カスハラは労働者のやりがいを失わせ、生産性も低下させるとして禁止と明記されていますが、顧客らの権利が不当に侵害されないよう配慮するとしています。
県は条例をもとにガイドラインなどを作り、カスハラの定義や具体的な事例、基本的な対応策を示すことで、各事業者のマニュアル作成を促します。

しかし「罰則は設けない」としています。
労働者団体の関係者:
カスハラと確認された場合、例えば行き過ぎた場合には警察に連絡できるとか、あるいは特定のお客さんについては入店なりお断りができるとか。
経済団体の関係者:
お客さまがモンスター化する前に、小さい段階から不安を収集して、早め早めに対応していく。
愛知県は、20日の議論を踏まえた条例の骨子案をネット上で公開し、意見を求める予定で、2025年6月の県議会に条例案の提出を目指すとしています。
(東海テレビ)