九州で新幹線がない県のひとつ、大分県。計画が立ち上がったのは半世紀前だというが、なかなか進展がみられない。大分県から新幹線に乗車できる日はやって来るのか…。県民の期待が高まる「東九州新幹線」の現状について取材した。
「日豊本線ルート」と「久大本線ルート」の2つを検討

東九州新幹線の検討されているルートについて、県が示しているのは、大分から小倉を経由して博多までを結ぶ「日豊本線ルート」。そして、由布市や日田市を通って新鳥栖から博多に向かう「久大本線ルート」の2つである。
日豊本線ルートは大分から小倉まで所要時間が31分、費用は総額で8195億円と試算されている。一方、久大本線ルートでは大分から新鳥栖まで32分、費用は8339億円となっていて、こちらの方が少し費用は高くなっている。

こうした東九州新幹線の実現に向けて、県内では2024年もいろいろな動きがあった。
東九州新幹線の早期実現のために重要となるのが地元の機運醸成。そのための取り組みは2024年も県内各地で行われた。
新幹線が通るかもしれない日田市民は「わくわくしている」
2つのルートの1つ、久大本線ルートが通る日田市では県が住民向けの説明会を開催。市民など約60人が集まり、参加者からは、「まかり間違えば日田が新幹線の駅になるかもしれない」「今まで考えていなかったので久大線ルート。わくわくしている」などといった新幹線開通に期待する声が聞かれた。
知事も実現に意欲「引き続き果敢にチャレンジしていく」
また7月には県内の自治体や経済界で作る期成会が総会を開き、佐藤知事も出席。総会では今後も国への働きかけを行っていくことなどを確認していた。

佐藤知事も実現に意欲を燃やし力を入れている東九州新幹線。2025年最初の定例会見でも「広域交通ネットワークは、なかなか目に見えて新しく、例えば東九州新幹線や豊予海峡ルートは具体的にできるようになりましたというところまでなかなかいかないが、引き続き果敢にチャレンジしていくということではないかと思います」と改めて意気込みを示した。
隣県、宮崎でも新幹線の議論が進む

また、宮崎でも大分と同じように新幹線に関する議論は進んでいる。宮崎県では、大分を通る「日豊本線ルート」は同じだが、鹿児島までの「鹿児島中央先行ルート」、熊本までの「新八代ルート」と大分県が示していたものとは違うルートで費用や所要時間を試算する調査が行われた。
1973年の基本計画路線計画から半世紀以上…進展なし
そして、新幹線の工事が始まるまでの手順についてです。まず、新幹線の建設計画が基本計画に決定されその後、整備計画に格上げされる必要がある。そして、工事実施計画の認可が降りて初めて着工できるという。
この過程の中で、東九州新幹線が今、どの位置にいるかというと、まだこの基本計画の段階なのだ。しかも基本計画路線になったのは1973年のことで、計画から半世紀以上、進展がないのが現状である。

東九州新幹線も含めて、現在、全国で11の路線が基本計画の段階にあり、整備計画への格上げに向けてそれぞれの自治体でいろいろと機運を高める活動をしているという状況である。
2025年も各地で進む早期実現に向けた取り組み…新幹線開通に向けては機運を高める取り組みを続けていくことが重要となる。

(テレビ大分)