三菱UFJ銀行の元行員だった女が貸金庫から現金や金塊を盗み、被害総額は17億円規模となるという。
顧客の予備鍵を悪用し、質店で金塊を現金化するなどの自転車操業で長期間隠蔽(いんぺい)していた。
銀行は、管理体制の不備を認めている。

元銀行員の不正の手口…貸金庫複数を使い偽装

三菱UFJ銀行の元行員による、巨額の窃盗事件が発生した。

青井実キャスター:
ーー被害額は17億円にのぼるとみられていますが、なぜこんなに被害が膨らんだのでしょうか?

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宮司愛海キャスター:
どのように巨額の金品を盗み、それを動かしていたのかが、明らかになってきました。

多額の借金を抱えていた今村容疑者は、銀行の貸金庫担当という立場を利用して、顧客の予備の鍵(スペアキー)などを使って犯行に及んでいました。

まず、貸金庫(1)から現金を盗み出しました。
このお金をもとにして、「競馬」や「FX投資」で失った分を取り返そうとしていたようです。
ただ、「FX投資」などはうまくいかずに、盗んだ現金は減ってしまいました。

これでは、金庫(1)に現金がない、足りない状態になってしまいます。
そういった際に今村容疑者は、今度は金庫(2)のお金を盗み出して、それを金庫(1)の補填(ほてん)に充てていたということなんです。
ここから自転車操業のようなものが始まります。

質店に金塊を持ち込み「現金化」
質店に金塊を持ち込み「現金化」

青井キャスター:
ーー今度は金庫(2)に現金がなくなって、今村容疑者としては犯行が発覚してしまうおそれがありますよね?

宮司キャスター:
次に、今村容疑者は「金塊」を「現金化」させることを企てます。

目をつけたのが、金塊が預けられている金庫(3)です。
盗んだ金塊を質店に持って行き、いったん預けることで金塊を現金に換えました。
お金を借りた形です。

そして、この現金を金庫に持って行き、金庫(2)に補填していました。
これで、金庫(2)の持ち主が来ても発覚を免れようとしたわけです。

青井キャスター:
ーーこれだと、金庫(3)は空っぽですよね?

木村拓也キャスター:
ーー金庫(3)を借りている人が、「きょう貸金庫を確認しに行こうかな」と思い立っても不思議じゃないですよね?

宮司キャスター:
想定外の顧客がやってきたときには、貸金庫の電源を切って、「すみません今トラブルで…」などと、システムの故障を装っていたということです。

木村キャスター:
ーー「じゃあ来週の水曜日、貸金庫から金塊を受け取りに行きます。それならいいですよね?」ということもありますよね?

宮司キャスター:
こうした場合は、金庫(3)から金塊がなくなっていることを発覚させないために、なんとか現金を作り、質店から金塊を取り戻し、金庫の中を確認されるより前に金塊を戻すといったことを行っていた可能性もあるということです。

管理体制の不備認め…三菱UFJ銀行の頭取らが謝罪

青井キャスター:
ーー客が訪れた際に、被害が発覚しそうなものですが、なぜこれだけの長期間、犯行が発覚しなかったのでしょうか?

宮司キャスター:
窃盗を実行するタイミングなどは、犯行前にそれぞれの顧客の貸金庫の中身や利用頻度を調べて、盗む対象を選定していたとみられるということです。

青井キャスター:
ーーもちろん容疑者が悪いですが、三菱UFJ銀行の半沢頭取らが貸金庫の予備鍵の管理体制に不備があったことを認めて謝罪しています。銀行側の管理体制や責任も問われるわけですよね?

スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン):
間違いないと思いますよ。本人が一番悪いんですけど、想像力が不足で起きた事件だとも解釈できるかなと思います。つまり、この体制を作ったときは、悪い人がこの立場に就いた場合はどうなるのか想像できなかったのか。

この合鍵を作るんだったら、悪い人がそれを握った場合どうなるのかというのを想像までして、体制を作らなきゃいけないんですね。性善説で動いて成り立つ日本は素晴らしいですけど、銀行の体制を作るには性善説はいりません。

銀行は安心してお金を預けるところ、これが基本だ。
そのお金がなくなってしまうような事態にならないように、銀行側には再発防止を徹底してもらいたい。
(「イット!」1月15日放送より)

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