愛知県豊橋市の長坂尚登市長は1月14日、新アリーナ建設の契約解除に市議会が“待った”をかけた条例の改正について、議会の権限を超え法令違反があるとして審議のやり直し=再議を申し入れました。議会との対立が激しさを増しています。

■「住民投票」実施に向け議論進んでいたが…

長坂市長は1月11日、Bリーグの強豪・三遠ネオフェニックスの試合に応援に訪れました。

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チームが新たな本拠地とする計画の「新アリーナ」について、長坂市長は建設中止を公約にしていて、建設推進派が多数を占める市議会との対立が政局に突入しています。

市議会はいったん、新アリーナの賛否を問う住民投票の実施に向けた議論を進めていました。

しかし12月26日に突如、「議会の議決を経て締結された契約は、議会の議決がなければ解除できない」とする異例の条例改正案を提出・可決していて、長坂市長が手続きに入っていた新アリーナ整備の契約解除に「待った」をかけていました。

■石丸伸二氏や河村たかし氏も…長坂市長が求めた「再議」

議会の動きに対して、長坂市長が14日、再び「待った」をかけました。市議会にこの条例改正案の再議=審議のやり直しを求めたのです。

長坂豊橋市長:
条例の改正案が法令に違反する、または議会の権限を超えると判断したため、再議に付する手続きをとることといたしました。専門知識のある職員に、年末年始も含めてしっかりと精査をいただいたうえで、私が最終的には判断した。

市長の拒否権とも言える再議ですが、名古屋市の河村たかし前市長も、議員報酬の引き下げなどをめぐり、議会にしばしば再議を求めました。

議会と激しく対立した広島・安芸高田市の石丸伸二前市長も、副市長の人事案を否決されるなどして再議を繰り返しました。

豊橋市では、1月29日からの臨時市議会で審議のやり直しがされることになりました。

自民党市議団の山本賢太郎市議:
われわれとしては当然、地方自治法の趣旨の範囲内で提案させていただいているという考えなので。

今回のケースでは、議会は再び過半数で、新アリーナ契約解除に待ったをかける条例改正案可決が可能です。これに対し、市長はさらに裁判に訴えることもでき、その間、新アリーナは宙に浮くことになります。

■今後の動きは…専門家「6:4で議会側に分があるのでは」

今回焦点になっている、市長が契約解除できなくさせる議決がアリなのか、専門家に聞きました。

名城大学の昇秀樹教授は「あくまで法律上は議会に大きな権限が与えられていて、議決が違法かどうかでは、6:4で議会側に分があるのではないか」と話しています。

今回の再議の手続きでは、市議会の構成が変わるわけではないので、議会は再び過半数で条例改正を議決できます。

市長は、知事に審査・裁定を申し立て、さらに不服なら裁判所に訴えを起こすこともできますが、新アリーナ建設も計画中止も、決着がつかない状態が続くおそれもあります。

(東海テレビ)

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