常勤医が一時不在になっていた福島県只見町の朝日診療所。2024年11月、町唯一の医療機関に医師の城大祐さんが着任した。人口3500人あまりで高齢化率は48.4%(2024年12月時点)の只見町。「予防的な観点からこの地域に貢献できるかと思っている」と語る城さん。一日約20人の患者を診る朝日診療所が地域医療を支えている。

常勤医 町民の安心に

朝日診療所は、前の医師の退任に伴い2024年10月から1カ月、常勤医が“空白”になっていた。それだけに、城さんの着任で町民には安心感が広がっている。
患者からは「印象的には良かった。話しやすくていい。常勤医がいるというのは安心できるので、いいことだと思う」「自分も歳をとってきて、車もあまり乗りたくないし、遠くに行くのは不安なので安心。ずっといてもらいたい」との声が聞かれた。

朝日診療所の城大祐医師(55)
朝日診療所の城大祐医師(55)
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只見町で飲食店を経営する佐藤弘さん(73)は、「手術はできなくても、ここの大きい病院に行けと指示してもらえるだけでもありがたい」と話すように、新しい常勤医を歓迎する町民の1人だ。

只見町で飲食店を経営する佐藤弘さん(73)
只見町で飲食店を経営する佐藤弘さん(73)

大病を経験したこともあり、車で片道約2時間かけて定期的に会津若松市の病院へ通っている。と話し、不便な環境だからこそ、病気の早期発見につながる城医師のような“かかりつけ医”の存在は大きいと感じている。

医師不足が顕著な南会津地域

福島県によると、“へき地診療所”は県内19カ所あるが常勤医は24人にとどまり、特に南会津地域は医師不足が顕著になっている。
地域医療を存続させるために、様々な取り組みが重ねられるなか、今回は福島県の公募をきっかけに着任が決まった。

千葉県出身の城医師 福島県の公募をきっかけに着任(画像:只見町)
千葉県出身の城医師 福島県の公募をきっかけに着任(画像:只見町)

地域医療に関心があり、只見町の自然などに惹かれたと言う城さん。週末は家族が住む東京に戻れる職場環境も決め手になった。
「働き始めたばかりで、自分にとってどういうところになっていくかは、これからの自分の取り組み次第。すごく歓迎されて、自分が役に立てる場なのかなと思っているので、長く働ける場にしたい」と城さんは話す。

着任して知った町の魅力

この日、城さんが向かったのは只見町内の高齢者施設。「皆さん本当に歓迎してくださるお言葉をくださいますし、その点は本当にありがたい」と言うように、着任から3カ月を迎え、日々実感しているのが只見町のあたたかさだ。

高齢者施設で入所者と向き合う城医師
高齢者施設で入所者と向き合う城医師

城さんは「今、応援の先生方にお手伝いいただいているが、できればこの只見町で診療することの楽しさやメリットの部分をお伝えして、一緒に働ければありがたい」と話す。

長く働ける場所にしたいと語る城医師
長く働ける場所にしたいと語る城医師

医師と地域住民が一緒に支え合いながら地域医療を守る只見町。
その魅力を伝えることは“へき地”が抱える医師不足という課題と向き合うことでもある。

(福島テレビ)

福島テレビ
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