2024年5月、静岡県のトップに就いた鈴木康友 知事。年が明け初めての予算編成を控え、本格的な鈴木県政の手腕が注目される。そこで、県が抱える課題や知事肝煎りの政策にどう取り組むのか展望を聞いた。
激動の1年 スピード感を重視

就任から半年余りが経ち、改めて「2024年はどんな1年だったのか?」鈴木知事に尋ねると「去年は本当に私にとって激動の1年だった」と話す。
川勝平太 前知事の突然の退任に伴い、2024年5月に新たな知事となった鈴木康友 知事。
6月の県議会での所信表明や11月の知事就任半年後の会見など「激動だった1年」の事あるごとに繰り返してきた言葉が「スピード感」だ。
そして、今後の県政運営のカギとしても、この「スピード感」を掲げる。

静岡県・鈴木康友 知事:
変化の激しい時代になってきたので、的確にスピード感をもって施策を打っていかないと、たとえその瞬間的確だったとしてもスピードが遅れることによって意味をなさなくなることは往々にしてあるので、これからスピード感は大事
リニア問題もスピード感を持って

そして、スピード感を意識しながら取り組むのが県政最大の課題の1つ、リニア中央新幹線への対応だ。
「まだまだ課題はいろいろあるのでクリアしていかなければいけないが、まずは前進させることができたと思う」とリニア問題について手応えを口にした鈴木知事。
2025年に取り組むリニアに関する課題について次のように意気込みを語った。

静岡県・鈴木康友 知事:
3分野28項目に整理した課題をまさに「スピード感」をもって解決していく。すでに3項目が終了しているので、残り25項目(1月6日時点で24項目)、すでに17項目の対話が進捗しているので25項目(1月6日時点で24項目)について、JR東海との対話を終了させて状況を整えていくことに全力を挙げたい
さらに、対策についての話し合いの進展とともに新たなステップとして重視するのが大井川流域の住民への説明だ。

静岡県・鈴木康友 知事:
流域市町からも私のスピードが早すぎるのではという声をもらうが、情報がしっかり提供されていないと不安を抱くのが正直なところだと思うので、我々も丁寧に情報提供するが、事業者としてJR東海が住民に説明をすることが大事
スタートアップ企業の育成で地域活性化を

そして、鈴木知事の特色の1つが経済活性化へ向けた施策。知事肝煎りで動き出したのがスタートアップ企業の育成だ。
静岡県・鈴木康友 知事:
スタートアップが生まれ集まってくることは、その地域の経済にものすごくいい影響を与える。
直接的な影響もあるし、既存産業を変えるとか新たなイノベーションが起こるとか、色々な効果がある。スタートアップに力を入れることは浜松市長時代からやってきたが、知事になっても「ガンガン行くぞ!」ということでやっていきたい

県内総生産18.8兆円のうち、製造業が4割を占め「モノづくり大国」とも言われる静岡県だが、さまざまな分野で地域特性に応じたスタートアップ企業の誘致・育成をイメージしていると話す。

静岡県・鈴木康友 知事:
農業はスタートアップが大きな変革を起こそうとしている。農業もそうだし、海洋の分野もそうだし、観光やサービスの分野もそうだし、いろいろなところでスタートアップが活躍し始めている。決してモノづくりだけではない。地域特性に応じたスタートアップの育成や誘致をやっていきたい。
例えば富士のエリアにはセルロースナノファイバーという非常に可能性がある新素材があるのでそれを活用して新たな製品を生み出すスタートアップを作ってもいいし、伊豆地域に行くと観光資源や自然資源はすごくポテンシャルがあるので、旅館をリノベーションしてスタートアップのサテライトオフィスを作れば首都圏からどんどんスタートアップ企業の誘致できるのでは。それぞれの地域に合わせたいろいろな取り組みをやっていきたい
本当の意味での“鈴木県政”がスタート
重要課題への前向きな姿勢や肝煎り事業の展望まで、すでに自身のカラーをのぞかせている鈴木知事。
就任2年目となる2025年、その手腕が試される。

静岡県・鈴木康友 知事:
今年は初めての予算編成が始まるし、総合計画も策定していく。そういう意味では、本当の意味での鈴木県政がスタートするので、私といえば「やります!」なので、今年も「やります!」の精神で、全力でスピード感をもって頑張っていきたい
(テレビ静岡)