長崎女子高校は美容に関する幅広い知識を学ぶ「トータルビューティーコース」を2025年度からスタートさせる。生徒たちが美に関する教養やスキルを学び、等身大の自分を知ることが目的だ。学校を運営する学校法人は10月に理事の半数に女性を選任しており、男女が共に活躍する社会の推進を後押ししたいとしている。
長崎の美容のプロから「心身を輝かせる」ことを学ぶ
2025年度4月にスタートする」「トータルビューティーコース」は、これまでの美容コースを改編し、「NAGASAKIのキレイを集めよう」をコンセプトに生徒たちが「美」を学ぶ。

講師は長崎県内で活躍する美容のプロ14人。「ネイル」「ヘア」「メイク」といった見た目の美の追求はもちろん、「カラー診断」や「着付け」「茶道」「ヨガ」「マインドフルネス」など「心も体も美しく輝かせる」ことをモットーに、体験しながら学びを深める授業となる。定員は30人ほどを見込んでおり、2年生になると週に6~8時間、授業を受けることになるという。
等身大の自分を知ってほしい
これまで「美容コース」は美容師の国家資格取得に特化していたが、新コースでは「自分自身が幸せを感じながら、幅広い教養や美を追求すること」を目的としている。注目すべきは「見た目の美」のみならず「内面の美」も学ぶことだ。「話し方」「姿勢」「食」「心」など内面にもアプローチし、感性豊かな女性を目指してほしいとしている。

トータルビューティーコースのコーディネーターは大原万里亜さんが務めている。大原さんはこの春から長崎女子短期大学附属幼稚園の園長に就任。これまでは長崎市内で布ナプキンや布おむつを製作、販売しながら、ワークショップや性教育などを通して幅広い世代に「性」について伝えてきた。そこで感じたのは「生きる力の欠如」だ。多くの女性たちと話す中で、イキイキできることが見つからないことへの不安や苛立ちを感じる人が多いことに気付いたという。
「トータルビューティーコースでは等身大の自分を知ってほしい。たくさんあるカリキュラムから自分が好きなことが何かを知る。スキルを身に着けたらそれを誰かにしてあげて喜んでもらうことで、自信を持てるようになる。何より講師たちが楽しく仕事をしている姿を見て、どんな大人になりたいかを考えるきっかけにしてほしい」と話す。
男女が共に活躍する社会に
長崎女子高校と長崎女子短大を運営する学校法人「鶴鳴学園」は1896年に「長崎女子学院」として始まった。創始者は笠原田鶴子氏だ。

明治時代に長崎で、女性が女子教育のための学園を作ったのである。

橋本剛理事長は「長崎の女性の素晴らしさを感じている。女性が自分自身にプライドを持ち、社会で活躍できる人材に育てることは学園の財産になる」と話す。
鶴鳴学園はこれまで8人の理事全員が男性だったのを、2024年10月、半数の4人を女性にした。意思決定の場に多様な視点を取り入れ、男女が共に活躍する社会の推進を後押ししたいとしている。

理事の一人は日比谷松本楼(東京)社長の小坂文乃さんだ。小坂さんは、長崎出身で孫文の支援者として知られる梅屋庄吉のひ孫にあたり、日中親善のための活動に携わるなど、長崎と関係が深い。今回の理事就任で「これまで開国の歴史に活躍した女性はあまりクローズアップされていない。今の時代で女性が活躍するために、かつての女性たちの活躍を知ってもらい、ロールモデルとなる取り組みも必要ではないか」と、今後の学園の展開に期待を寄せている。
(テレビ長崎)