芸能記者の中西正男さんが、ダウンタウンの松本人志さんに単独インタビューを行った。取材の舞台裏や松本さんの今の様子を、25日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」で語った。

松本さんサイドは会見のような形ではなく、しっかり話をできる場を模索していた中で、中西さんが「Yahoo!」に掲載している連載の一つとしてインタビューが成立したということだ。
裁判に関しては、訴えを自ら取り下げるという形で裁判が終わり、今回のインタビューが行われることになったが、橋下徹氏は、「こういう(インタビュー記事の)形で自分の主張を出すということは当然だと思う」と述べた。
■まず動画チャンネルに出るというのであればインタビュー記事で「自分の主張を出すのは当然」

橋下徹氏:松本さんもインタビュー記事の中で言われていましたけれども、『自分は雇われの身』だと。スポンサーがいて、多くのテレビ局の関係者もいて、その中での判断で自分は呼ばれたり呼ばれなかったりする。ですからスポンサーを背景とする仕事にもう一度就くのであれば、恐らくスポンサーとしては消費者の意向が非常に重要ですから、僕も記者会見を開くべきだと思っていました。
橋下徹氏:でも記事の中にあるように、いきなりテレビメディアに出るとかではなく、(ネット動画の)チャンネルというんですか、見たい人に見てもらって、料金をもらうという仕事の場合には、あえて公に記者会見を開く必要もないので、こういう(インタビュー記事の)形で、しっかり自分の主張を出すということ、当然のことだと思いますし、これで十分だと思います。
橋下氏はこれまで一貫して、松本さんは会見に出るべきだと言ってきた。
橋下徹氏:スポンサーを背景とする仕事をする場合には、そこをスポンサーも見ざるを得ないところがあると思ったんです。
橋下徹氏:ただ松本さんも中西さんに話をされているところだと思いますが、当初、性犯罪の疑いの報道が出た時に、『事実無根』だと自分では思っていたのだけれども、法律家からすると週刊文春の記事が表現の自由に当たるかどうかというのは、性犯罪の有無の話じゃなくなってくるんです。正直、松本さんが裁判をやってみて、『あれなんか違うぞ』と、思っていたこととズレを感じたっていうところが、正直な気持ちを中西さんに話されたのだなと思いました。
■松本さんの件は現代的価値観で“アウト”なのか「文春はある意味問題提起した」と橋下氏

芸能人のスキャンダルの報道というのはこれまでもいろいろとあったが、社会のルールや感覚、プライバシーに対する考え方が変わってきていることも、松本さんの一連の動きに影響しているのだろうか。
橋下徹氏:今回の問題は、法律改正の前の話で、いわゆる性犯罪というものは暴行脅迫が必要だった時代の出来事だったんです。けれども今は刑法の改正があって、暴行脅迫がなくても、相手方が不同意の場合に性行為が犯罪になったんです。
橋下徹氏:そこを週刊文春は、ある意味、問題提起というか。松本さんの件は、昔の刑法の暴行脅迫が必要だったときの事案かも分からないけれども、今の時代から見てどうなんだという問題提起の報道だったのかと思います。
橋下徹氏:松本さんをCMに出しているような企業の広報担当が、みんな注目している点は、今回暴行脅迫の証拠はなかったけれども、同意はどうだったんだというところなんですね。暴行脅迫がなくても、同意というか、嫌な気持ちになってたという中での性行為は、犯罪と言わなくてもやはり今の現代的な価値観で“アウト”だという風になってしまうので、多くの企業はそこをやっぱり知りたい。
橋下徹氏:そうなると、やっぱり松本さん自身の口から記者の前で、質問も受けながら、相手方の気持ちを害したようなところはどうなんだと、どうしても会見で聞きたいんだという声を、僕はすごい聞くんですよね。
■裁判で松本さん側に誤算”か

裁判について、松本さん側は“誤算”があったと話している。中西さんのインタビューの中で、次のように話している。
松本人志さん:簡単に言うともう少し早く決着がつくと思っていましたし、証明したいことがもっと早く形にできると思っていたんです。でも始まってみると、どうやら長くかかりそうだ。しかも当初の目標を達成しても、それが広く納得に結びつくのかという疑問も出てきた。自分から『裁判に注力するため』に仕事を休んだわけですけれども、いつの間にか仕事に戻れなくなっている。
松本さんにも代理人弁護士の方がいて、裁判が始まった時点で、最高裁まで例えば争うことになったら数年がかりになるということはある程度分かっていたのかなと考えられるが、そのようなアドバイスはなされなかったのだろうか。
橋下徹氏:僕は最初の裁判戦略のところで、ちょっとボタンの掛け違いがあったなと思います。松本さんは法律の専門家じゃないですから、最初のツイートで『事実無根です』と言い切りました。僕はあの時点で危ないなと思ったんです。
橋下徹氏:名誉棄損の話になると、性犯罪・性加害の有無だけじゃなくて、飲み会の場があったのかとか、女性の気持ちとして不快な思いをしたのかとか、そこが証拠で積み上がってきて、表現の自由として認められるだろうということになれば、文春が勝ってしまうんです。
橋下徹氏:松本さんは性加害の客観的な証拠はないから、絶対に暴行脅迫はなかったと立証できると思ったんです。でも実は文春との裁判はそこじゃなくて、記事全体を見て、いろんな証言を積み重ねていった時に、これが真実と認められる相当性があるかどうかという、そこになっていった時に、松本さんとしては『あれ?加害の有無だけじゃないんだ』と思ったんじゃないですか。
橋下徹氏:性加害の証拠はないという確信があるけれども、他の証言で飲み会はあったとか、女性と仮に男女の関係があったということになると、簡単には勝てないなと思ったんだと思います。これは松本さんに対して、最初、法律家がアドバイスしなきゃいけないことだし、裁判戦略を練る時にもここを考えた上で裁判をどうするかってことを考えなきゃいけなかったと思うんですよね。
この点、インタビューをした中西さんも、松本さんが「正直に自分の思っていたのと違った」という発言を実際に聞いている。
弁護士としていろんなクライアントを取り扱う中で、訴えた時には気持ちも高まっているものの、途中で気持ちが変わることはよくあると橋下氏は話した。
橋下徹氏:当然ですよ。だから繰り返しになりますけど、松本さんが感情的になっている時に、法律家がきちんと冷静なアドバイスをやるべきだったんですよ。ちょっとそのあたり、吉本興業も最初は松本さん側につくようなスタンスだったんだけど、利害関係が相反するところもあるので、切り離されたんですよ。松本さんと吉本興業の立場が。その辺りから松本さんに対して誰がアドバイスしているのかというところは、僕は心配だったんです。
■「世間の感覚」は松本さんを「もういいんじゃない」となるのか

橋下徹氏:本当にいろんな感覚というか、意見があると思うんです。やっぱり民放のテレビ放送は、スポンサー企業の判断が影響します。スポンサー企業は多額の広告費を放送局に払って、商品を売るためにお金を払っているわけです。だから松本さんが番組に出てくることによって、自社の商品が売れなくなるとなれば、これはお金を払っている意味がなくなるので、やっぱりスポンサー企業は世間の雰囲気を一生懸命見ている状況じゃないですか。
世間の雰囲気は、例えば「ダウンタウンチャンネル(仮)」というものが始まったとして、世間の雰囲気やスポンサーの対応も変わってくることはあるのだろうか。
橋下徹氏:僕はそう思います。松本さんが今回まずはスポンサーを背景としない仕事からやり始めて、どんどん活動されたらいいと思います。今、犯罪でもなんでもないわけですから。
橋下徹氏:世間の感覚の問題なので、松本さんが通常どうりに活動されて、それに対して松本さんのファンだけじゃなくて、一般のいわゆる消費者の皆さんの感覚が、『もういいんじゃないの』という雰囲気になってくれば、スポンサー企業も松本さんにぜひもう一回出てくださいとなると思う。しっかりこのチャンネルですか、ここで頑張って活動してもらいたいなと思いますね。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2024年12月25日放送)