好きならどこまででも貫いて、自己犠牲は当たり前という固定観念があったchikaさんには衝撃的な言葉だったという。

この言葉を受け、自分の好きな仕事について、限界を超えてまでやるような働き方を選ばなくてもいいと学んだと振り返る。

起業後に襲ったロンリネス

こうした決意と共に起業に踏み切ったchikaさんだが、一人で働き始めると、淡々と過ごす日々と無力感で、孤独がゆっくりと近づいてきたと語る。

「新しい孤独」のエピソード(『北欧こじらせ日記 フィンランド起業編』より)
「新しい孤独」のエピソード(『北欧こじらせ日記 フィンランド起業編』より)
「新しい孤独」のエピソード(『北欧こじらせ日記 フィンランド起業編』より)
「新しい孤独」のエピソード(『北欧こじらせ日記 フィンランド起業編』より)

「孤独には、積極的な孤独(ソリチュード)と消極的な孤独(ロンリネス)の2種類があります。今まではソリチュードを楽しんでいたはずが、いつのまにかロンリネスに。大きな出来事があったわけでもなく、小さいことが少しずつ積み重なり、不安が募りました」

すしレストランで働いていたときのように、同僚や上司もおらず、身近な相談者がいなくなってしまったことから孤独感を抱えたという。しかし、chikaさんにとっては孤独から抜け出すことが、新しい世界や人との出会いが生まれるきっかけとなった。

「私は悩みの領域ごとに頼れる相談先を分散していたのですが、失った仕事領域の相談をほかの友だちに聞いても困らせるだけだと思ってしまい、相談できないことが続きました。ですが、自分が孤独であることに気づいて対処するのみだと思ったときに、自ら相談先となるコミュニティーを探そうと動きました」

夢見た場所でも同じ悩みを繰り返す

現在は日本やフィンランドでエッセイなどの執筆活動をフィンランドを拠点に行っているchikaさん。

孤独から抜けると行動も大胆になったchikaさん(『北欧こじらせ日記 フィンランド起業編』より)
孤独から抜けると行動も大胆になったchikaさん(『北欧こじらせ日記 フィンランド起業編』より)
孤独から抜けると行動も大胆になったchikaさん(『北欧こじらせ日記 フィンランド起業編』より)
孤独から抜けると行動も大胆になったchikaさん(『北欧こじらせ日記 フィンランド起業編』より)

孤独から抜け出すと、行動が大胆になり、フィンランド語に翻訳した自らの本を書店に並べてもらうなどの営業活動を行う。

その行動力の源も、フィンランドでの出会いにあった。