今シーズン2勝を挙げ、岩手県出身選手として初の男子ツアー優勝を果たしたゴルファー・米澤蓮選手。独学でゴルフを始め、着実にステップアップを重ねてきた25歳は、「何かを伸ばしていこう、何か新しいことを身につけよう、そういう考えは常に自分の中にある」と、さらなる高みを目指す。
「自分で全部やってきたからこそ自分のことを一番知っている」
米澤選手は昨シーズン、『中日クラウンズ』と『横浜ミナト Championship』で優勝を飾った。「初優勝してから、もう一勝したいなと思ったんですけど、それが本当に形となって、自分自身すごくうれしく思います」と、有言実行を果たした喜びを語る。

優勝を経験したことで、米澤選手の中にも変化が生まれた。「自分の中ですごく楽になった、優勝して肩の荷が下りた」と心境の変化を明かす一方で、「まだまだキャリアも続くと思いますし、試合数もありますので、優勝しても、一戦一戦変わらずやるというところは意識しながら、昨シーズンは戦いました」と、慢心することなく戦い続けた。
ショートゲームに自信 ドライバーは課題
米澤選手の強みは、100ヤード以内のショートゲームだ。「アマチュアの頃からのプロに入って今まで変わってないです。ただ、よりプレッシャーのかかる場面で落ち着いて打てるようになってるかなという実感もあります」と自信を見せる。

一方で、課題として挙げるのがドライバーだ。「ドライバーがもともとあまり得意なクラブじゃなかったので、それが今も感じていますし、ドライバーの飛距離と方向性というところは、まだまだ伸びしろがあるのかなと思います」と分析する。

男子ゴルフ界では300ヤード超えのドライバーショットが珍しくない中、米澤選手は「飛距離も伸ばしていければもっともっとチャンスもあるのかなと思いますけど、自分のプレースタイルというのもありますし、強みというところもあるのであまり飛距離だけを求めて自分のいいものを見失わないようにしたい」と、バランスを取りながら改善を目指す考えを示した。
独学で歩んできた道
米澤選手が特徴的なのは、ほぼ独学でゴルフを始め、プロの世界まで上り詰めてきたことだ。「自分は他のプロゴルファーと歩んできた道も違うと思うし、優勝というところまではすごく大変な道のりでしたけど、やっぱり自分で全部やってきたからこそ、自分のことを一番知っているのは自分だと思ってます」と、その経験が今の強みになっていると語る。

「素直に今まで自分と向き合ってこれましたし、一つ優勝という夢がかないましたけど、これからもっともっと高いステージを目指していかないといけない。そこでも一人でやってきたというのは、この先も大きなものになってきます」と、独学で培った自己分析力と向上心が、さらなる飛躍への原動力となっている。
オフシーズンは「のんびりする時間」
年間を通して激しい戦いを続けるゴルフツアー。米澤選手は、オフシーズンの過ごし方について「のんびりする時間が1年間なかったので、ちょっとゴルフから離れて、自分の好きなことを本当に何日かですけどできれば」と語る。

しかし、完全な休養期間というわけではない。「1月2月3月に毎年オーストラリアやニュージーランドに行って開幕を迎える、そのルーティーン自体が、やっぱり4月の開幕っていうところで役立てると思います」と、次シーズンに向けた準備も怠らない。
PGAツアーを目指して
米澤選手の長期的な目標は明確だ。「最終的にはPGAツアーでプレーしたいと思ってます」と、世界最高峰の舞台を見据えている。しかし、「最終目的地はそこなんですけれど、そこばかり見てしまうとなかなか自分の強みを見失ってしまうこともある」と、慎重な姿勢も見せる。

「ことし1年の目標は日本で賞金王を取りたい。それが達成できたら来年以降にアメリカに目を向けていけたらいいのかな」と、着実にステップアップを重ねる方針を示した。
岩手のゴルフ振興への思い
米澤選手は、競技者としての目標だけでなく、ゴルフを通じた社会貢献にも強い思いを持っている。「子どもたちに何不自由なくゴルフを楽しんでもらえる環境を作っていきたい」と、特に子どもたちへのゴルフ普及に力を入れたい考えだ。

「岩手のゴルフがすごく盛り上がってくれればいいな」と、地元への思いも強い。「僕一人でできることはすごく限られていると思いますけど、せっかくプロゴルファーなのでゴルフを通して社会に役に立つことはしていきたい」と、プロとしての責任感も示した。

独学で歩み、着実にステップアップを重ねてきた米澤蓮選手。今後も自身の成長と地元・岩手のゴルフ振興という二つの車輪を回し続け、さらなる高みを目指す姿に注目が集まる。
(岩手めんこいテレビ)