カモが麦などの農作物を食い荒らす食害が深刻だ。佐賀・江北町ではカモが毎年農家を苦しめている。このため町は、カモを撃退するためのロケット花火を農家に無料で配布するなどの対策に今年も着手した。
ロケット花火でカモを撃退へ
佐賀・江北町では今年(2024年)、麦の作付けが始まる12月上旬からカモの食害対策が始まった。
この記事の画像(7枚)カモによる農作物の被害を減らすため、江北町は2022年から町内の農家に対策用の資材を無料で配布している。地区ごとにカモ被害の対策資材が配られ、農家がトラックで運んでいく。
今シーズンは、カモを撃退するためのロケット花火やキラキラと光る防鳥テープなどなどの資材が約80セット用意され、農家に無料で配布された。
麦を食い荒らすカモ
カモが麦の新芽などを食い荒らす食害は毎年起きていて、農家を悩ませている。
江北町によると、2023年度は11件の農家から計約72万円のカモによる麦の被害が報告されているという。
江北町地域振興課 澁谷康二朗係長:
カモ等の鳥類の対策資材を町で配布して、農家にそれを設置していただいて、少しでも被害軽減ができればと思い町として取り組んでいます
養殖ノリでも懸念されるカモの食害
食害が懸念されるのは麦だけではない。晩秋から冬にかけて本番を迎える有明海の養殖ノリでも、毎年のようにカモによる食害が漁業者を悩ませている。
昨シーズン、被害を受けたノリ網の中には、ひどいところでは網の中の半分が食べられて無くなっているところも見られた。カモが食べたノリは短くなり、なかなか芽が出てこないため、漁業者にとって大きな損失だ。佐賀県有明海漁協・鹿島市支所の被害額は、年間で約2500万円に上ったシーズンもある(2020年度)。
漁業者としてはカモを駆除したい思いもあるが、野鳥との共存を目指す佐賀・鹿島市のラムサール条約推進室は、駆除以外の方法がないか悩みながら摸索を続けていると昨シーズン語っていた。
カモと共生しながら農作物や養殖ノリを守る。農家も漁業者も、難しい対策に追われる季節を今年も迎えている。
(サガテレビ)