福岡・北九州市の特定危険指定暴力団・工藤会。
関わったとされる4つの市民襲撃事件で殺人の罪などに問われている会のトップ・野村悟被告(73)とナンバー2の田上不美夫被告(64)の裁判が福岡地裁で続いている。

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看護師刺傷事件への関与あらためて否定

裁かれているのは、1998年の漁協元組合長射殺事件、2012年の福岡県警元警部銃撃事件、2013年の看護婦刺傷事件、そして2014年の歯科医師刺傷事件の4事件。

8月21日、質問を受けたのは野村被告。
2013年1月、帰宅途中の女性看護師が、工藤会系組員に刃物で左胸など刺された事件について質問され、あらためて関与を否定した。

弁護側:
女性看護師を傷つけるような指示は?

野村悟被告:
そんなことはありません

事件の背景にあるといわれるのが、美容整形手術。
2012年、当時64歳の野村被告は、女性看護師が務めるクリニックで下半身の手術やレーザー脱毛の施術を受けたという。

ところが…。

野村悟被告:
脱毛レーザーを下腹部に当てた。ちょっと強くて、体がビクッとなった

弁護側:
女性看護師は何か言ったか?

野村悟被告:
野村さんでも痛いのか、入れ墨に比べたら痛くないでしょと言われた。カチンときた。朝、風呂に入ろうとしたら、火ぶくれが

弁護側:
それ以外には?

野村悟被告:
下腹部に注射を4本(打った)。2週間くらい治らないと。辛抱してくれと説明を受けた。その日から液体と血がボトボト。(看護師から)風呂に入ってないでしょうねと言われた

弁護側:
それで?

野村悟被告:
入ったと。サウナに入ったと(言った)

弁護側:
(看護師は)どう言ってた?

野村悟被告:
それはダメですよと、説明書にも書いてあると。かばんから説明書が出てきた。入浴はダメと書いてあった

弁護側:
どう思った?

野村悟被告:
自分も悪いことしたと思った。間違いもあると思った

弁護側:
不満は? 怒りは?

野村悟被告:
わだかまりもなく、きれいな気持ち

弁護側:
あなたが何かこの事件のきっかけで思い当たることは?

野村悟被告:
深く考えたら、私が愚痴ったことが組員に伝わってこうなったのかもしれない。風呂上がりに脱衣所で着替える前に薬を塗ったときに

弁護側:
誰がいた?

野村悟被告:
部屋住みの4人がいた

弁護側:
4人は何をするのか?

野村悟被告:
私の頭にトニックを塗る人や、肘や膝に薬をぬってマッサージをしてくれる人も

弁護側:
(患部は)自分で手当てをした?

野村悟被告:
愚痴りながらした

弁護側:
どんなふうに?

野村悟被告:
看護婦を思い浮かべながら、「あのおばはんが」と言った

弁護側:
仮定の話だが、組員が看護師を狙うこと? 傷つけることを知っていたらどうする?

野村悟被告:
止めています

弁護側:
あなたに権限はない?

野村悟被告:
関係ない。お世話になった看護師に危害を加えるのはとんでもない

検察側は手術結果などを逆恨みし襲撃と主張

一方、検察側は、野村悟被告がクリニックで受けた下腹部の手術やレーザー脱毛施術の結果などを逆恨みし、担当した女性看護師を配下に襲わせたと主張している。

検察側:
2013年1月28日事件が起きた。どうして事件を起こしたと思う?

野村悟被告:
不思議でならん。なんでそんなことしたんやろうかと。愚痴ったことが原因じゃないかと思い当たる

検察側:
これまでに愚痴を言った相手が襲われたことは?

野村悟被告:
そんな記憶はない

検察側:
組員に対しては、無断で勝手に事件を起こしたと思っているか?

野村悟被告:
そうです

検察側:
襲った人たちに対しては、どんな気持ち?

野村悟被告:
許しがたいような。通り魔が何の理由もなく他人を傷つける、許せん。世話になっとる看護師さんを傷つけることは通り魔以下。許しがたい

検察側:
堅気(一般市民)を襲撃しても処分の対象にならないと以前言っているが?

野村悟被告:
ならない。事情による

検察側:
事情によっては処分の対象になるのか?

野村悟被告:
なると思う

検察側:
処分とかするのか?

野村悟被告:
今回、組員が通り魔みたいな、理由もないのにそういうことをしたという。処分されると思う。お世話になっている人が通り魔みたいなのに遭う。処分の対象になると思う

検察側:
女性の看護師を刃物で襲うようなことは、任侠道に生きるヤクザとしては許されない?

野村悟被告:
許されない

「人の言うことを素直に聞けるならヤクザになってない」

そして8月27日、ナンバー2の田上被告が、女性看護師刺傷事件について質問された。

弁護側:
(女性看護師刺傷)事件に関与したか?

田上不美夫被告:
いえ、していません

弁護側:
野村被告から女性看護師を襲撃するように指示されたことはあるか?

田上不美夫被告:
いえ、ありません

弁護側:
工藤会の組員が女性看護師を襲撃しようとしていることを、事前に知っていたことはあるか?

田上不美夫被告:
いえ、全くありません

弁護側:
看護師事件で逮捕された、その時何の事件で逮捕されたのかわかったか?

田上不美夫被告:
わかりませんでした

弁護側:
野村被告がクリニックに通って、レーザー脱毛の施術とか下腹部の手術を受けたのを知ったのはいつごろ?

田上不美夫被告:
捕まってから

弁護側:
逮捕状を読み上げられてどう思ったか?

田上不美夫被告:
何で俺が捕まらんといかんのかと、逮捕されないかんとかと

田上被告は、あらためて無罪を主張した。
また、工藤会は一般人に危害を加えることを認めておらず、「組員を指導していた」とも述べた。

弁護側:
工藤会は組員が堅気に迷惑かけること認めているのか?

田上不美夫被告:
認めてはおりません

弁護側:
それでも危害を加えるのはどうしてか?

田上不美夫被告:
ヤクザになる人間は元々人の言うことを聞かない人間ばかりです。人の言うことを素直に聞ける人間なら、ヤクザにはなってないと思います

弁護側:
世の中の規約を守れないような人がヤクザになっていくということ?

田上不美夫被告:
極端な言い方すればそうです

弁護側:
ヤクザ世界では、堅気の人に迷惑かける事件、良くないことだけども、それだけで処分されることはないということ?

田上不美夫被告:
そういうふうに認識しております。工藤会の憲法に書いていることは、理想ですね。理想として書いていますが、なかなか思うようには行きません

(テレビ西日本)