冬の味覚『寒ブリ』の水揚げがピークを迎え、福井県など北陸地方では豊漁となっているが、新潟県佐渡市では不漁が続いている。毎年行われている寒ブリ大漁まつりも他県から寒ブリを仕入れなければいけない状況に…一体なぜ、佐渡市では不漁となっているのか取材した。
寒ブリの不漁続く佐渡…“大漁まつり”開催も仕入れは他県から
冷え込みが強まる中、威勢のいい競りの声が響いていた新潟市中央卸売市場。
魚の卸売業者の目線の先には、寒ブリが多く並んでいたが、石川産・京都産と他県産のものばかりで、佐渡産の寒ブリは1匹もなかった。
この記事の画像(7枚)県の冬の代表的な味覚として知られる佐渡の寒ブリだが、まだ水揚げがほとんどない状態だという。
12月8日に佐渡市では、寒ブリを多くの人に味わってもらおうと、毎年恒例の『寒ブリ大漁まつり』が開かれたが、不漁の影響で福井県などから寒ブリを60本ほど仕入れて切り身などを販売していた。
また、会場では“ブリレース”ならぬヒラマサを使ったレースなどが行われた。
実は、2023年の寒ブリ大漁まつりも不漁の影響で、祭壇には代役のイナダが置かれていた。
リンク:新潟・佐渡の海に異変!?主役不在の“寒ブリ大漁まつり”異例の不漁続く…祭壇には代役の“イナダ”
全国では“超豊漁”なのに…なぜ佐渡は不漁?
一体なぜ、この時期に佐渡で寒ブリがとれなくなっているのか?新潟冷蔵鮮魚部第1課の長井宏太課長代理は、「海水温の上昇などにより寒ブリの回遊ルートに変化が生じている」と話す。
こうした県内の状況とは対照的に、長井さんは「全国的に見ると今年はブリの当たり年。豊漁、超豊漁といってもいいほど、ブリの水揚げは他県では多い」という。
実際、石川や富山など、北陸地方では例年の5倍~10倍の水揚げ量となっていて、価格も2~3割安くなっている。さらに、今年の寒ブリはお腹が大きいものが多く、脂ののりも良いという。
長井さんは「まずはお刺身、ブリしゃぶ、寒いのでブリ大根、照り焼きや塩焼き何にしてもおいしい」と太鼓判を押す。
願い届いた!?佐渡で今季最多56本の寒ブリ水揚げ!
佐渡でも寒ブリの水揚げが待たれる中、大漁まつりでの思いが届いたのか、12月9日、ついに佐渡にも今季最多となる56本の寒ブリが水揚げされ、市場は活気にあふれた。
内海府漁業生産組合の本間信俊組合長は「待ちに待っていた。8日の寒ブリまつりで願いを込めて来てもらって率直に言ってうれしい」と笑顔を見せた。
気温と海水温が下がったことで、佐渡沖にも寒ブリが回遊してきたと考えられるという。
競り人の木村章平さんは「漁師さんも、鮮魚店も、競り人も気持ちが高まって、12月はもう少し期待を持っていきたい」と興奮気味に話した。
寒ブリの水揚げは2024年2月ごろまで続く見込みだ。
(NST新潟総合テレビ)